彼女たちのメシがマズい100の理由3 (角川スニーカー文庫)

【彼女たちのメシがマズい100の理由 3】 高野小鹿/たいしょう田中 角川スニーカー文庫

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兄のことが好きすぎて、「ガチでヤバい」からと山奥の超お嬢様学校に通う妹の華凪。そんな妹に会いに、2泊3日で長野県に向かうことになった葉介たち。今回は幼なじみの紅緒が作る恐怖のお弁当もなく、美味しい駅弁を食べたりして、奇蹟的にメシマズがない幸せな時間だったはずが、生物実験室で再会した華凪はこんがり揚がったセミの唐揚げを作っていて!?節足動物もレシピ次第で美味しく食べられる!新感覚メシマズラブコメ。
虫は、虫は絶対イヤーーーーー^!! こればっかりはどんなに美味しくてもダメです、絶対無理。初級編だとかいうイナゴだって、何が初級だこらーーっ! ましてや幼虫とか、あかんてホンマあかんて。この妹ちゃん、幾らなんでもレベルが高すぎです。健康志向のドラックジャンキーのオメガがまだ可愛く見えてくる。ってか、いったい何があって虫食にハマっちゃったんだ、この娘。もうお兄ちゃん好き好き超愛してる、というのがどうでもよくなるくらい、虫のインパクトが凄すぎました。メシマズが新感覚的すぎますよ、これ。
とはいえ、料理描写についてはこれがなかなか丹念かつ迫真的で、実際に料理を前にしたような感覚を覚えさせられるという意味では、あの超メシウマ小説【ベン・トー】に或いは伍してもおかしくない描写力だと思うんですよ、これ。惜しむらくは、その描写力が全力でメシマズの方向に向かっているということでしょうか。この本気で不味そう感は大したもので、ある意味これを読んだ後だと普通に食べるご飯に感動して素晴らしく美味しく食べられそうな気がします。全然嬉しくないけどね!!
いやあ、文化祭にかこつけた公開料理対決イベントの阿鼻叫喚地獄は吹きましたわ。本気で地獄絵図じゃないか(笑
食材映すだけでもアウトなのに、調理シーンとか絶対放送コード引っかかるだろうな、これ。なんか怖いもの見たさでアニメ化してくれないかと思ってしまった。
さて、メシマズラブコメのラブコメの部分ですけれど、ガチでお兄ちゃんが好きすぎた為に家族と離れた学校で寮生活をすることになった妹、という事なので相当にヤバい娘なのかと思っていましたが、華凪ちゃんそこまで病んだ娘ではありませんでした。てか、これは世間一般(?)のヤンデレ系妹のレベルが高すぎるんでしょうけれど。むしろ、オメガの華凪ラブっぷりの方が若干リミッター振りきれていたような。オメガのぶちきれた態度から、なんか深刻な事態に陥っているのかと危惧したのですが、オメガの葉介への敵愾心は概ね勘違いが元になっていたようで(誤解するのも仕方ない状況だったのですが)、変に拗れずに済んでよかったです。妹ちゃん現るの展開のわりに結構オメガのヒロイン押しが強かったのは驚きでしたけれど……この作品に関しては葉介と紅緒の仲はガチガチの鉄板だからなあ。はっきり言って、この二人に割って入るのどうやったって無理ですよ。相思相愛は半ば自覚的であるようですし、お互い添い遂げる気満々ですからねえ。妹の華凪が紅緒に敵意むき出しというのも、こりゃあ仕方ない。
今回については、葉介の妹への愛情と紅緒に対する向き合い方、その区別がよく出ていて、彼の考え方というか重きの置き方というのはなかなか面白かったです。甘やかす、という意味では妹の方を大事にしていて、紅緒に対しては遠慮しないところがある。ただ、それがお互いへの絶大な信頼と尊重にもとづいているのが、何ともニヤニヤさせられるところなんですよね。
エピローグでの、あの敷居を挟んだお風呂での二人のやり取り。果たして、二人はちゃんとその言葉に込められた夏目漱石的な意味を知っていて、口にしていたんでしょうか。私は、二人とも知っていてお互いに語りかけていたように思うのですが、如何でしょう。だとするならば、素敵だなあと思うところ。

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