ガブリエラ戦記VI 白兎騎士団の切り札 (ファミ通文庫)

【ガブリエラ戦記 6.白兎騎士団の切り札】 舞阪洸/優木きら ファミ通文庫

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ガブリエラ、一世一代の奇策。ガブリエラ戦記、堂々完結!

マイヨ・ルカの街からすべての団員を引き揚げ、本城に籠ったガブリエラとレフレンシア。盆地の周辺には、自然士レオノーラを始めとする百戦錬磨の精鋭達、ジアンとカッシゥス王が率いる奇襲部隊、そしてベティスから駆け付けたドゥイエンヌが揃っていた。すべての準備は終わり遂に舞台は整った。果たして若き団長、ガブリエラが考案した戦わずして勝つ方法とは? そして、その先の未来をも見据えた一世一代の奇策とは――!?
うわあああ、その発想は露ほどもなかったーー!! そうかそうか、そりゃあガブリエラも団長じゃないといけないよなあ。
これまでずっと私はなんでガブリエラが団長でなければならないのか、副団長としてレフレンシアの参謀として働くので十分彼女の能力はいかされるじゃないか、と疑問を呈してきていたのですが、ガブリエラが最後に繰り出した神算鬼謀の一手は確かにガブリエラが団長でなければ成立しない策だったので、納得。大いに納得。
いやしかし凄い。この一手は本気で凄い。これって、ある意味レフレンシア相手にほぼ互角に渡り合っていたアリアンレイすらも、ガブリエラがすれ違いざまに一刀両断してしまったようなものなんですよね。アリアンレイとすれば、ガブリエラを敵と認識する間も与えられずに、息の根を止められてしまったようなものですから。
実際、ほぼ再起不能のダメージを負ってますしww
結局、直接干戈を交える戦闘は輜重部隊を奇襲で襲ったものだけで、あの絶体絶命の戦況をひっくり返してしまったのだから、大したもの……なのか? あれよあれよという間にルーアル・ソシエダイ軍&シギルノジチ軍対白兎騎士団という戦争の構図が変なことになってきて、結果として白兎騎士団に何らの損なく戦局がひっくり返ってしまったのには、なんだか詐欺にあったみたいで、ガブリエラの悪辣さが実感できてしまった。こいつ、本気でたち悪い。ルーアル・ソシエダイ軍の遠征軍の将軍、完全に騙されてる、当初の目的を忘れちゃってる、と言いたいところなのだけれど、ぶっちゃけこれ、ガブリエラの仕掛けに乗らざるをえない戦略状況を強いられてるんですよね。もしこの状況をひっくり返せるだけの可能性があったとするなら、ルーアル・ソシエダイとシギルノジチが非常に親密な同盟関係にあって、お互いに損を食らってもカバーしあう事のできる仲の良さがあれば何とかなったのかもしれませんけど、まあそれは無理な話ですからねえ。ガブリエラの話に乗りさえすれば、ルーアル・ソシエダイは当初の戦争目的こそ達成できないものの、白兎騎士団とWin−Winの関係になれる。損を被るのはシギルノジチだけ、と来ればそりゃあ乗っかるよなあ。
相手を陥れるのではなく、程よく甘い汁を吸わせてあげて、しかし自分たちは絶対に被害も損も被らないように場を整える。まったくもって嫌らしい。
挙句にトドメがあれですもんねえ。
いやあ、びっくりした。何がびっくりしたって、レフレンシアがその気だったというのが驚いた。どうもこの作品、百合百合という箱のなかで完結するものだと思い込んでたんで。ジアンが妾妃として玉の輿に乗った時点で、そんなことはないとわかってたはずなのに、まさかあの一番女の子好きだったレフレンシア様が、とは思わなかったからなあ。
参りました。ここまでアット言わされる終わり方をさせられたら文句のつけようもありませんわ。このシリーズの締め方としては、これ以上ない喝采を博したい。こちらとしては、まったく期待以上の終わり方でした。痛快痛快。ご愁傷様、と拝みたくなる人が続出してしまう、ある意味大災難な終わり方でもありましたけれど。
あとは来月に出るエピローグで、それらの人の阿鼻叫喚の悲鳴を堪能するばかりw
あれ、ヴィネダも戦後の足取りを見るに、もろに直撃食らうんだろうなあ。ジアンやアスカを含めた団員たちの行く末もきっちり描いてくれるようですし、幕引き楽しみにしたいところです。

舞阪洸作品感想