クロックワーク・プラネット1 (講談社ラノベ文庫)

【クロックワーク・プラネット 1】 榎宮祐・暇奈椿/茨乃 講談社ラノベ文庫

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――唐突だが。世界はとっくに滅亡している。
死んだ地球のすべてが、時計仕掛けで再現・再構築された世界――
“時計仕掛けの惑星”。落ちこぼれの高校生・見浦ナオトの家に、ある日突然黒い箱が墜落する。中にいたのは――自動人形の少女。
「あんな故障一つで二百年も機能停止を強いられるとは。人類の知能は未だノミの水準さえ超えられずにいるのでしょうか――?」
榎宮祐×暇奈椿×茨乃が共に紡ぐオーバーホール・ファンタジー!
ぎゃああーーーーーーー! あかんわこれべらぼうに面白いわぁーーーっ! ちょっ、これほんまどないしてくれんねん!!
全身の毛穴が開くような、フリーフォールで内臓がぶわっと持ち上げられるような、そんな鳥肌モノのシーンがあちらこちらに散見していて、心拍数あがりっぱなしですよ。
うはは、【ノーゲーム・ノーライフ】で思い知ったつもりでしたけれど、この尖りきった部分を無邪気に振り回す大暴れっぷりはたまったもんじゃないわー。どころか、共著のお陰で持ち味が消えるどころかいい具合に化学反応を起こしていると思しき気配もビンビンにするんですよね。あとがき見てると、共著と言っても計算された分担作業なんかじゃなくて、もうシッチャカメッチャカにお互いキャッキャとはしゃぎながら好き勝手に書きまくり、それを粘土でこねくりまわしているような有様で、こんな無分別な共著とか見たこと無いよ! よくまあ、そんな書き方で一本の作品に仕上がるもんだと唖然とするくらい、あとがきの雰囲気大騒動なんですよね。いや、あとがきだけ見ても笑えて面白かった。
しかし、そういう好き放題が相乗作用すると、こんなんなるのか。これもひとつの奇跡だわなあ。お互いの発想を面白い面白いとまぜこぜにすると、こんなんになるのか。いやあ、凄い。
とにかく、キャラクターの魅せ方、盛り上げ方がちょっとキてるくらいにイカしてるんですよね。ナオトにしてもリューズにしても、そしてマリーにしてもぶっ飛んだキャラであり、突き抜けた能力の持ち主というのは最前提として、それを如何に派手に、度肝を抜くように、思わず呆気にとられてしまうように魅せるかについて、そりゃもう尖りまくってるんですよ。やっぱ、発想のスケールというか、在り処が全然違うよなあ。なんでそんなこと思いつけるの!? と思うような異常さが、もろに此方のハートをわしづかみにしてくるのです。
リューズの故障箇所の原因の概念なんて、どういう頭してたらそういう発想湧くんだろう。ナオトがさらっとなんでもないことのように原因を口走った時には、本気で「え、何言ってるの?」と呆然としてしまいましたからね。それが、周りで聞いてた登場人物の心境、胸の内と完全にシンクロしてしまうものだから、驚き様まで作品の内の内にのめりこんでいってしまうわけです。
夢中になる、というのはこういうんだろうなあ。驚愕を、物凄いものを目の当たりにしているという感動を、作中の登場人物と共有することでより深く、ダイレクトに感じるんですよ。その演出の仕方が、この作者たちは抜群に上手い。エンターテイメントというものの粋を極めてる。素晴らしい。
だいたいからして、マリーもナオトもウジウジと停滞せず、おいやーー! ととにかく行動してやってしまうキャラなので。それも、一旦立ち止まりかけてもお互いに影響しあって、リューズやハルターのおっさんも遠慮なく後押しするから、もうイケイケドンドンなんですよね。だから、痛快さ爽快さも留まるところを知らないわけです。悪意も理不尽もこの世の矛盾も、絶対無理も絶対不可能も何もかもぜんぶドカーンと吹き飛ばすこの快感。
最高じゃあないですか!
リューズのフルスロットル。マリーとナオトという天才同士の奇跡の共演。人が届かないはずの神の領域に指先を引っ掛けるような、心奪われるような光景。いやあ、凄いものを見せてもらいましたよ。
あと、リューズの人を人とも思わぬ毒舌とは裏腹の、黙らせるともろにデレが出てしまうのとか、反則じゃね? いや、マリーもいいんですよ。このちびっ子、誇りの在処を心得まくってる、気概にみちたすこぶるイイ女なんだよなあ。ハルターのおっさんも、このにじみ出る渋さと頼もしさがたまんねえです。
イラストの茨乃さんも、いい仕事してましたよ。この人は【神さまのいない日曜日】とかでお目にかかってましたけれど、いやあええ感じでした。
もうなんもかんもたまんねえ感じで面白かった、楽しかった! これは、超おすすめ。