ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか (GA文庫)

【ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか】 大森藤ノ/ヤスダスズヒト GA文庫

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これは、少年が歩み、女神が記す、
── 【眷族の物語】──

迷宮都市オラリオ──『ダンジョン』と通称される壮大な地下迷宮を保有する巨大都市。
未知という名の興奮、輝かしい栄誉、そして可愛い女の子とのロマンス。
人の夢と欲望全てが息を潜めるこの場所で、少年は一人の小さな「神様」に出会った。
「よし、ベル君、付いてくるんだ! 【ファミリア】入団の儀式をやるぞ!」
「はいっ! 僕は強くなります!」
どの【ファミリア】にも門前払いだった冒険者志望の少年と、構成員ゼロの神様が果たした運命の出会い。

大森藤ノ×ヤスダスズヒトのコンビが贈る、GA文庫大賞初の《大賞》受賞作、ここに開幕!!
元々ウェブ小説として公開していたものを、改めて新人賞に応募したら大賞受賞、という流れで書籍化シリーズ化。最近、やたらとウェブ小説の書籍化が散見されますけれど、安易に本出させてくれるというところより、こうやって正面突破する方が後々考えたら正解だよなあ、と読書メーターなどを見ると結構読まれているのを見て思ったり。
斯くいう私も、この作品はウェブ小説として公開されている時に読んでたんですが、そういえばいつの間にか更新されなくなって見なくなってたんだよなあ。途中でフェイドアウトして完結せずに消えてしまう作品は珍しくもないので全然気にしていなかったので、この再登場は驚きましたよ、うん。
確か、お話の方はだいぶ進んでいたはずなので、続刊も順調に出せそうですね。二巻も即この2月に出すみたいですし。内容の方は、読んでいたにも関わらず殆ど覚えていなくて、兎に角あのフレイヤが陰湿極まりなくてどうにかこの女ギャフンと言わしてほしいなあ、と思っていたのが頭に残っているくらい。まあそれだけ、この女神の所業がひどかったということなのでしょうけれど、忘れているぶんには改めて読んでももう一度楽しめるのでその意味ではお得かもしれません。

しかしこれ、初心者の少年の憧れと恋心を糧にした成長物語というよりも、ロリ巨乳女神のひたすら健気でひたすら報われない失恋し続けるお話ですよねえ。ベルくんが恋するアイスさんは、まだこの段階では直接関わって来ませんし、むしろ受付のお姉さんとか食事処のお姉さんとかの方が仲良くなっているくらい。というか、みんな年上かよ!! 年上かよ!! お姉さんかよ!! まあ、ベルくんという少年は異様なくらい母性を擽る健気系のショタ少年なので、面倒見の良いお姉さんタイプならドハマりしてしまう属性なのだから仕方ないか。更に言うと、イジメ甲斐のあるタイプでもあるのでフレイヤみたいなドSで陰険な女神に目をつけられてしまったとも言えるのですが。
そんなこんなで、色んな年上のお姉さんからちょっかいを掛けられ、一方で当事者のベルくんはというと、ダンジョンで出会って助けられたアイスさんにご執心で夢中でメロメロ状態。ベルくんを守護するヘスティアも、ちゃんと神様として敬され、また唯一の家族としてすごく大事にしてもらっているものの、女の子としては完全に眼中外なのです。にも関わらず、献身的にベルくんをサポートし、報われないにも関わらず身を粉にして働く姿は涙すら誘うほど幸薄い。ヘスティア神って、女神の中でもそこそこ大伸のはずだし、かまどの神様ということで働き者の印象も強いのだけれど、元ニートで働いたら負けだと思ってる系、だったというのは新鮮、なんだろうか。でも、そんな自堕落で友達に生活依存していたようなダメ神さまだからこそ、、一人の男の子の為に頑張って奮闘する、というシチュエーションが映えるのかもしれない。それが、さらに全然報われてない恋なのだとすればなおさらに。
さて、この作品はゲームっぽい世界観にこそ注目が当たっているけれども、面白いなーと思うのはむしろ神様が下界に降りてきて人間と同じ視点で生きている世界ってところなんですよね。勿論、神様である以上超常的な存在としてある意味隔絶はしているのだけれど、普段は人間と同じように振舞い生活しているわけで、敬う存在でありながら非常に身近な存在としても共存している。現にロリ神さまはお店でアルバイトして生計立ててるわけですしね。それに、神様の種類自体もヘスティアたち北欧神話体型のみならず、多神教のところは全部ごった煮で降りてきてるんじゃないかな。そういう神様だらけ、という風景はなんだか出雲とか高天原みたいなイメージで、神在月に日本中の神様が集まってきて宴会して騒いでいる様子なんかが思い起こされて、こういう無駄に賑やかな光景は好きなんだなあ