煩悩寺 3 (フラッパーコミックス)

【煩悩寺 3】 秋★枝 MFコミックス フラッパーシリーズ

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新生煩悩寺で、いつの間にやら半同棲生活が始まっちゃった小沢さんと小山田くん。今までと同じ相変わらずのバカップルぶりで周りをあきれさせる毎日ですが、そこはそれ、小沢さんも独身アラサーとしてのお悩みもあったりして……。それでも幸せいっぱいの完結巻です!!

結婚!!
そりゃあねえ、子供の恋愛じゃないんだからどうしてもそこを意識しちゃいますよね。むしろ小沢さんとしては、小山田くんと付き合う前に付き合っていた男性たちとは、常に結婚を意識した交際だったわけです。結婚するためにお付き合いしている、みたいな?
ところが、小山田くんとの交際はまるでそういう意識なく始まってしまい、楽しいから面白いから、好きだから、というすごくシンプルで俗世の事情とかまるで関係ないところで、繋がりを求めてしまったんですなあ。
そうなると、逆に小山田くんとの結婚、というのは二人の関係や今の生活をなんだか身も蓋もない世知辛い俗世の事情に引き落としてしまう、という嫌気が生まれるのもまあわからなくない。結婚したい、ではなくむしろ結婚を重く感じてしまう、というのはなるほどそういう事なんじゃないだろうか。
面白おかしく幸せな、今の時間を現実から切り離しておきたい、そんな感じで。
でも、小山田くんのふわふわした性格は、そんな小沢さんの不安や怯えをあっという間に払拭してくれました。彼の言ってくれたことって、結婚だろうと軽くしてしまう云々もなんだけれど、うーんなんなんだろう。あれかな、今のこのフワフワした夢みたいな幸せな時間も空間も、ちゃんと現実そのもので、もうちゃんと此処に確かにあるもので、結婚なんて現実が介在したって元からもう現実に存在するものなんだから、今更重たくなって沈んで覚めてしまうようなあやふやなものなんかじゃないよ、という安心を与えてくれた、ってことなんじゃないだろうか。
うーん、すげえな。なんかもうすげえですわ。
こんな楽しい現実離れした空間にも関わらず、小山田くんのこの揺るぎのない存在感。そしてガッチリと掴み掴まれた小沢さん。こりゃあ、壊れないですよ。最初、この煩悩寺が生まれたときは、いずれなくなってしまうような儚さとか脆さを感じたものですけれど、錯覚だったのか、それとも主体が二人の関係に移ったってことなのか。ともかく、今となってはなくなることも壊れることもまるで想像できない確かさを感じる空間になったことを、このエピソードで実感した。それに象徴されるのが、多分煩悩寺を出ての二人のデート編なんかなあ。
行き先も決めず、ただ街中を二人で散策するだけの肩肘はらないデート。
いやあ、これぞデートだよねえ。なのに、漫画で見るとえらい新鮮だなあ。ほわほわ〜。
そしてラスト。実は、最終的には小山田くんのお兄さんがひっきりなしに送ってきてくれた謎のおもちゃ群が途絶えてしまったことで、煩悩寺は以前みたいなおもちゃ箱をひっくり返したみたいな雰囲気は徐々に落ち着いてしまうのですけれど……それでもその頃を懐かしく振り返りつつも何も変わらない二人の様子に、あの幸せな空間は何も変わらず続いているのだと、笑みが浮かんで綺麗に締め。
うんうん、実に素敵で最高なラブコメディでありました。さすがだぜ、恋愛マスター。

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