獅子は働かず 聖女は赤く 4 あいつ、我とか言いだしおった (獅子は働かず 聖女は赤くシリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)

【獅子は働かず 聖女は赤く 4.あいつ、我とか言いだしおった】 八薙玉造/ぽんかん(8) スーパーダッシュ文庫

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「君は世界を変えられるんだ」
ついに明らかになったアンナの秘密!
運命に翻弄される少女が選ぶ明日は!?

《裏切りの獅子》ユリウスと、見習い修道女アンナの旅は転機を迎えた。魔女たちの隠れ里《茨の城》を巡る戦いで、ユリウスは中央教会の精鋭《獅子の牙》を打ち破った。しかし、満身創痍の彼は倒れ、アンナは中央教会に連れ去られてしまう。
大きな秘密を抱く彼女を利用しようと策謀が巡らされる中、再び立ち上がったユリウスは、《竜の魔女》サロメたちと共に中央教会の中枢、教都ノヴァリアに襲撃をかける。しかし、彼の前に立ちはだかったのは、驚くべき敵だった!!
竜と鋼と魔女のファンタジー、時々コメディ第四弾!

もうヤメテ、お師様のライフはとっくにゼロよっ!! 
なんで出てくるキャラ、みんなしてお師様ディスるんだよ。元々サロメって最初からライフゼロの超弱キャラだけどさっ、確かに暇さえあれば苛めたくなるようなキャラだけどさ!!
崇め敬い親愛をこめてディスる、ってちょっとした新境地だよね。これだけ身近な人達に慕われ大切に思われながら、けちょんけちょんにけなされてしまう人が居ただろうか。一応一番の年長者で、実際に功績も確かで<竜の魔女>なる悪名で恐れられる偉大な賢人であり、主人公にもお師様と呼ばれる指導者であり教導者であり、偉くて大変な人だというのに……ここまでチョロくて弱くて押すと引いちゃうどころか、足をもつれさせてひっくり返って後頭部打って悶絶して泣いちゃうような人だというのは、なんなんでしょうねこれ。サロメ師匠については、ちょっと似た類型が思い浮かばない。ナチュラルボーンキラーズなメインヒロインというアンナさんも相当独特で他の追随を許さないガラパゴスなヒロインだけれど、サロメのこれは全く新しいキャラなんじゃないかな。少なくとも、自分は彼女を表すキャラの属性を思いつけない。

というわけで、アンナさんを連れ去られ、自身も心身ともにボロボロに傷つき昏倒したユリウスが再び目を覚ました時に寝ていた場所は、当初の目的地だった魔女たちの隠れ里。そこは、元々サロメが作り、世間から追われた魔女たちを匿っていた場所であり、そこにいる魔女たちはサロメを母として慕っていた。これまでのサロメの発言からして、自分は単に<茨の城>の関係者の一人にすぎない、みたいな顔をしてからに、実際にはサロメ自身が創設者であったわけです。ホントにこの人は弱キャラのくせに、実際にやってることは凄いんだよなあ。ホント、この人がやってるとは思えないくらいの実績なんだが。助けられ守られてきた魔女たちの方も、サロメをお母さんと呼んで慕っているくせに、その扱いときたら酷いのなんの。お師様と呼び崇めながら、サロメに働かせて日銭を稼がせ、食事や洗濯などの家事も押し付けて自分は優雅にニート決め込んでいたユリウスもかくや、という木っ端扱いである。
誰か、サロメに優しくしてあげて!!
そのうち、打算で優しくしてくれる結婚詐欺師とかに引っかかりそうで正直こわいです。

何とか動けるまでに回復したユリウスは、当然のようにアンナを取り戻すために動き出す。働きたくない働きたくない、とサボることばかり考えながらその実、勤勉な働き者だったりするユリウス。ただ、今回ばかりは仕方なしに、というわけには行かず、義務にかられてでも大切な人の遺言を守るためでもなく、気づいてしまった自分の想いに殉じる形でアンナをさらった帝国に乗り込むことに。
立ちふさがるのは、残された最後の「獅子の牙」、かつてのユリウスの同僚たち。まったく、「獅子の牙」という連中はどいつもこいつも、キワモノ揃いか!!
ヤンデレコルネリアが一番マトモとか、どういう一団なんだこの連中。仮にも神聖なる異端審問の執行機関のはずなんだが、とても宗教的な狂信性が見えない連中なんですよね。宗教的じゃない狂乱性については極め付きもいいところなのですが。
とりあえず、この古豪アンドレア爺さんは、真性にヤバイです。というかダメです。あんた、孫くらいの年齢の少女にナニ本気になってるんだーー!! 隠せてない、そのヤバゲな恋愛感情、まったく隠せてませんから!! 老いらくの恋どころじゃねえですってww
これがもっとこう、落ち着いた老人の秘めた静かな恋心、とかだったら叙情的で素敵にすら思えるのかもしれないけれど、こいつのは駄目だ。どう見てもただの「ヘンタイ」にしか見えないw
ただ、相手の超秀才の少女のほうが特に嫌がってもいないので、別にいいのか、セーフなのか? 単に気づいていないだけじゃないのか?w 誰か、教えてやんなさいよ、危険性とか、ヘンタイについてとか。50年以上の年齢差についてとか。

ともあれ、立ちふさがる敵を魔女たちの協力もあって突破したユリウスを待ち受けていた最後にして最大の障害は、驚きのあの人。突然「我」とか言い出しちゃったあの人の登場である。
でも、実のところ「我」モードのこの人はあんまり怖くないんですよね。どれだけデタラメに強かろうと、そんなに怖くないし恐ろしくない。どれだけチートな能力で蹂躙されようと、圧倒的な力でねじ伏せられようと、それがどうした、という感じ。だって……。
あんた、普段の方が無茶苦茶怖いから!!
いや、実はこの能力が無意識に発動してたからあれだけ不意打ちとか食らわせられてたのだっ、とか力説してましたけれど、絶対嘘。絶対嘘です。あんた、そもそもちゃんと相手のこと見てもいなかったじゃない。ハッキリ言ってあのナチュラルボーンキラーなヤバさは、その能力では説明がつきませんから。なんかそれっぽく、実はこうだったんですよ、とか言って自分で納得しているみたいですけれど、違いますからね。あんたがヤバかったのは、能力云々の無意識な発動とかいうぬるい理由じゃないですからね。
本能です!

と、何だかんだと終わってみると非常に大迷惑というか、らしいいつものことだったというか、収まるところに収まってくれたのですが……コルネリア乙。いや、コルネリアは置いておいて、ご愁傷さまなんですが置いておいて。これで何とか話もまとまったか、と思われたところで、最後の最後に大ドンデン返しの真実が明らかになり、真の黒幕がヴェールを脱ぐ。
……いや、驚いたけど! すごい驚いたけど!! いいのかこれ、ラスボスというか黒幕がこれで!?
棒でつついたら倒せそうだぞ!? 或いは、ちょっと大きめに実ったスイカなんぞを、思わず受け取ってしまうように投げ渡したら、それで簡単にやっつけられそうだぞ!?
なんでそんなことするんだ、と物凄い怒られそうだけどw

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