ひきこもりの彼女は神なのです。8 (HJ文庫)

【ひきこもりの彼女は神なのです。8】 すえばしけん/みえはる HJ文庫

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新米の神となった天人が、実尋市の危機に立ち向かう!!

唯一神・御子神てとらの弱体化によって、街では悪神・氷室結に扇動された人外たちの騒乱が頻発。「天秤の会」が総出で対応を強いられる中、新たな神となった天人は亜夜花とともに戦う意志を強めていく。一方、寮を出た梨玖はてとらに頼まれた"役目"を果たすべく行動していたが……!? 人と「人ならざるもの」の命運をかけた戦い、怒濤のクライマックス!!
ああ、良かったなあ。人と神様たちの新たな時代を自ら掴みとり繋げていく物語、ここに完結。人と人ならざる者たちとの交わりというテーマに対して真剣一途、そして心温まる素晴らしいハートフルなお話でした。前シリーズの【スクランブル・ウィザード】に続く、文句のつけようもない最高の幕引きで、この作者本当に上手いわー。それも安定高値。これほどレベル高いところで最初から最後まで綺麗に伸ばして広げて収められる能力は、一言凄いと思いますよ。もっともっと名前売れてもいいと思うんだけれどなあ。
派手に燃える展開こそありませんでしたけれど、本作はバトルものじゃなく、人と人の間にまつわる心の在りようを突き詰めていく話だったので、人の心の隙を突き相手の嫌がる部分を刺激し弄ぶように自在に引っ掻き回す悪神ロキに対して、これを痛快にぶっ飛ばす、という方向にはなかなか行かないんですよね。むしろ、ねじ曲がり絡まってしまった想いを丹念に紐解いていき、柔らかく穏やかにササクレだったものをなだめて諭し導いていく、優しさを以って乱を制するお話だったように思います。神威による天罰ではなく、寄り添い共に時間を共有し気持ちを繋いでいく、それが新しい人と神との在り方を体現してみせた最終回だったのではないでしょうか。
それが、神に列せられた半天使と、その傍らに侍る死者の女王の新しい神話。彼らが輪になって繋いでいく人と神たちの、新しい時代に紡がれていくべき世界のあり方。それを、見事に描ききった最終巻だったように思います。
亜夜花が終始デレっぱなしで、天人くんにベッタリだったお陰で、コウタが常時嫉妬状態だったのが苦笑モノでしたけれど。迷走していた梨玖と違って、コウタは自分の気持もハッキリしているので、この亜夜花に出し抜かれた展開は忸怩たるものがあったんでしょうけれど。状況的に亜夜花がベッタリ、天人の従属神になったのは仕方ないだけに、文句言えなくて憤懣溜まってそうw あとあと、梨玖よりもコウタの方が怖そうだぞ。
亜夜花と対になるように、このシリーズにおける最大の問題だった梨玖の心の迷走も、ついに決着。ヤンデレを拗らせた挙句についには自虐自滅の方へと転がり落ちていってしまい、かなり真剣にその末路を心配してしまったのですが、ちゃんと答えを掴めてよかったよかった。この子の病み方のヤバさ危うさはかなりスパイシーで作品全体の刺激にもなっていたので、多少ヤンだままでもいいのじゃよ? とか思わないでもなかったですがw
てとらさんには、寂しい気持ちにさせられましたけれど、託されるというのはやはり悪い気持ちじゃありません。頑張らないと、という気持ちにさせられますしね。ついに、引きこもりだった神様も自宅待機状態から社会に復帰することになり、最小にして最重要の課題もなんとか解決。まさにめでたしめでたし、でした。
……って、亜夜花、中学生相当だったんかい!!! ちょっ、それあかん、犯罪じゃね!? ま、まあ小学生相当の嫁がいる中年教師も居るんだから、セーフか、セーフか。神様に年齢は関係ありません。

シリーズ感想