ロゥド・オブ・デュラハン2 不死の都と守護精霊 (このライトノベルがすごい! 文庫)

【ロゥド・オブ・デュラハン 2.不死の都と守護精霊】 紫藤ケイ/雨沼 このライトノベルがすごい! 文庫

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アルフォンスにかけられた「絶望すると死ぬ」死術を解除する手がかりを求め、領都イスルを訪れたリィゼたち。だがそこは、異形の不死者が徘徊する地獄と化していた。「すべての不死者を滅ぼしてほしい」―都を守護する精霊スプリガンの願いを受けて、リィゼは単身都へと潜入。そのころイスルには、都を奪還せんとする大帝軍が迫っていた。絶望の都に、新たなる戦いの炎が上がる!第3回『このラノ』大賞・大賞受賞作、早くも第2巻刊行。
ふぅむ。これは……うむうむ。いやあ、これは読み終わってからも頭を悩ませてしまいました。こんな読後感を味わったのはちょっと記憶になかったもんで。うーん、無理矢理に言語化するならば、本作はエピソードではあっても物語ではない、とでも言うんだろうか。一見、ちゃんと起から結に至る物語としての形は整っているから一概に違うとは言い切れないんで困惑してしまいました。エピソードとして見るならば、非常に面白い出来栄えであったことも、戸惑いに拍車をかけた要因なのでしょう。いや、面白かったんですよ、ほんとに。
ただ、所々で踏みしめるべき地面がなくてスカッと足が空振りしてつんのめるような凄い欠落があるような感覚が読み終わってから付き纏っていて、なんなんだろうこの感覚。一体、何が欠けていたんだろう?
そもそもなんでこれを一つの物語の体をなしていないエピソードというふうに感じてしまったのか。自信はないのですが、一番大きな原因は不死者の都での出来事と、門での戦いを完全に分離しきってしまったからじゃないのかな。両者の戦いは連動しており、それぞれで戦う領姫とスプリガン、リィゼとアルフォンスにもきちんと自分の役割を果たし、違う場所で戦っている大切な人のために全力を振り絞る、というちゃんとした繋がりは生じているはずなんですけれど……。うーん、多少瑕疵らしきものはあるとはいえ、キャラの掘り下げも繋がりも欠かしていないし、重要な部分は怠っていないように見えるんだけれどなあ。その上、実際にお話としても面白かったし、キャラクターの想いの描き方や活躍のさせ方などもよく出来ている。マクロ的にもミクロ的にも、ここがどうよ、と突っ込むような明確な不備は見当たらないんですよね。これで面白くなかったら単に好みの問題ですが……繰り返しますけど、全体的なお話のスクローリングにしても、シーン毎の見栄えにしてもほんと面白かったし、十分楽しめたんですよ。だから、あー面白かった、とページを捲り終えたはずなのに、こんこんと湧き上がる物足りなさというか欠落というかチグハグさというか、んんん?という感覚は、とんとお目にかかったものがないもので、戸惑ってしまった次第です。
うーん、表層を撫で浚っていて踏み込みが足りない、ということなのか。領都と門の戦いがそれぞれ独立して決着してしまったからなのか。肝心の主人公とヒロインであるリィゼとアルフォンスが向き合うお話が放置されて一巻から引き継ぐべき彼ら二人の物語の根幹がぶつ切りになってしまったからなのか。そうであるような気もするし、微妙に的はずれなような気もする。兎に角、自分が感じた感覚についてこれだけ論拠が見えてこない、という事はあんまり無い経験なので、すんごいモヤモヤしてます。……ふむ、面白い。
これは、作者の他にシリーズ2作目を読んでからまた判断するべきなのかもしれないな。
なんか、変な感想になってしまいましたが、面白さの可否を言うのなら間違い無く面白かった、一巻に引き続き優れたファンタジーの良作だと思います。

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