六蓮国物語  翠竜と赤の天女(下) (角川ビーンズ文庫)

【六蓮国物語 翠竜と赤の天女(下)】 清家未森/Izumi  角川ビーンズ文庫

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皇位簒奪を企てた崇怜が暴走する煌国。凶悪な龍神の力を発揮させた崇怜を、息の合った戦いで追い詰める結蓮と季隆。しかし瀕死の崇怜に結蓮は術をかけられ、人の立ち入る事が許されぬ龍宮へ強制的に帰されてしまう。季隆は結蓮を追いかけ、龍宮にむかうのだが―!?結蓮の下した恋と使命の決断は!?清家未森が渾身の力で贈る、中華ファンタジー感動の最終巻。
崇怜ザマァ。と、思わず呟いてしまうくらい、同情の余地なくバッサリと振られて切って捨てられてしまった崇怜さまでした。ほんとなら、もっとカタルシスを感じるように、痛い目見て「そんなバカな〜〜」とか言いながらみっともなくフェイドアウトしてくれたら嬉しかったのですが。まあ、男としてあの未練がましさ極まる最期は、みっともないっちゃみっともなかったですし、実はイイところもあったんですよ、なんて部分も皆無だったので概ね満足だったのですが。いやあ、自分この人本気で嫌いだったみたいです。なかなかこうも生理的嫌悪を催させる悪役というのはいないので、その意味では非常に貴重な人材だったのかもしれません。あんまりこういう人物がやり過ぎるとイライラが募ってしんどいのですけれど、結蓮ちゃんは毅然とした態度で小揺るぎもしませんでしたし、季隆はナイト役と魔法使い役を見事に両立させて一貫してキビキビと動いてくれてましたからね、その意味ではストレス全然感じなかったんだから、大したものだなあ。
結局、黒龍の復活云々は完全に物語の本筋から外れた余分に過ぎず、ついに伏していた真の黒幕の登場か!? と思ったら、速攻復活と同時に封印されて以後本当に一切登場しなかったのには笑ってしまいました。なんて酷い扱い(笑
まあこの作品、堅物の結蓮ちゃんをどうやってメロメロにして陥落させるか、というお話でしたので、その辺り首尾一貫していてよかったんじゃないでしょうか。ここで本筋ずらしてしまうと、別にそういう話読みたかったんじゃないし、という事になってしまう可能性もありましたから。

季隆の選択については、概ね予想通り。結蓮がその頑固さを失わない以上、彼女の意志を尊重する限りああするしかないですもんね。ただ、それを即座に成し遂げられるだけに実績を積んでいるとはさすがに思わなかった。別れと感動の再会までのスパンは相当長いことになって、はるか遠い伝説にしか残ってないような過去と遠い日に別れた人たちに思いを馳せながら、再会した二人はもう二度と離れることなく……という、ハッピーエンドながらもちょっと切ない系の終わりになるんじゃないかと思ってたんで、エピローグの冒頭はちょっと騙されましたよ。
将来的には人の身に過ぎない親しき人たちとは別れなくてはならないものの、それはまた未来のお話。今は、これまでと同じような親しい人々に囲まれた生活の中で、しかしこれまでとはちょっとだけ関係の変わったラブラブ新婚生活を送る結蓮ちゃんと季隆でした、めでたしめでたし……っと。なんか、イチャイチャ度はあんまり先頃までと変わってない気もしますけどね!!
あんまり長引かせずコンパクトにまとめたシリーズでしたけれど、うんうん甘くて楽しいお話でした。

清家未森作品感想