マグダラで眠れ (3) (電撃文庫)

【マグダラで眠れ 3】 支倉凍砂/鍋島テツヒロ 電撃文庫

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ついにカザンの町への入植を許されたクースラたち。鍛冶屋組合の少女イリーネと共に、グルベッティの町を出る準備を始める。しかしその最中、ウェランドが、“錬金術師ではない”という疑いを掛けられ、入植団に加われない危機に陥ってしまう。最初は放っておくしかないと思っていたクースラだが、「仲間を大事にしたい」というフェネシスの熱意に打たれ、ウェランドを助け出す決心をする。そして、“自分たちが錬金術師であること”を証明する方法を探り始めるのだが、これがなかなか難題で―?眠らない錬金術師と白い修道女が贈る本格ファンタジー、シリーズ第3弾。
フェネシスの耳って、猫耳だったのか!! 今まで獣の耳とは言ってたけれど、猫と明言されていなかったような。改めて猫耳、と言われるとガツンと来るものがありますね。曖昧に獣耳と言われてもピンと来なかったものが、急に具体的になってきた。フェネシスはネコミミ少女!!
さて、今回はクースラとフェネシスがお互いに意地を張って冷戦状態になってしまうという、一見修羅場なんだけれども、よく見るとやっぱりイチャイチャしているようにしか見えないというさりげに難易度の高い糖分補給をやってのけているお話でした。
なんか、ロレンスもそうでしたけれど支倉作品の主人公は、というか頭のいい人は自分に良い訳するのが好きですねえ。【狼と香辛料】の場合はロレンスとホロの両方が自分の気持に色々と勝手に理屈付けて決めつけてしまっていたんで、女神父さんにガツンと直言されるまでえらい遠回りしてしまったものでしたが、コチラのクースラもまた自分を定義付けてしまうのが好きなタチのようで、自分では仕切りと冷たい人間であり、フェネシスだって甘やかさないし、なんでもお願いしたらホイホイと叶えてしまうような気のいい人間じゃないんだよナメんな、と斜に構えてカッコつけてるんですが……いやいや、あんたフェネシスにお願いされたら結局何だかんだと全部叶えてあげてるし、思いっきり甘やかしまくってるじゃないですか。そのくせ、自分はクールだからそういう甘いことはやんねえんだが、仕方ないからやってやっただけで、本当は俺はクールな男だから自分がフェネスシのお願いを聞いてやったなんてのは隠しておこう、知られたらいい気になっちまうからなアイツ、とか気取ってるし。
そのくせ、フェネシスに怒って無視されると、イライラし出すわ気にして焦りだすわさり気なくフェネシスの気を引こうとし出すわ……で、実は全部フェネシスにバレバレだったりするし。

おいおい、もしかして端から見てるとクースラって相当に恥ずかしいやつなのか?(笑

とはいえ、フェネシスももうクースラのそういった部分については概ね把握しているようで、手を引かれて導かれる側だったフェネシスが、クースラの性格を読み切って彼をうまく自分の思うとおりに誘導する、なんてことまで出来るようになっていたとは。今回は人見知りスキル全開で、随分と弱い部分を丸出しにしていたフェネシスだけれど、何だかんだと良い感じで強かになり、クースラにおんぶに抱っこではなく、一端に彼の隣に立てるくらいにはなってきたような実感も伝わってきて、何とも微笑ましい限り。今回の一件って、端的に言うとフェネシスが甘え上手になりました、てなもんだもんなあ。これからより一層クースラの甘やかしが過剰になっていく予感すらするぞ。
ちょっと意外だったというか驚いたのが、イリーネが完全にクースラたちの仲間入りをしてしまったこと。もうちょっと部外者的な立ち位置で、カザンまでの旅程に参加してくるのかと思ったら、まさか工房に住み込んで一緒に行動することになるとは。さすがに未亡人のヒロインというのは珍しいんじゃないだろうか。まあ、クースラとフェネシスの間に割って入るようなことはまずないんだけれど。それどころか、クースラとウェランドしか頼る相手が居なくて、いささか逃げ場というか退避場所がなかった感のあるフェネシスにとって、同性で姉御肌のしっかりもののイリーネの仲間入りは、精神的にも随分助かるんじゃないだろうか。まあ、最初は居場所を取られたみたいに、隅っこに追いやられて小さくなってましたけれど。そのあたり、確かに子猫だなあ。でも、イリーネは本心からフェネシスの全面的な味方になってくれるみたいなので、実に頼もしい限りである。フェネシスの秘密についても知ることになったわけですしね。

とまあ、錬金術師たちもこうして四人組となり、新天地カザンへ向けて出発! となった途端に、大変な出来事が。うわぁ……これって、もろに梯子を外されたようなもんじゃないですか。どうすんだ、これ。

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