ストライク・ザ・ブラッド (7) 焔光の夜伯 (電撃文庫)

【ストライク・ザ・ブラッド 7.焔光の夜伯】 三雲岳斗/マニャ子 電撃文庫

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凪沙が倒れたと知らされて、急ぎ病院へと向かった古城。そんな古城たちの前に現れたのは、先代の第四真祖アヴローラと同じ姿を持つ謎の少女だった。真祖の眷獣を自在に操り、古城と雪菜を追い詰めていく少女。はたして彼女は本物の第四真祖なのか。そして彼女との接触によって甦る古城の記憶とは―ついに明かされる古城の過去と、第四真祖にまつわる秘密。世界最強の吸血鬼が、常夏の人工島で繰り広げる学園アクションファンタジー、待望の第七弾。
なるほど、そういう事だったのか。今までは、第四真祖ことアヴローラが今の古城たちの状況をつくり出した黒幕、というよりも古城側の「プレイヤー」的な存在だと思ってたんだが……いや、大まかな括りとしてはまだアヴローラの思惑が後ろで糸を引いているという形で間違ってはいないかもしれないけれど、今まで考えていたような大上段に立って古城たちを見下ろしているような立場の人間――吸血鬼ではなく、運命に翻弄される立場としてはむしろ古城たちと同じ高さ、同じ目線に立っていた古城たちにも身近な人物であったのではないか、という要素が此処に来て見えてきたわけだ。つまり、影で蠢く黒幕ではなく悲劇のヒロイン・サイドであった、と。
もっとも、肝心な部分はまだ勿体ぶって見せてくれないので、一体何があって古城は第四真祖になったのか、についてはまだ不明なままなのだけれど。てっきり、アヴローラと古城との関係は二人が出会ってそれほど間を置かずに古城が第四真祖にされた、というくらいの認識だったからなあ。なので、冒頭からはじまった過去編が四年前であったことにはかなり驚かされた。今まで凪沙が四年前に事故にあって、その治療で絃神島に住むようになったという説明に何の疑問も抱いていなかっただけに。でも、凪沙が今になってアヴローラの力の一端を引き継いでいるらしいことが明らかになった時点で、四年前の事故についても疑問におもうべきだったのかもしれないけれど。でも、まさかアヴローラと数年来の付き合いだったとはなあ。
そんな第四真祖の彼女と出会う事になった四年前の事件は、そもそも古城と凪沙の父親である暁牙城が絡んでの事だった。父親の名前が牙城って、暁家は代々そんな凄い名前なのか。それも、戦う考古学者ってまたぞろインディみたいな。毎回一人だけ生き残って帰ってくる、というあたりは存外呪われてそうなかんじだけれど。
その親父さんが、現在まったく音沙汰なし、というのがこの場合逆に不気味と言っていいくらい。自分のせいでとんでもないことに巻き込まれてしまった子供たちを救うために姿をくらました親父さん。再び現れる時はまず決定的な物語の転換点になりそうな予感がする。
しかし、第四真祖が通常の真祖とこれほど意味合いから違う存在だったとすると、その第四真祖となった古城についても結構立場も変わってくるんですよね。獅子王機関はどれくらい、この事実を把握しているだろう。いや、確実に知っては居るのか。長老である静寂破りがあれだけ事情に精通していたことを考えるなら。だとすると、雪菜を古城に付けたのも、前に言ってた冗談みたいな真祖に好を通じさせるために嫁にやった、みたいなパワーバランスに慮ったという理由ではないってことになってくるんですよね。むしろ、本気でサポート役として送り込んだのか。
第四真祖になった当時の封印された記憶を思い出した古城も、どうも様子が変わってきているし、さらには浅葱が何だか今後のキーパーソンになってきそうな要素が出てきた上に、ついに彼女に第四真祖のことがバレてしまったり、と状況は大きく動きそうな気配が漂ってきた。でも、浅葱さん、事実を知って真っ先にくいついたのが、雪菜に「ヤッたのか!」と迫ることだったのは、色々とアレですぜw むしろ、吸血されることにそれだけ食いついてしまうと、逆になかなか吸ってもらえないフラグになってしまうような。
矢瀬の回想から、浅葱が古城の気を引くために随分昔から努力してきたのを知ってしまうと、さらに不憫に見えてきたなあ。あのわりと派手目なファッションも、自分の好みのオシャレというよりも古城の気を引くため、というのは泣けてくるじゃないですか。
そういえば、矢瀬の言う自称彼女って、シンプルに閑古詠だと見ていいんだろうか。年上で学校の先輩、みたいなことを言っていたような記憶があるので、多分該当するのは閑だとは思うんだけれど……大穴でヴェルディアナとかだったら面白いんだけれどな。あの人、かなりチョロそうだったし。

三雲岳斗作品感想