つきツキ! 10 (MF文庫J)

【つきツキ! 10】 後藤祐迅/梱枝りこ MF文庫J

Amazon

「――ねえ忍、もしあたしがいなくなったら、どうする?」
生徒会選挙に立候補することになったマキナは、オレに別れをにおわす言葉を投げかけてきた。さらに、ブラムのおっさんまで家に現れ、マキナを魔界に帰すと言う。マキナと一緒に居たいと願うオレたちは、マキナが生徒会長になれば考えも変わるだろうと動き出す。選挙ポスター作成のため、えっちなコスプレ写真を撮ったり、息抜きに催眠術を試してみたりと、なんだかんだでいつも通りの日々を過ごすオレたち。しかし、どうやらマキナは本気で魔界に帰ることを望んでいるらしく……!? 学園ハートフルラブコメ第十弾!!
暗い過去に囚われた心。楔を打たれた深い闇の中で、新たな光が今、輝き出す――。
そろそろ本気で地上波放送が不可能なレベルになってきましたよ? ってか、これはもうエロゲ化してもいいんじゃないですか? 冗談抜きでスキンシップが15禁クラスになってきましたし。マキナとの一緒にお風呂シーンなんぞ、ビデオ判定必要なしのアウトでしたし。
というわけで、今回はマキナ回。二巻の表紙を飾ったように、マキナは本来ならルナに続くセカンドヒロインという立ち位置で登場したにも関わらず、我らが聖ちゃんの躍進によって本作はルナと聖の二大巨頭がせめぎ合うスタイルへと徐々に移行していってしまい、マキナはというとストンと同級生だけれど妹ポディションというところにストンと収まってしまったわけです。ただ、そのままならまだサードあたりを確保できていたはずだったのですが……。
聖の付き人でメイドさん、という登場時にはほぼ脇キャラだったかおるんが、そのキャラの濃さ故にか段々と出番が増えていき、過日についに聖に肩を並べるようなほぼメインヒロインと言っても過言ではない立場までのし上がってしまうという下克上が発生し、いつの間にかエニルとの友情を温めていたマキナは、ルナたちへの遠慮もあってかむしろ大事な家族の一員という立場で描かれることが多くなり、ヒロインとしては一歩退いたところに安定してしまっていたのでした。
マキナのヒロインとしてのスペックを見るならば、決して大人しく後衛に収まっているようなタマではないにも関わらずこの位置に居るという事実が、ルナと聖という双璧の強大さを再認識させてくれる。そして、その谷間にモブ出身にも関わらず見事に割り込んでみせたかおるんのキャラのパワフルさが実感できる。
だが、スポットさえ当たれば、マキナもこれら前衛陣に決して勝るとも劣らないのである。というわけで、今回のマキナはこれまであった遠慮や意地を張るという後ろ向きな気持ちを一旦捨て置き、全力全開で忍へのアプローチを始めるのである。リミットを区切った思い出作りという心積もりだったからこそ、今だけは自分を見てほしいと素直な姿で接してくるマキナ。デレた健気な女王様の強力さたるや、これまた凄まじいの一言。前向きに見えて実は全開で後ろ向きだったりもするので、イケイケどんどんにも関わらず、どこか儚さや終わりを見定めた透明感なんかも兼ね備えていて、妙な艶っぽさが漂っている。天然エロスな姉の妹もまたエロスw
娘を二人共とられることになった親父さんとしては、これは複雑なものがあるんだろうけれど、この親父さんからして忍を見込みまくってるからなあ。聖の親父さんもそうなんだけれど、何気に忍ってオヤジ受けもよかったりするのが面白い。

と、マキナの事情を中心に自体が進んでいくのだけれど、その一方でマキナの一番の親友であり、今やルナと並ぶもう一人の姉貴分として(……妹分だと思ってた)マキナのために奔走していたエルニが、どうやら次の当番回の模様。神を自称する彼女の正体こそが、この作品における一番の謎だったんですよね。ついに巻数が二桁に到達するまで、彼女については詳細が一切不明のまま来てしまったので、ようやくエルニの話、ということでワクワクしている自分がいる。

シリーズ感想