天帝学院の侵奪魔術師<ドメインテイカー> 2 ~天帝の条件~ (HJ文庫)

【天帝学院の侵奪魔術師<ドメインテイカー>  2.〜天帝の条件〜】 藤春都/refeia HJ文庫

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侵奪の英雄、天帝を目指す!

入学式の最中、突然、アストにひとりの新入生が抱きついてきた。その少女は昔、アストと兄妹の様に暮らしたマリノだったのだ。
その数日後、聖堂から先日のドラゴン暴走の調査に枢機卿がやってくる。
アストも尋問されたりと不穏な空気の中、マリノが連れ去られる事件が。
あとを追うアストが行きついたのは、かつて女神を祭っていた廃聖堂だった。
あれあれあれ? あんまり魔術が得意ではなく、やや内向的な性格もあってか落ちこぼれ気味だった妹姫リトフィアでしたが、先日の事件をきっかけにようやく人並み以上に魔術を扱えるようになったわけですが……なんか、途端に困ったときにはとりあえず出力任せに腕力任せで押し切っちゃいましょう、なパワー馬鹿キャラになってるぞ!? ちょっとは立ち止まって考えましょうよ。えいっ、と掛け声可愛くとんでもない力任せにやらかしまくってますよ、あーた。おかげで、煽りを食ってエルザさんが完全に後始末して回るポディションに。涙目になってフォローしながら後をついてまわるキャラにw エルザさん、そういうキャラじゃないから。本来もっとこう、アグレッシブなツンデレキャラとしてアストに突っかかったり、赤面したりするキャラだから。それが、リトフィアのおかげでアストにかまってる暇もなくなってるし。あかん、不遇キャラポジに入っちゃってる(笑
ある意味、リトフィアのキャラが立ってきているとも言えるんだけれど、まさか脳筋キャラになるとは思わなかったですよ。
その一方で、新登場の義妹のマリノはというと、初登場は目立てないとの法則でもあるのか、いまいちピシっとキャラが立たないまま終わってしまった感あり。無口無表情系の妹キャラとしては全然悪くはないと思うんだけれど、何かしらキャラが立つような、或いは主人公のアストとの間でインパクトのあるエピソードがなかったままだったんですよねえ。最後の事件の方も、黒幕さんの方にスポットが当たっていて、マリノは人質ポディション以上の関わり方が出来なかった感がありますし。
その今回の黒幕さんも、動機がシャンとしないというか、彼の動機からするとアストと敵対する必要があんまりなさそうなんだが、敢えて彼があんな行動に出ないといけないという強迫観念に駆られるだけの狂気とか歪みがあんまり伝わって来なかったかなあ。善良な人間であるからこそ、現状の貧しい人が救われず、上に立つものが役割を果たしていない状況に耐え難い怒りともどかしさを感じている、というのは決して悪くはない原動力ではあったと思うのですけれど、それならもっとちゃんとした形でアストの後ろ盾になって彼をもり立ててあげればよかったのに、と思わないでもない。
ちょっと動機と行動が支離滅裂だった気がする黒幕さんに比べて、ややも面白い立場になってきたのが生徒会長のアルヴィンである。この人こそ、物語におけるラスボス、みたいな顔して暗躍している割に、悪意が無いというかアストに対してあんまり含みを持ってないんですよね。それどころか、自分の欲望に忠実でありながら、バックグラウンドに邪な思想や組織を持っていないので、どうも悪い人じゃないっぽいんだよなあ。とは言え、厄介な人であることは間違いないんだけれど、彼の目的からするとあんまり変なことはしてこなさそうなんですよね。それどころか、場合によってはアストにとって一番頼りになる味方になってくれそうな雰囲気もあり、何ともあやふやで定まらないことが妙な魅力として機能している面白いキャラになってきている気がする。彼については、安易に敵になってほしくないなあ。それは、ホントに勿体無い使い方だと思う、彼のようなキャラは。

1巻感想