瑠璃色にボケた日常 2 (MF文庫J)

【瑠璃色にボケた日常 2】 伊達康/えれっと MF文庫J

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タイプの違うボケ二人(瑠璃&翠)に延々ツッコミを入れ続ける……そんな孝巳の日常は、とある少女の来訪で破られた。グラマーな肢体に泣き黒子が印象的な彼女の名は、三塚柘榴。とある事情で関西から来た彼女は、生霊を専門に扱う霊導師、三塚家の者らしい。丁寧な言葉づかいの割に際どいネタをふってくる柘榴に振り回される孝巳だったが、凄腕の霊導師と勘違いされたことで「頭取さん」という怪人をめぐる事件に巻き込まれてしまい――「紺野様はGカップがお好みなのですね。ちなみに、私はFカップでございます」……ボケその3はエロネタ担当!? 大人気美少女ツッコミ系バトコメ、幽雅に白熱する第二弾!
漫才って脚本が面白いんじゃなくて、芸人の喋りだよなあ。と、実は結構よく出来ているんじゃないかと思える瑠璃の作ったネタを見ながら思ったり。これ、まかり間違ってアニメにでもなって、絵と声がついたら実は笑えたりするんだろうか。なんてことを書いている以上、漫才それ自体は特に笑えるものでもなかったことがあからさまなわけですけれど、これを読んでいるとむしろ作中で演じられている漫才を見て腹を抱えて大爆笑、なんてことになってしまうとむしろ雰囲気を損ねてしまうので、実はこれでイイんじゃないか、なんて思えてきた。
一巻の感想でも力説してしまったことだけれど、この作品、メインヒロインの瑠璃が(何気に翠もハマってきてる)「お笑い」を志向している一応コメディに類される作品にも関わらず、それは表向きだけで実際はそれぞれが抱えている事情もヘヴィだわ、立場にまつわる話もシビアだわ、話しそれ自体一貫してハードでシリアスだわ、と軽く読みながせるんじゃなくて逆に読み応えある厚みのあるタイプの作品なんですよね。
ただ、一巻の段階では若干物語の推移に硬さが見られて色んな状況説明なども介在したためか、話が佳境に入るまでやや退屈さを感じさせる側面があったのですが、その辺りがこの二巻では劇的に改善されていて、いやあぶっちゃけ凄い面白かったです。全体のバランスも完成度も高かったし基礎部分もしっかりしていて良作だなあ、という感想からさらにステップアップして、読んでてグイグイと惹きつけられていく吸引力が生まれていて、キャラクターも新キャラの柘榴も含めてかなり自由に動き出して魅力的になり、とにかく今回は最初から最後まで面白いなあ面白いなあ、と感じながら完走してしまいました。これは、思っていた以上に伸びる作品になりそうな手応えをガッツリと感じましたよ。
ちなみに、お笑いという意味では間違いなく新登場の柘榴が使いこなす「シモネタ」が断トツのトップを快走しつつ、翠が目覚めた一発ネタには、あれはやられた、さすがに笑かされてしまいましたよ。あそこまで霊導師としてのあれこれを投げ捨てながらの捨て身ギャグで、どや顔されてしまうとねえw
と、お笑い的なスタンスはさておいても、ヒロインとしても翠と新キャラ柘榴の躍進は目覚ましいものでした。特に翠は瑠璃と和解できてメンタルに余裕ができたのか、折々に触れて非常に可愛らしい側面を見せて来ましたし、基本的にカッコいいんですよね、この娘。
逆に瑠璃は、この娘はほんとになかなか本音を明かさずふざけてるのか真剣なのかわからない言動で周りを引っ掻き回すので、未だにメインヒロインにも関わらず掴みどころがなくてよくわからない娘なのですけれど、たまーにいきなり急所をつくような可愛い言動を見せるから侮れない。孝巳の膝にごく自然に乗ってしまったりしているのを見ていると、あれで案外甘え上手なんじゃないかとすら思えてくる。さらっと語る孝巳に対する絶大な信頼を寄せている相棒宣言や、翠が困ってたら何があっても助けるよと気負いもなく口にしてみせたりと、こうツボを心得てるんですよね。果たして、それが意図したものかはわからないんですけれど。
丁々発止を繰り広げながら、瑠璃と翠が本当に親友同士でお互い大事にし合っているというのが、今回の巻では折にふれてかいま見えたのが、なんだかほっこりさせられてよかったんです、うんうん眼福眼福。ここに、柘榴も加わって、何気にまれに見る仲の良いヒロイングループだわな、これ。
ちなみに、柘榴の【首斬小町】の本性炸裂のラストはかなりの威力でした。なんで翠が表紙じゃないんだよ! と思いましたけれど、この娘も色んな顔があって実に魅力的なヒロインだったなあ。

1巻感想