スカイ・ワールド2 (富士見ファンタジア文庫)

【スカイ・ワールド 2】 瀬尾つかさ/武藤此史 富士見ファンタジア文庫

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スカイワールド―それは魔法と科学技術が同居する世界で、無数に浮かぶ島から島へと飛空艇で旅をするオンラインRPG。凄腕ゲーマーのシュン、初心者のかすみ、白魔術師のエリの三人は、新たに銃使いのユーカリアを仲間に加えて、第七軌道ラオタイ島でのクエストを順調に進めていた。ある日、島のはずれにあるピラミッドの調査をすることになったジュンたちは、かすみのミスにより『蓬莱皇帝の復活』という謎の隠しクエストを発動させてしまう。それは『十日以内にクリアしないと死亡する』という呪いのクエストで―。“蒼穹の果て”に挑む、熱きオンライン冒険ファンタジー。
こんな小学生居るもんか! と思わず叫んでしまったリュカのキャラクター。年齢不相応の子供っぽくないキャラなんて珍しくもないですけれど、ここまで大人びた世知に長けた小学生が居たら正直嫌だw ここまで考え方がしっかりしてしまっていると、小学校で同世代の子どもたちの中で過ごしているのはかなり苦痛だったんじゃないかとすら思えてくる。周りとここまで精神年齢が違いすぎると、とても溶け込めないでしょうし。ぶっちゃけ、リュカだと高校生でも浮きかねないですし、ヘタするとOLになってもお局様レベルなんじゃないだろうか。保護者として担任の先生(けっこうおっさん)がお店を行動経営して彼女の面倒を見ている、という建前になってますけれど、営業にしても日常生活にしても面倒を見ているのはどうやらリュカの方のようですし、傍目には完全に姉さん女房……。
さて、二巻では孤島からも脱出できて、舞台は他のプレイヤーの人口密度もそこそこ増えてくるラオタイ島に。自然と他のパーティーと協力プレイも増えてくる。シュンは決してソロプレイ推奨の他とあんまり交流しないキャラなどではないので、ゲーム廃人な分顔も広かったりするわけで、決して閉じた狭い人間関係に終始しているわけじゃないんですよね。かすみやエリも、普通の他のプレイヤーと交流が広がっていっていますし。その意味でも、本作はMMORPGのゲームとしての側面が強く出ているのが窺い知れる。大概のこの手のゲームの世界に巻き込まれた、或いは閉じ込められた、似た異世界に放り出された、という作品はゲームの皮を被りつつも、むしろこれは現実なのだ、という側面を強調して見せていく傾向が強いのだけれど、その逆を行く本作はやっぱり新鮮味があって面白い。戦闘システムなんて、非常に丁寧にMMORPGのシステムに則っていて、初心者のかすみへの解説も含めて、戦闘のロジックがとてもわかり易い。今回はさらに大規模レイド戦なんかの目玉バトルもありーのですから、楽しかった。
一方で、バッテリーが足りない状態で死んでしまえば、ゲーム内でも現実世界でも復帰できない、という迫真性もあり、今回かすみを見舞ったデストラップの巧妙な構成もあって、所詮はゲームだから、という緩さはなく、きちんと緊迫感、切迫感も募らせていく展開になっているので、バランスもかなり整っているんじゃなかろうか。
でも、その上でシュンを始めとしてみんなが「ゲームを楽しむ」という要素を大事にして、変に悲壮にならずワイワイと周りもみんな巻き込みながら大騒ぎしてイベントを乗り切っていく様子は、しっかりと本作の味であり幹となって行ってるんじゃないでしょうか。
ラブコメ的には、かすみのシュンへの好意が完全にオープンになって、ジュンとしても何らかの応えを出さないといけない段階に来てしまっているのですけれど、彼からするとサクヤの方も気にかかってしまっているわけで、彼女とちゃんと会って向き合わないまま、今の状態でかすみに答えを出してしまうのはいかんよなあ、という感覚なんだろうな、これ。気持ちは理解できるので、周りからせっつかれ、かすみからは潤んだ目で見つめられる状態の焦りは同情してしまう。まあ、周りはジュンとカスミの関係は知らないから、こいつへたれて逃げまわってやがる、としか見えないんだろうから、厳しい目を向けてしまうのも無理はないんだが。

1巻感想