俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる 6.5 (GA文庫)

【俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる 6.5】 裕時悠示/るろお GA文庫

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夏川真涼は、いかにして鋭太のノートを手に入れたのか……。

夏川真涼は、隣の席になった季堂鋭太を見て、すぐにピンと来た。
「ホモだわ、この男」
春咲千和は、前から気になっていたことを、
なにげない風を装って、幼なじみの鋭太に聞いてみた。
「夏川真涼ってコいるでしょ?」
季堂鋭太は、元カノができる前、「自演乙」が結成された初夏に、“かわいい妹"と出会う。
「やっと会えました、美晴のおにいちゃん♪」

『GA文庫マガジン』に連載されていた
「俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる+H(ぷらすえっち)」を完全収録!
さらに書き下ろし短編はカオルの秘密が明らかに!?
裕時悠示×るろおが贈る甘修羅コメディ!
短篇集かと思ったら、これ番外編か。コミカライズされている作品の中で「+H(ぷらすえっち)」という作品があったのだけれど、その小説版がこれ、ということだったのね。てっきり本筋に入らない掌編をつらつらと連ねている作品だと思っていたのだけれど、これがなかなかどうして、結構シリアスなお話でした。恋愛アンチにして、恋だの何だのというたぐいには憎悪すら抱いている夏川真涼。そんな彼女ですから、自分に交際を申し込んでくる男どもなんぞ、一顧だにせずあしらい続けてきたわけです。とは言え、軽い気持ちで声をかけてくるものもいれば、中には本気で恋をして、勇気を振り絞り一世一代の気持ちを込めて告白してきた人だっていたのでしょう。そういう本気な人たちにとって、真涼の態度というものは大事なものを粉々に砕かれるような、とても残酷なものなのです。恋も愛もくだらない、ならばその色恋に本気な人たちもくだらない人間なのか。彼ら彼女らの本気の気持ちもまた、くだらないものなのか。これは、真涼や鋭太が、本気でぶつかってくる千和たちとの交流の中で直面していく問題であり、自分たちの中に芽生えてきた気持ちと向き合うために答えを見つけなければならない問題であり、この物語の主要なテーマの一つでもありました。その問いかけを、自分たちの内輪で築いた円環の外側からコンクリ塊で殴りつけてくるようにぶつけてきたのが、今回の番外編だったように思います。
案の定、攻撃特化型の真涼は受けに回ると紙装甲なので、見事にズタボロになり、意外なほど強靭にして柔軟な鋭太はこれを綺麗に受け止めてしまうのですが。まあ、このどの覚悟から見ても酷い女である真涼を十全受け止めてしまっている時点で、鋭太の靭やかさは保証されているようなものなんですが。真涼に勝る爆弾も地雷も早々無いですからね。そんなふうに彼を錬りあげたのはチワワの存在とも言えるのですけれど。鋭太の恋愛不信が真涼のような人間不信にまで陥らずに済んだのは、彼女がストッパーになったようなものですしね。
ともあれ、真涼のやってきたことが自業自得で報いとなって戻ってきたのを、彼氏である鋭太が見事に火消してみせた、というお話。主導権握って鋭太を振り回しているように見える真涼ですけれど、何気に話が進むにつれて潜在的に鋭太に頭が上がらないような関係になってってるんですよね。これは、その端緒と言ってもいいのかもしれません。
さて、書き下ろしの短編はというと、鋭太の唯一の男の親友であるカオルの秘密が明らかになるようなならないような、微妙なお話。これはまた、勿体ぶるというかお茶を濁すというか、事実は疑いようもないものの事情は計り知れない、という感じの内容になってるなあ。
さり気なく、正妻戦に首を突っ込んで居ない分、一番ズルズルと最後まで浮気相手として潜伏しそうな立ち位置だな、これ。

シリーズ感想