オレと彼女の絶対領域<パンドラボックス> 7 (HJ文庫)

【オレと彼女の絶対領域<パンドラボックス> 7】 鷹山誠一/伍長 HJ文庫

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世界か、カーくんか? 明日香を悩ませる、究極の選択!!

ついにカーくんへの告白を決意した明日香。
だが、落ち着かない明日香のもとに不敵に笑う薫が現れる。
薫の携帯に写し出されたのは、椅子に縛りつけられたカーくんの姿!
薫は自分が「監視者」であり、彼を救いたければ全世界中の人々を《オーバーライン》にして絶望の種をばらまくように明日香に要求するが……。

悩める明日香が出した結論とは!?
ああ、なるほどなあ、なるほどなあ。うん、これはなかなか大胆な構成ながら、これを単なる緩いラブコメで終わらせまいとしたのなら、実に筋の通った話の組立と考えられる。
そもそも、この【オレと彼女の絶対領域<パンドラボックス>】とはどんなお話だったのか、というのを吟味するならば、まあ大雑把に言って、その身に備わった超常能力によって人生を不自然な形に歪められてしまった子供たちが、歪みのない健やかな人生を取り戻す物語、という風に表現できる。その物語が決着を見るには、やはりこの超能力というものを総括しなければならなかった。原因を暴き出し、不自然さを洗い出し、理不尽を取り除かなければならなかったわけです。そうして初めて、この子たちは後ろめたさや負い目から解き放たれ、自然な有り様で自分の人生を生きることが出来る。過去は変えられなくても、未来の歪みは今からでも正すことが出来るのですから。
ただ、その精算を行おうとすると、それを成す主体を主人公であるカー君は絶対に担えないんですよね。その理由は、この最終巻を読んでみるとよくわかると思うのですが、この全部に決着を付ける話の主人公はどうやったって明日香先輩でなければなりませんでしたし、彼女を絶対的に支える存在は以前に明日香先輩と同類項の悩みを抱いた最大の理解者であるサヤ姉でなければならなかった。そして、薫の本当の目的からして、カー君はこの一件においては絶対に相手にしてはいけなかった。
結果として、最終巻でありすべての因縁と問題が解決され払拭される大団円の回でありながら、だからこそ主人公であるカー君が物語の中心から外れざるを得なかった。明日香先輩が主人公として七転八倒してのたうちまわって苦しみ、サヤ姉が歯を食いしばって明日香の為に駆けずり回り、薫が狂気を迸らせて蹂躙していく中で、カーくんは彼の視点でのシーンも殆どなく、脇役に回ってサポートに徹するという通常では考えられない構成になってしまったのだけれど、シリーズをきっちり幕引きするという意味においては英断だったと評したいですね。ラブコメ展開でなあなあにお茶を濁してぬるい形で締めることも出来たでしょうに、最後まで物語のテーマと向き合い、やるべきことから逃げずに徹底的に絞り出し、その上でやらなきゃいけないことを全力でやり切った、長期シリーズの完結としては、実に見事な完走っぷりだったように思います。
しかしまあ、この巻においては明日香先輩とサヤ姉がお互いに思いっきり主人公とヒロイン、或いはヒロインとヒーローという構図になってしまっていて、もうこのまま明日香×サヤ姉でもいいんじゃないかという気にさえなってしまうほどだったのには、いろいろな意味で参りました。さすがは【ヒーロー】のカー君のヒーローというべき存在だったサヤ姉です。やることなす事オトコ前すぎてカッコよすぎますよ。もう性別を超えて惚れられて然るべきw 明日香先輩も、カー君が居なかったらサヤ姉と結婚してたな、これ。イスラム圏よりも同性婚を認めてる国の方が国籍も取りやすいでしょう。
可哀想だったのが、小鳥遊さん。そりゃ、色々と悪巧みはしてましたけれど、そもそも犯罪行為は何もしていませんでしたし、別に酷いこともしていなかったにも関わらず、あの顛末ですもんねえ。因果応報にしては、報いが大きすぎますよ。一番割りを食ってしまった形で、同情してしまいました。
で、結局四人目は誰なんですか?w 順当に行くなら、希優さんだわねえ。

シリーズ感想