吼える魔竜の捕喰作法 4 (HJ文庫)

【吼える魔竜の捕喰作法(バルバクア) 4】 内堀優一/真琉樹 HJ文庫

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とある任務中のアクシデントにより、身体が10歳程度に退行してしまったシェッセ。
それでも何とか肉屋のバイトに復帰した矢先、肉屋フランシーヌに一通の手紙が届く。それはタクトの親代わりにも等しい存在である《師匠》に関連する知らせだった!!

「お前についてきて欲しい」

タクトに言われたシェッセは、小さな身体のまま彼の旅に同行するのだが――。
なに? 幼女枠はリュカがもういるじゃないか、だと!?

シェッセのそれは別腹です!

というわけで、年齢退行魔法を喰らってしまい子供の姿になってしまったシェッセ。出会う人出会う人全員から愛でられ、可愛がられまくるのだけれど、仕方ないよ。だって可愛いんだもん! 反則的に可愛いんだもん!!
元々ボクっ子のくせに性格的にも非常に可愛らしい女性だっただけに、それが子供化してしまうと、ひたむきに頑張る姿が実にこう……頭を撫でてあげたくなる可愛らしさで、正直たまらん!
あのクールビューティーなカティナさんが、シェッセを抱っこして夢中になって頭を撫でてる姿には思いっきり吹いてしまいましたが。あんた、その娘親友でしょうに。友達相手になに萌えまくってるんですか。普段は生真面目なくらいの人なのに、壊れてる壊れてる。
まあ、常からシェッセを目の敵にしているターニャまで、コロッと行っちゃってるんだから仕方ないよなあ、うんうん。リュカが小さくなったシェッセを前にして、突然お姉さんぶりだしたのも、それはそれでまた可愛らしかったんですが。
まあ、童女と化してもそんなに態度が変わらなかったのは、タクトくらいなのですが、最近のタクトとシェッセはもういい雰囲気を通り越して、なんだか見ていて赤面してしまうくらいの初々しい熱々さを醸し出していたので、その態度が変わらないとなると、いい年をした男が10歳くらいの童女と熱々の空気をまき散らしている、といういささか犯罪的な絵面になってしまっていて、大変危険であるw
「いや、まっとうな成人男性が真夜中に女児と、子供何人作るって会話をしている。というこのシチュエーションは、一介の騎士として逮捕するべきか悩むところだ」
カティナさん、逮捕です、逮捕。
なんというしっかり幸せ家族計画w
「かかか、カティナもこっちに来て、一緒に話そうよ、ね!」
「……ごめん、無理。さすがに、そこに入るのは、無理。かんべんしてください。お腹一杯なんです! 甘くて胸焼けです」
カティナさん、だからキャラだいぶ変わってますってw
逆に言うと、カティナのキャラが変わらざるをえないほどの、凄まじい甘々っぷりだったというわけですね、わかります。

とまあ、今回災難だったのか何なのか、いろいろ大変だったカティナさんですが、ようやく彼女の背景が明らかに。以前から、彼女の動向には微妙な違和感があったんですよね。そこはかとなく、後ろ暗いところがあるような、他人に言えない秘密を抱えているような。シェッセにも明かさずに、どこか影を抱えているような様子から、最初の頃はカティナが黒幕、或いは敵側の隠密、という可能性もわりと真剣に考えていたのですが、最近はどうも敵サイドではなさそうだなあ、と首を傾げていたわけですが、なるほど彼女にはそういう背景があったのか。
超エリートであるカティナが、単なる友情という以上にシェッセに対して肩入れ、ないし感情移入している素振りがあったのは、魔法が使えず不遇を託つシェッセに対して、ある種の共感みたいなものがあったのかもしれないなあ。ともあれ、彼女がちゃんと今まで見てきた通りの、或いはそれ以上にまっすぐで誇り高い人物とわかってホッとした。
一方で、肝心要のタクトの過去もついに明らかに。今でこそ飄々と日々を過ごしてますけれど、タクトって現代日本から異世界に放り込まれた系の主人公としては、かなり最低最悪の部類の経歴の持ち主じゃないですか。いや、本作の主人公はどちらかと言うとシェッセの方なんだけれど。いずれにしても、これは酷い、というかエグい。まだ右も左もわからないほんの子供の頃に、何の案内もなく異世界に一人で放り出されて放置され、拾ってくれた相手は残虐非道な盗賊団。師匠に助けられるまで、奴隷同然に扱われ、傷つけられてきたってんだから、これはキツいなんてもんじゃないですよ。
そんな彼を身も心も救い、異邦人という孤独からも救ってくれた師匠。その師匠とも非業の別れを経てしまいながら、よくぞまあここまで立派に育ったもんです。一端の、きちんとした大人だもんなあ。
それだけ辛い思いをしてきたなら、もうあとは幸せになってもいいはずなのに。家族とも呼べる人たちと出会い、今またシェッセという大切に思える人と出会ったのだから、あとは幸せになるだけでよかったはずなのに。
彼に課せられた運命は、未だそれを許してはくれないわけだ。
ラストの子供みたいに泣きじゃくるシェッセの姿があまりにも悲痛すぎて、胸が痛い。ほんと、なんとかしてあげてください……。

内堀優一作品感想