不完全神性機関イリス3  三大世界の反逆者 (富士見ファンタジア文庫)

【不完全神性機関イリス 3.三大世界の反逆者】 細音啓/カスカベアキラ 富士見ファンタジア文庫

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人類による幽幻種への生存闘争。その旗頭を決める覇権戦争の帝国代表に選ばれたのは、宝条軍学校に通う貧乏学生の俺・凪だった。もちろん、俺個人の力が評価されたわけではなく、うちのダ家政婦にして帝国の切り札イリスとコンビでの選出だ。覇権戦争の舞台・凱旋都市エンジュで、俺はイリスの製作者であるヨミ先輩と再会する。ヨミ先輩とチビ聖女・紗砂、そして武宮唐那国のツァリが、覇権戦争そっちのけで進めていた企み“エデン・プロジェクト”。計画に誘われる俺とイリスだが、「幽幻種の反応を観測。敵個体数一五〇〇から二〇〇〇」答えを決める間もなく、幽幻種の襲撃が始まり―。

このシリーズのセカンドヒロインは紗沙だと思ってたんだけれど、あっさりミカエルとシィに持ってかれました、ご愁傷様です。その表紙ゲットしたミカエルだけれど、やっぱりどうやら普通の人型機械体ではない様子。そうだよね、幾ら人型機械体が優秀だからって、イリスと殆ど変わらないほど人間と同等……ってか、他の人間とメンタルがさして変わらないというか区別がつかないぐらいに精巧なのはちょっと違和感あったんですよ。あくまで人型機械体って兵器であって、ニンゲンと同じような心を持ってる存在として造られているような背景は感じなかったので。それでも、これまで具体的に他の人型機械体や機神が出て来なかったものですから、もしかしたらこういうものなのか、とも思っていたのですが、紫苑と呼ばれる機神が出てきたことでミカエルの違和感が余計に募ることに。紫苑は一応禁断水晶の加護を受けたイリスと同じ機神にも関わらず、その様子はまるっきり機械っぽくて人間味がないんですよね。人間味がない、とまで言ってしまうには反応に不気味さや意味深なところがあるのですが、それでもイリスやミカエルと比べると非常に機械っぽい。
その紫苑とミカエルにはどうやら戦場で因縁やら関係があったらしく、相互間で微妙な緊張感が漂っている。これって状況から予測して、ミカエルの方が機神だったりするんじゃないの?
何気に事故でとは言え、キスまでしちゃっているあたり、一番ヒロインしているのはこの子だったりするんだろうか。微妙に嫌なフラグが立った、という気もするんですけれど。

さて、物語は人類圏に残っている三大国が合同で行う覇権戦争の開幕に至ったわけだけれど……まあ人類が滅びようとしている時に勢力争いしている場合じゃないだろう、という意見も全くそのとおりだとは思うのだけれど、三大国がバラバラに戦っているというのもただでさえ少ない余力を無駄に消費している事に繋がるのは間違いなく、だからといって協力してあたるにしても主導権をどこが握るかというのは決めておかないと船頭多くして船山に登るや小田原評定になってしまい、余計に混乱を招きかねない、その為に旗頭を決めよう、という方針自体はそこまでおかしい事じゃあないと思うんだけれど……普通は武闘会みたいなんで決められるようなもんじゃないよなあ。ってか、どう考えてもイリスも紗沙もツァリも能力が戦略級すぎて、まともに戦ったら都市ごと吹き飛びそうな気がするんだが、覇権戦争の舞台となった凱旋都市エンジュはそのあたりの危険性をどう考えてたんだろうw 
まあ武宮唐那国だけは、武闘会ってお似合いな感じはするけれど、ここの連中、話を聞いてるとクンフーが高まりすぎててもはやニンゲンを逸脱してるんですが(笑
おかしい、話半分に聞いても凪やシィたちと同じ人間とは思えないんですが。どこのドラゴンボールのZ戦士たちだよw 一応、ここの武人たちがのちのエデンの千年獅や護士たちの前身だというのはわかるんだけれど、それでも能力はこの頃の武宮唐那国の連中のほうが桁違いな気がするぞ。
そんなバケモノ集団の最強に立つという謎の存在、ツァリ。この頃の姉ちゃんはどういう人間だったんだろう、と紗沙のアレっぷりもあってか非常に楽しみではあったんだが、ツァリ、あんたこの時代から既にそういう存在だったんかいw
いや、昔のあなたはお淑やかで引っ込み思案でした、なんて想像するほうが間違ってるんだけれどさ……千年経ってもまるで変わってないというのもアレだよね。というか、こいつの主人格ってむしろユトの方なんじゃないかと疑いたくなる。そもそも、コイツの正体はいったい何なんだ? あんな幼女と美女を自在に使い分けるとか、普通だろうと異常だろうと特別だろうと、人間じゃないだろう。幾らぶっ飛んだ存在だとはいえ、此処に至るまではツァリは武宮唐那国の出身者なんだと思ってたんだが、どうも表に出た話からすると異世界からの異邦人……それも、世界観設定の中で幾度か名前が出たというネクサスに関わりを持つ存在、なのか?
ともあれ、覇権戦争の裏で動く思惑の中には、帝国上層部のように人類に仇なすかのような怪しい動きもありーの、そして紗沙たちが中心になって動いているプロジェクトありーの、と真実誰も武闘会なんかそっちのけというご様子。しかし、最初からツァリと紗沙は兎も角として、イリスの製作者まで一緒になって組んで動いていたとは予想外。しかも、どうやら彼女たちの個人的な動きではなく、結構帝国を除いた上層部も関わっているあたり、エデン・プロジェクトも決して少数独断によって動いていたんじゃないのか。

そして、幽幻種の襲撃によって覇権戦争は結局中止され、イリスたちの元には最強にして最悪の裏切り者最強の機神【剣帝】ヘケト・マグナが襲来する。って、マグナってどういうこと? 本編のシェルティスのミドルネームと一緒じゃないですか。しかも、魔笛を宿した双剣使いって……。
イリスを制作したヨミ博士も、これヨミ・レッセントって本編の天才工学士のエリエ・レッセントと名前一緒なんですよね。こっちも果たして、子孫なんていうちょろい関連性なのか怪しい感じ。エリエの天才性ってちょい異常な側面もあるしなあ。

細音啓作品感想