可愛くなんかないからねっ!〈2〉 (電撃文庫)

【可愛くなんかないからねっ! 2】 瀬那和章/シコルスキー 電撃文庫

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町内で人形が盗まれるという怪事件が続発。『隠れ謡』の関与を疑い調査を開始した文野ハルと砂原コトだが、事件を解決する代わりに何故か町内祭のステージに出演することになってしまう。そのうえ、ハルがミュージカルに出演すると聞きつけたお兄ちゃんLOVEな妹・万里や、旧校舎のマイナークラブたちの手助けもあって、『長月祭』開催に向け一致団結する『神話収集クラブ』の一同。そんな中、突如練習を休むと言い出した砂原さん。…彼女の真意とはいったい?女の子に秘密はつきものなんです!?ドキドキ“未体験”ラブコメ第2弾。

世界一! かわいいよ!

男の子なのに女の子よりかわいいよっ、というキャラクターは昨今さほど珍しくも無くなって来ましたけれど、それが主人公でなおかつ尋常ならざるカリスマの持ち主、というとこれがなかなか思いつかない。パッと思いつく所では、処女はお姉さまに恋してる、の瑞穂さまくらいだろうか。それでも、彼女の場合は女装した上で皆は女の子と思い込んでいた、という条件だったが、この作品の主人公である文野ハルは決して女装して性別を偽っているわけでもなく、正々堂々と男性として日常生活を送っている。
にも関わらず、その人気たるや男女問わず爆発的で、まさに学園一のアイドルでありカリスマ的美少女な男の子として熱狂的に支持されているのだ!
意味がわからない!
わからないが、読んでいると段々とそういうものだと思えてきて、そのうち一緒になって「ハルちゃん可愛いっ!」と気勢を上げているので、感染力は抜群だw
いやー、一巻を読んだ時にはちょっと女の子にしか見えない男の子、くらいの認識だったのだけれど、この二巻では文化祭ならぬ町内祭というイベントで街ごと盛り上がる中で、街中から尋常じゃない声援を浴びまくり、ハルくんが現れただけで嬌声が飛び交うというスーパーアイドルさながらの扱いを見ているうちに、えらく大ウケするようになってしまいました。妹ちゃんのお兄ちゃんLOVEも、普通ならブラコンを抉らせて、と危ない子に見えてしまうところなんですけれど、彼女に限らず、大方の登場人物がハルちゃん相手にはだいぶ頭がおかしくなっているので、万里ちゃん程度なら全然オカシクないように見えてわりと普通に見える不思議。
旧校舎のマイナークラブの部員たちの濃ゆさといい、彼らを含めたキャラ同士の掛け合いのポンポンと軽快で楽しすぎるテンポの良さといい、やたらとキレキレで、後半にかけてのテンションがちょっと異常なくらい盛り上がるんですよね。
残念ながら、この二巻で打ち切りになってしまっているのですけれど、これで終わりということで逆に開き直ってかなり好き放題しているのがいい方に転んでしまったみたいで、後半に行くにつれてコメディタッチのミュージカルみたいにどんどん盛り上がってきて、なんか長期シリーズの大盛り上がりの最終階みたいなテンションになってますよ!? ラストの観衆が固唾を飲んで見守る前での、演劇仕立ての大バトルは最高潮の面白さでした。
これで主人公ハルのワントップかと思いきや、ヒロインズのコトと小町がこれまたヒロインとしても女の子としても頑張ってて、まさに美少女アイドル三人衆として大活躍w コトと小町の恋敵同士としての意気投合も、女の子同士の友情という形できっちり描かれてて、ハルだけでなく色んな登場人物たちが主人公的に焦点として浮かび上がりつつ、一つに集約していくという大きなうねりを感じさせる流れにもなっていて、それも盛り上がりに一役買っていた気がします。
まったく、これで終わってしまったのが非常に勿体無い、楽しい作品でした。長らく、積み上がった本の中に埋もれていたのを発掘して読んだのですが、もっと早く読んでいれば、と後悔しきりです。
作者は最近、ようやくメディアワークス文庫から新刊を出したらしいので、急いでそちらも回収したいと思います。

瀬那和章作品感想