VS!!3 ―アルスマグナの戦闘員― (電撃文庫)

【VS!! 3.アルスマグナの戦闘員】 和泉弐式/白羽奈尾  電撃文庫

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英雄機関の捕虜となり、その秘密基地内で拷問のような実験を施される戦闘員21号。彼の目論見は、英雄たちの機密情報を奪い、持ち帰ること。しかし幽閉されている部屋から脱出する術は、まったくと言っていいほどない。21号にチャンスはあるのか?そして彼の生還を待つ22号たち悪の戦闘員の運命は…!?長きにわる悪と正義の戦いに、いよいよ決着がつくときがきた―。
あとがきを見る限りでは、最初から三巻で話をまとめるつもりだったみたいだ。その為か、こうして全三巻を見通してみると、最初から最後まで物語の焦点がブレること無く、余計なものを付与せずに決着まで走り抜けたことがよく分かる。三巻分あったことで変に詰め込むこともなく、見事なくらい過不足無く描くべき所を描ききっているあたり、機能美すら感じさせる完成度だった。
何より面白かった。
正義の味方に勝ちたい、その一念で突き進むニーイチたち。悪も正義も関係なく、生まれた意義に縋るのでもなく、ただただ負け続けた挫折の日々から、失った最愛の友人に報いる気持ちから生まれた純粋な願い、単純な執着。シンプルであるからこそ、裏表がないからこそ、そこに共感が生まれようというものです。
戦うことを嫌ったジャバウォックが、身を捨ててまで守ろうとしたものの意味が、何となく伝わってくる。そんな彼女の残影が、最後の決戦を前にニーイチたちを見守り、送り出してくれたシーンには、わかっていたけれどウルっと来ちゃったなあ。
そんな彼らが倒そうとする英雄機関の正義の味方たちは、ニーイチたちの勝利の執念を受け止めるに相応しい最強の正義の味方たちである。この手のお話で出てくる正義の味方というのは、ヒーローという名前とは裏腹に瑕疵を持っていたり歪なところがあったりと、決して正義の味方とは言い切れない部分を持つメンバーが傾向として多いのだけれど、ここで出てくる彼らは正真正銘の正義の味方、それも正義という思想に凝り固まった独善の存在でもなく、正しい秩序と優しさの体現者である。人間味もあり、精神的にもブレはない、度々のニーイチたちとの戦闘から油断もなく、侮って隙を見せるような間抜けでもない。言うなれば、心身ともに完全充足したパーフェクトな正義の味方。毎週勝利が約束されているような、あの正義の味方そのものなのである。
ハッキリ言ってムリゲー。真っ向から立ち向かえば瞬殺は必定、成長して強くなったリヴァイアサンと言えどもまともに太刀打ちなんて出来るものではない最強のヒーローたち。
そんな相手にどうやって勝つというのか。
そんな絶望的な戦力差からの逆転劇、これこそが本作の見所なのでしょう。ラストの余人を介さぬ戦闘員たちとリヴァイアサン対英雄機関の五人との最終決戦は、二重三重に張り巡らされたニーイチの手練手管と、不撓不屈の信念で次々に予想を上回る限界突破をみせる正義の味方たちの意地と熱量がせめぎあい、お互いに譲らぬ、決戦の名に相応しい手に汗握るシーンの連続でした。
面白かった。本当に面白かった。これは、次回作以降も期待が膨らむばかりです。大満足の完結編でした。

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