聖剣使いの禁呪詠唱〈ワールドブレイク〉 2 (GA文庫)

【聖剣使いの禁呪詠唱〈ワールドブレイク〉 2】 あわむら赤光/refeia  GA文庫

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覚悟はしてるさ――俺が最強になればいい。

「灰村君と交際しなさい、静乃」
学園最大の戦果をあげ、精鋭チームでも活躍し始めた灰村諸葉。
その力は世界にたった六人しかいないランクSセイヴァーに匹敵するものだった。
だがその能力ゆえに理事長――静乃の兄から目をつけられてしまう。
諸葉を権力の歯車に巻きこみたくないと願いながら、
漆原家の掟に逆らえず、密かに心を痛める静乃。
その兄の野心と企みに、現ランクSの一人"白騎士"エドワードが加担し、
事態は思わぬ様相に……。

激突、最強対不敗!!
愛する少女の哀しき鎖を断ち斬る、前世共鳴の学園ソード&ソーサリィ第二弾。
天地に轟け、禁忌の魔術――今、少年は不可避の運命を破壊するッ!!
うーーーむ……面白い! やっぱり面白いですよ、これ。前世だの異能力だの世界最強だのSランクだの、最近だと逆にネタにされてしまう要素タップリなのは相変わらずなんですけれど、茶化したりもせずガチンコで真面目なストーリーを組んでやってこれだけ面白いんだから、大したもんですよ。ちょっとデビュー作シリーズの【無限のリンケージ】の本気で一つのことにみんなで取り組んでいく、というスタイルへの回帰を垣間見た気がして嬉しかったり。
前回の感想記事でも言及したことだけれど、とにかく主人公の諸葉が地に足がついたしっかりとした人格と考え方の持ち主なんですよね。図抜けた力を持っていることに浮つくこともなく、逆に力を拒否するわけでもなく、かといって必要以上に醒めてクールに構えているわけでもない。他人よりも図抜けた力を持つということは、面倒事を沢山引き受けなければならないけれど、同時に出来ることも多くなる、と割りきって考えている傾向が見受けられる、その考え方は物事を優劣で捉える考え方を排するものであると同時に、利用できるものは利用するし、人間関係は穏当かつ友好的に社会秩序は常識にもとづいて則るべし、しかし自分の中の一線は譲るべからず。とまあ、実直な機会主義者というかフラットな現実主義者というか、ともかく非常にバランスのとれた精神性の持ち主なんですよね。空気の読める主人公、とも言える。なので、見ていて安心できるんですよね。無茶する必要のない場面では絶対に無茶しないし、無茶しなきゃいけない場面では絶対に裏切らずに無茶を押し通してくれる。物おじしない性格の男の子というのは猪突猛進のきらいもあって、ややも暴走しがちなんですけれど、諸葉に関してはその心配はまずありませんからね。意外と腹芸も出来ますし、世渡り上手な面もあり、器用に人間関係も繋いでいるので、わりとどのポディションでも熟せそうですし、先輩後輩男性女性上司部下の区別なく、全方位から信頼を寄せられそう……あれ? 完璧超人じゃね!? 一見、そんな風には見せない地味で緩い部分もある性格も、実は密かに完璧さを補強しているように見える。
何にせよ、期待というものを裏切らないし、とにかく読んでるこっちにストレスをまったく与えない大した主人公ですよ。それでいて、決めるべき場面ではきっちり決めてくれるわけですから。
なんか、足踏みするつもりは毛頭ないようで、わずか二巻目で一気にステップアップして世界最強の6人の一角とガチンコ勝負するという事態に。にも関わらず、未だにまったく底を見せない主人公、激つええ!! 一方で、相手の【白騎士】エドワードも器をさらけ出してしまう、ということも全くなく、これまた無茶苦茶さ加減を如何なく発揮し倒してくれて、この一戦でSクラスというものがどれだけデタラメなのかを、その性格やらキャラクターもシッチャカメッチャカっぷりも合わせて十分見せつけてくれました。これで、他の5人のSクラスはどんなんなんぞ!? と興味もふつふつと湧いて来ましたしね。
徐々に脇を固めるキャラクターも充実して来ましたし、デビュー作シリーズもそうでしたけれど、この作者さんは色んな立場立ち位置の人間を沢山登場させて物語に放り込んだほうが、ガンガン話も動き出し幅も広がるタイプに見えるなあ。
とはいえ、どうやらヒロインはやはり静乃とサツキの二人で固定の模様。幼女も出てきてますけれど、さすがにメインには食い込みそうもないなあ。それだけ、二人は鉄壁です。

1巻感想