森羅万象を統べる者 猖物創造 (MF文庫J)

【森羅万象を統べる者 猖物創造瓠曄/綏郤喞察人河サトル  MF文庫J

Amazon

「私と――付き合ってくださいっ! 」御園日向は幼なじみの綾川鈴莉と一緒に暮らし始めてから7年、ついに鈴莉から告白されて、念願のイチャイチャラブラブな日々を過ごすはずだった。そこへ突如転がり込んできた、従妹を名乗る女の子・皐月。今、3人の同居生活が始まる。「ひなくんっ♪」「お兄ちゃん! 」「俺に従妹がいるなんて聞いたことないんだが……」万能の異能を持つ皐月に振り回されつつも全力で鈴莉との恋人生活を堪能する日向。だが、<<御園>>本家をめぐる事件に巻き込まれ――!? 第8回新人賞デビューの激甘イチャラブ×異能バトルアクション、開幕!!
ぶははは、なんちゅう新婚生活。これはいくらなんでも甘すぎて目も当てられません。いやあ、主人公とヒロインが相思相愛というのはあったけれど、ここまで人目憚らないバカップルは早々ないですよ。その上、本作では冒頭に正式に付き合いはじめちゃっているものだから、もはや遮るものはなし。どうやらクラスメイトなどの発言からして、交際を始める以前からそれはもう酷いものだったようですけれど、授業中だろうとラブラブ時空を発生させてイチャイチャしだすこのカップルと一緒の空間に居るのは一体どれだけの苦行だったんだろう、このクラスメイト諸氏は。あれはもう慣れたというよりも達観、或いは諦観の領域でしょう。解脱しようぜ。
学校ですらこれである。同居することになった皐月からすれば、新婚生活に居候するはめになった義妹レベルの悲惨さである。あの置いてけぼり感は、そのうち溺死するんじゃないかと心配になるほど。だいたい、防音設備も整っていない部屋で毎夜励まれてしまったら、隣で寝れないですよ。欲求不満と寝不足でえらいことになりそうだ。
それでも、この他人の目を気にしなさすぎるバカップルに対する唯一の常識的ツッコミ役なので、孤軍奮闘頑張って欲しい、と願っているうちに玉砕しそうな勢いでしたが。
とはいえ、皐月がおじゃま虫になるのではなく、しっかりとこの新婚夫婦の家族として絆結ばれていく様子は心温まるものでした。日向も嫁がいる余裕なのか、男としてというよりも家族として、兄として皐月に対して包容力を発揮していくさまは、さすがは家長と頷くばかり。日向と鈴莉のイチャラブっぷりも、促成栽培のレトルトものではなく、きちんと年月と相応の劇的なドラマと努力の果てに熟成された味わい深いものであり、ぽっと出だったと思われた皐月との関係も、物語が進めば因果が絡まりあった縁によって結ばれたものであり、三人の関係がちゃんと愛情の通ったものとして成り立つ姿は、単なるイチャラブものではなく、家族ものとしても良いものだったように思います。
続刊もあるようだけれど、恋人同士のイチャラブの上に、皐月のお兄ちゃんラブーも加わりそうで末恐ろしいな、これ。