彼女たちのメシがマズい100の理由 2 (角川スニーカー文庫)

【彼女たちのメシがマズい100の理由 2】 高野小鹿/たいしょう田中 角川スニーカー文庫

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愛内家に帰ってきたゴスロリのちっちゃい姉の龍子。“メシマズ”の紅緒には、かわいい弟である葉介の世話は無理だ!と納得できる料理を食べさせるように、要求してくる。レシピ通りに作ることができない紅緒は悩んだ末、リリィと一緒になぜかメイド喫茶で働くことになる。だがそこで出会った巨乳メイドが恐るべき“メシマズ”属性を持っており!?すべての属性を吸収する最強のメシマズヒロインの勝負料理は何を作る!?―。
二巻読んで思ったんだけれど、この作品って思ってたよりもずっと基礎部分がしっかりしてるんじゃないか?
読んでても、意外なほど地に足がついているというか、堅実に土台から汲み上げているという印象が湧いてくるんですよ。結構プロットからよく練っていて、妥協せずにきっちり仕上げてるんじゃないかな。
このあたり緩い作品だと、よほどノリと勢いがバランスよく絶妙に際立っているものでないと、えらい足元フワフワして頼りない、歯応えがない感じがするの、多いんですよね。ちゃんと突き詰めてないだろう、テンプレに沿って教科書通りみたいにしかやってないだろう、みたいな。
そういうのに比べると、本作は下地の部分がえらく頑丈な感覚がするんですよね。こういうの書ける人は得てして伸びるんだよなあ。

さて、本編である。前巻で嫁をイビる小姑襲来! と相成ったわけだが、比喩ではなく完全に小姑じゃないかw
龍子本人は紅緒のことを本当は嫌いじゃないんだ、と言ってはいるが、どう見ても弟に近づくんじゃねえオーラを出しまくってて、明らかに嫌ってる。しかも、幼い頃からの筋金入りである。何が気に入らないんだろう、ってもう弟の嫁だから、という意外になさそうだから溜まったもんじゃない。料理ができないというのは、まず言いがかりだろう。いや、料理のできなさについては言いがかりでもなんでもないんだが。
まあその姉ちゃんの嫉妬やら憤懣を除けば、紅緒の料理が心配、というのは相応の理由である。何しろ、葉介ときたら生涯このマズ飯を食い続ける覚悟が完了しているっぽいのだ。覚悟どころか、疑いもしていないという感もある。もはや、それを食べ続けるのが当たり前、という感覚は洗脳されてるんじゃないか、と姉ちゃんが疑ってしまうのも無理は無い。いや、そんな風に疑ってたわけじゃないけれどさ。でも、これを食べ続けるって相当に体に悪そうなんだよね。
だからといって、体にイイものばかりを詰め込むのだってマズイ云々を抜きにして、決して体に良いとは言えないのだけれど。医食同源という言葉を知らんのか、あの新キャラは。……オメガって、すげえ名前だな、改めて振り返っても。兄弟姉妹にアルファとかシグマとかイプシロンとか居るんだろうか。実家が製薬会社的にはイプシロンはありそうだけれど。ほら、なんか名前が薬っぽいし!
そう言えば、あのオメガって娘とマスター、ぜったい出来てるよねー、うんうん。って、なんか話が井戸端会議みたいなノリなって変な方向に行ってしまったが、ともかく姉ちゃんが弟があんな料理ばっかり食べ続けるのは心配だ、と思うのはまあ当然といえば当然なのである。
意外なことにこの姉ちゃん、事前に予想していたこいつも馬鹿舌、というわけではなかったのに驚いた。伊達に飯系のフリーライターをやっているわけじゃないんか。てっきり、紅緒たちと同類か、と思ってたよ。それどころか、相当に料理の腕は立つご様子。そりゃあまあ、紅緒の料理に対して色々と許せない部分はあるか。
それでも、龍子ご本人が主張しているように、料理を除けばほとんどパーフェクトソルジャーな紅緒さんである。弟が、ちゃんと覚悟を決め、それどころか自分こそが紅緒の料理を食べ続けるんだ、とまで言い張るほどの想いを持って紅緒と付き合っているのなら、いやまだ付き合っていないけど、嫁にする気があるのなら、紅緒が義妹として可愛くないわけがないんですよね。何しろ、今までだいぶ邪険にしてきたにも関わらず、この弟の嫁と来たら無防備に懐いてくるし、それでいて義姉として立ててくれもする。可愛いんですよ、ほんと。
まあ、この姉として、この義妹の料理下手は修正不可能と諦めてしまった、とも言えるのかもしれませんが。

……うん、確かになんでレシピ通りに作らないんだよ、とは思っていた。姉ちゃんが、結局コイツは料理に対して真摯に向き合っていない、弟に上手い料理を食べさせてやりたいと真剣に考えてないんじゃ、と疑ってしまう最大の要素であったんですよね。
まさか、紅緒がレシピ通りに作ることによって、そんなオチが待っているとはw
こりゃ、あかんわwww

さて、最大の関門だった小姑の反対も覆し、もはや遮るもののなくなった葉介と紅緒の新婚生活。付き合っているとかいう以前に、もう同棲、どころか新婚状態の二人。割って入る余地なんて、どこにもなし。ラブコメとしてはほぼ完成の域に達して、もはや熟成の段階に至っている状態。他のヒロインはもうあくまで友人、と割り切り切ってしまっているのは、潔いくらい。
そういった意味においては、ほとんどもう進展の余地すらないのだけれど、本作はラブコメ要素よりもあくまで「あらゆるリアル・メシマズ」を網羅する、という目的によって進撃するメシマズ小説。
どうやら、ついに最終兵器である妹が次回、出現する予定の模様。いったい何があったのか、どうやら葉介が何かをやらかした結果、色々と破滅的な状況に陥っているらしい。退学の危機って、メシマズ要素でどうやったら学校から追い出されそうな状況になるんだ!? いや、全く何があったのか想像だに出来ないんだが、どうせまたとんでもない話なんだろうなあ、うん。

1巻感想