選ばれすぎしもの! 3 (電撃文庫)

【選ばれすぎしもの! 3】 峰守ひろかず/京極しん 電撃文庫

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異世界の王女マヤが加わり7人となったヒロインたちと暮らす、僕こと水尾護。勇者として異世界の平和を護る…はずが、何故かビーチで男だらけ!でもビーチということは水着に着替えたヒロインたちも勢ぞろいですよね。しかし、水着をも凌ぐ更なるお色気イベントが僕を待ち構えていた!果たして僕は襲いくるヒロインたちから逃げ切れるのか?ってなんで襲われてるの!?そんな苦難?を乗り越えた僕だが、偽勇者ゴルディアスの正体を暴くため旅立つ決意をする。一緒に行けるのは1人だけだというが―?こき使われ系勇者の物語、完結。
最初からおおよそ三巻くらいで締める予定だったと思われる書き方だったので、おそらく順当な完結編。もうここらへんになると、護はフラウディアと完全にいい雰囲気に収まってしまっていて他のヒロインズとはフラグが立ちようもなくなってしまっている。まあこの作者さんは、主人公は一人に一途だった方が主人公自体がイキイキし出すのでそれで良かったと思うのだけれど、それで他のヒロインたちがやや中途半端な立ち位置になっちゃってたんですよね。あとがきを読むと、ハーレム・スタイルの作品なのでヒロインが主人公以外と明確なカップルを作ることを止められてたみたいなんだが、この人の場合いっそ推奨して沢山カップル作ってラブラブさせた方が全体に躍動感が生まれてきそうなものなので、掣肘が作品自体の勢いを止めてしまった感があるので残念であります。だいたい、殆どみんなカップル成立寸前だったじゃないですか! これじゃあもどかしいったらありゃしないですよ。叢雲さんが二人の男性からアプローチされて右往左往する話や、みんなのお姉さん・キトラが恋に目覚める話しなんか、凄く読んでみたかったですよ? 特にキトラ姉さんは自然児でありながら非常に出来た人なだけに、ハリさんとの間に育む恋愛感情がどんなふうに現れるのか、とても興味引かれるところだったのに。
そして、個人的には博士の恋愛話こそ一番楽しみにしていただけに、エピローグでさらっと流されてしまっているだけなのは微妙に悲しかった。ラブコメ的に一番映える性格してたのはこの人だったろうに。完全にただの貧乳担当になってしまっていたw
そんな博士を裏切って、成長すると他の女性陣を圧倒するスーパーダイナマイトボディになることが発覚したアーニー。乱暴者で荒くれ者の拳銃使いで何より年齢的に一番子供だったにも関わらず、実は一番理性的で周りが無茶苦茶やりだすと正論吐いて抑えに回るというキトラ姉さんに負けず劣らずに第一印象と実体が間逆だった彼女だけれど、そこにわがままボディまで加わるとなると、成長した時のキャラクターが思いっきりチグハグになりそうで面白いんだよなあ、この娘。前巻ではまだ子供だから相手となる人居ないから護兄ちゃんにベッタリか、かと思ってたら、そもそも精神的に大人すぎてあんまり甘えてこないわ(だからこそ、此処ぞという時に頼ってくるのが可愛いのですが)、キトラの弟と実はイイ仲になってたりとか、おのれキトラ姉の弟め、将来はしっかり者の巨乳姉ちゃんをゲットかよ。
しかし、並み居る履歴経歴の持ち主であるヒロインたちを押しのけて……というほど押しのけてもいないけれど、他の娘さんたちがフラグらしいフラグも立てないまま、ほぼ順当に護との関係を育んだフラウディア。魔法は使えるけれど実はただの食堂の娘さんだったこの娘がヒロインの座をゲットした、というのはある意味画期的だわなあ。唯一、護に対して恋愛感情を差し向けた魔界のお姫様マヤには、きっちりとお断りを入れ、ちゃんとフラウディアと付き合いだすあたり、護のきっちりした誠実さが伺える。言動見てると、外見ほど真面目じゃないんだけれどね、こいつ。まあ、でも身の丈というか価値観がぴったりと合ったカップルで、見ていて微笑ましい恋人同士でした、といってもこの作者が書くカップルはだいたいみんな見ていると自然と顔が綻ぶ微笑ましさなんですけどね。ともあれ、みんなお幸せに。
とは言え、何だかんだとデビュー作である【ほうかご百物語】のハードルは高いご様子。あれは面白かったからなあ。次回作は河岸をメディアワークス文庫に変えつつ、もう一度妖怪をテーマにしたお話になるようで、心機一転頑張って欲しいところであります。

峰守ひろかず作品感想