学戦都市アスタリスク 02 銀綺覚醒 (MF文庫J)

【学戦都市アスタリスク 02 銀綺覚醒】 三屋咲ゆう/okiura MF文庫J

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晴れてタッグを組むことになった綾斗とユリス。連携を磨きながら《鳳凰星武祭》に備えるのだったが――そんな中、綾斗は一人の少女と出会う。長い銀髪に小動物のような愛らしい見た目の少女、刀藤綺凛。彼女こそ、若冠13歳にして星導館学園の序列第一位、《疾風刃雷》その人だった! 彼女に辛くあたる叔父を見咎めた一件で、綾斗はなぜか綺凛と決闘をするはめになってしまい――「天霧先輩は優しいですね。……でも、わたしも負けるわけにはいかないのです」――神速の剣が交錯し、アスタリスクに新たな火華が咲き誇る! 最高峰の学園バトルエンタ、加速とどまらぬ第二弾!
この主人公の綾斗は、ホントに涼やかな主人公ですね。それでいて、スカした感じがしないのはなかなか稀有なキャラ造形だと思う。何より、女性に対する接し方が凄まじいまでに自然体なんですよね。こいつ、既に女性経験が豊富にあるんじゃないのか、とうがってしまうほどに。
この俺様つええ、なキャラと自分の実力に確固とした自負を持っているキャラとの違いって何なんでしょうね。書き分け方というのもあるんだろうけれど、読む人によっての見解にも違いがあるだろうし、これは判断の難しいところ。個人的にはこの綾斗くんは古風な剣客ぽくて好きなんですよね。自分の強さに対して客観的であると同時に、強さに意味を見出すのではなく強いということは出来ることが多いということである、と即物的に割り切っているあたりが特に。ひいては、書いている作者自身も、あんまり「強い」ことがイコール格好良い、とは捉えていないように見えます。あくまで主人公の強さは「手段」として扱い、その手段を持ってたぐり寄せる結果と、その結果を望む涼やかな精神性を引き立てるべきものとして捉えている、という感じか。だから、変に肩肘はらずに綾斗というキャラは極々自然体で無理をしていないのかなあ、と。
むしろ、この主人公の自然体故の捉えどころの無さにヒロインたちの方が苦労しているようにみえるのが面白い。なあなあな心積もりで接近してもスルリと躱されてしまうので、彼と真っ向から噛み合うにはちゃんと明確になった目的が必要っぽいんですよね。今回、特に明確な目的もなく、漠然ともうちょっと仲良くなりたいなあ、というくらいの意識しかなかったユリスなんかは、綾斗をうまく掴まえられずにウロウロと周囲を泳ぐばかりで殆ど存在感を示せなかった。居たのかユリス!? と思ってしまうほどだったのは、メインヒロインとしてどうなのかと。仮にも綾斗の戦う理由の最大がユリスなんだから、原動力としてはもうちょっと頑張って欲しい。その代わりに今回輝きまくっていたのが、刀藤綺凛。性格の相性から年齢差からくるフィット感から剣に対する考え方から、ビックリするくらいに綾斗と噛み合ってるんだなあ、この娘。現状では双方ともに兄妹みたいな関係と認識しているのも、関係性や距離感の自然さに拍車をかけているのかもしれません。
まあしかし、いきなり序列一位とこうして絡んでくるのは意外だったのですが、逆に言うと星導館学園のみを舞台として捉える段階はこの二巻で既に撒きに入っていると言えるでしょう。冒頭から、六校の生徒会長同士による火花飛び散る会議を持ってきているあたり、本作のメインが学校同士の対抗戦に置かれているのは明らか。今回は詳しく、各校の特色や主要人物の段階的なお披露目もはじまっていることからもなおさらに。
ただ、対外戦がメインとなるのはワクワクしていいんですけれど、その為にも学内での人材の紹介、並びに掘り下げはもう少し時間か質をかけても良かった気も。現状では駒がかなり少ないんですよね、綾斗が面識を得ている相手も殆ど居ませんし。せめて、序列上位の顔見せは進めてからでないと、本格的な対外戦はスケール感が狭まって盛り上がりに欠けるような気がします。ここはもっと大風呂敷を広げる勢いで突っ走ってしまうのを期待したいですね。
しかし、ライトノベルで「介者剣術」の名前を聞いたのは初めてだなあ。

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