白銀の救世機 (MF文庫J)

【白銀の救世機(ゼストマーク)】 天埜冬景/黒銀 MF文庫J

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「応えて! ゼストマーグ! あたしの想いを力に変え、勝利へ導いて! ! 」
突如として現れた謎の生命体・XENOに支配された世界。人類は感情を失った生物、ゼノイドへと進化を遂げ、生き残っていた。落ちこぼれの少年、アルツはゼノイドとして生き残るための選別試験の途中、コールドスリープしていた旧人類のナユキと救世兵器『ゼストマーグ』と出会い、自分と世界を変える戦いに巻き込まれていく……。《――時は来た。『白銀新生』の扉を開け――》新人賞最優秀賞受賞作家が贈る、絆で闘うヘヴィバトルアクション、堂々スタート!
これはなかなか熱いロボットもので面白かった!
何より、コールドスリープで過去から未来世界に放り込まれたのが男の主人公ではなく、メインヒロインだったというのがスマッシュヒット。最近の傾向だと、ここで異邦人たる存在を主人公に宛がうのが常ですもんね。それを、逆にヒロインによってもたらされた失われた新しい価値観に主人公が衝撃を受け、そこから主人公に足る自我を確立していく、というアプローチは良かったなあ。何も知らず、自分が壊れた出来損ないだと思っていた何も持たない主人公が、貪欲に好奇心をむき出しにして、見当違いの突拍子もない勘違いも起こしながらも、純真なくらいに一生懸命に今の進化した人類が失ってしまったものを、熱い感情を有した少女から得ようとしていく様子には素直に応援を送りたくなってくる。もともと感情というものがない存在であるが故に、感情や熱い想いへの渇望は一途で、同時に表裏もなく真っ直ぐで健やかなんですよね。そして、学んだものを自分なりに噛み砕き、善きところも悪しきところも踏まえた上で、それをかけがえの無いものとして自分のものとし、何も知らない幼い存在でもなく出来損ないの壊れた無力な存在としてでもなく、過去から託された温かい想いによって、自分の存在意義を見出し、強い意志と希望を抱き多くの人の光となるような存在へと、それこそ過去から放り出され迷い子のように彷徨っていた孤独な少女の心をも照らすような、実に主人公らしいイイ男へと、格好良いヒーローへと、悩み苦しみながらもブレずに成長していく様子は、胸のすくような有り様でした。
まだまだ荒っぽい構成ですし、世界観の構築にもゆるい部分は多々あるのですけれど、それでも独り善がりにならず拳を握って盛り上がれる面白い話を魅せたいという強い意識を感じさせる、グイグイと読ませる魅力的な物語だったとおもいます。
仮面の男はいくらなんでもやりすぎだと思うけどね(苦笑
あと、妹のヤンデレ具合が怖すぎる。感情ゼロからいきなりそれって、ヤバすぎですw