盟約のリヴァイアサンII (MF文庫J)

【盟約のリヴァイアサン 2】 丈月城/仁村有志 MF文庫J


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《竜弑し》のルーン・弓の秘文字を授けられたハル。アーシャや織姫と共に、傍目には羨ましい学生生活に戻るのだったが――そんな日々も束の間、銀竜パヴェル・ガラドが日本に襲来する。彼もまた《竜弑し》の所有者、剣の秘文字を継ぐ者だった!
悪路王、水無月らリヴァイアサンと共に挑むハルたちだが、銀竜の猛攻に窮地に立たされる。そして、織姫が絶体絶命となったそのとき、ハルはついに“魔導の杖"を錬成し……!? 弓か剣か――いま、《竜弑し》同士の苛烈な戦いが幕を開ける! 至高のドラゴン・エンタテイメント、鮮烈に刻む第2弾!
 うおおおっ、織姫凄いわ、これ。この娘、カンピオーネ!含めた丈月城作品の中でも頭ひとつ抜けて女子力高いんじゃないか。この二巻で彼女のヒロインとしての真価を見るつもりでしたが、はっきり言って想像以上でした。うっかり癖と天然系の無防備さと脇の甘さも含めて、ほぼ完璧。カンピのエリカみたいな計算高さが無い分、聡明さが全然怖さに繋がってないんですよね。自分の意見はしっかりと持っているタイプにも関わらず肉食系には程遠くてガツガツしてないし、明瞭快活な割に奥ゆかしいし、素直で真っ直ぐな気質のわりに意外とクレバーだったり、ととにかく万能もいいところ。ヒロインの属性としても、彼女ならあらゆるパターンを網羅出来るんじゃないでしょうか。状況に応じて、様々なヒロインとしての顔を見せることの出来る器の大きさを感じさせられるんですよね。
主人公のハルが、普通の主人公と違ってかなり精神的に大人、しかも己の才覚一本で世の中を渡っていく経験と自負を持った自分以外に自分の主を持たないタイプの人間だけに、彼と対等に付きあおうとするなら女性側も相当に確固としたものを持っていないと容易に庇護対象として囲われてしまうと思うのですが、その点織姫はハルからどんな厳しくも過酷な要求を突きつけられても平然とこなしてしまいそうな感触があり、なんかもう出会うべくして出会ってしまった、というような二人なのである。なまじ、今回から本格的に関わることになった魔女の羽純が、虚弱で本来魔女としての資質に欠けながらも、大人しい性格とは裏腹の強い意志と覚悟を持ったまさしく正統派のヒロインとしてアピールしてきた事で、余計に織姫の比類なさが浮き彫りになった感すらある。
これはもう、アーシャどうするんだ!? と、思ったらこの娘、対抗心をむき出しにした結果……思いっきり正反対の大残念ヒロインの方へと突っ走りはじめたぞ!(爆笑
謎の怪人物M部長のアドバイスに従い、ただでさえ女子力ゼロなのにどんどんダメな方向へと転げ落ちていくアーシャ。M部長が悪いんじゃなくて、この場合はアーシャがもう、どうしようもないというかなんというか。お前はあれか、出来杉くんには敵わないからのび太くんを目指してしずかちゃんにこいつ自分がついてないとダメだと思わせて拾ってもらうという腹かw

さて、一巻ではいまいちシステムが良くわからなかった竜と竜殺しについて、ようやく得心のいく展開というか説明がなされた。そもそも、竜殺しとは名前の通り「竜を殺す」武器であり称号のはずなのに、どうしてその殺される対象である竜たちがこぞってそれを狙おうとしている、それも我がものとしようとしているのかが一巻を読んでて違和感が付き纏っていたところだったのだけれど、なるほどそういうことだったのか。つまり、竜とは種族としての意味以外に、存在の階梯…位階としての意味合いもあり、たとえ種族として竜ではなくても、たとえば人間でも、竜という位階に登る事ができ、その上で竜王の座を目指す事が出来るのか。
つまり、ハルもまた図らずも「竜」となり、竜殺しを継承した僭主となってしまい、竜王を巡るバトルロワイヤルの只中に参戦してしまった、というわけなのね。
何気に、ハル以外にも純潔ではない雑種の竜が多々いるようで、今回登場した竜王の一人、雪風もどうやらその一人のご様子。またぞろ、アテナよろしく主人公と血みどろに相まみえるを良しとしているタイプの危ない人のようだけれど、ハルって自分個人としても竜殺しとして戦えるけれども、むしろ魔女を介して魔女の蛇を強化して使役する方をメインにしているようなので、戦いのバリエーションはかなり多岐に渡りそうな予感。しかしまあ、相変わらずこっちも魔女の覚醒のさせ方がエロいなあ。身も心も明け渡させて、従属させて物理的にモミモミして、とやりたい放題。それを依存しがちのチョロいヒロインにやらすのではなく、自立し自己をしっかりと持った意志の強い、ある意味大人びた少女たちに自ら望んで貢がせる、という点でシチュエーションの勝利である。それを受けて立つハルが、また無菌的な性欲を持ってないような男子ではなく、むしろかなりすけべえなところのある、というかちょっとは思春期の男子らしく恥じらえ、と思うくらいふんぞり返った自称ムッツリスケベなので、食べられるシーンが実に美味しくいただかれている感じなのであります。さすが、丈月城さん、と言わざるをえないw

ちょっと性格的に暑苦しいきらいのある敵キャラ・銀竜パヴェル・ガラドが何気にしぶとい一面を見せ、さらに竜王雪風と新キャラの魔女登場と、さらについにハルが竜殺しを継承してしまったことが組織にバレ、とそろそろ本格的にガンガン話が進んでくる予感。こっから面白くなってきそう。

1巻感想