お前のご奉仕はその程度か?6 (GA文庫)

【お前のご奉仕はその程度か? 6】 森田季節/尾崎弘宣 GA文庫

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詩憐の母が“純潔教団"を乗っ取り、帝国に攻めてくる! ?

詩憐の元に届いた、母・采理からの手紙。そこには詩憐を迎えにいくと書かれてあった。しかし、采理は前皇帝を殺したと言われる存在。その上、“純潔教団"をも掌握したという。そんな彼女の予告に帝国宮廷内に激震が走る。

「マジなの? マジ? ていうか、マジ? 緊急増税の必要あり?」
「どさくさにまぎれて増税するな! 」

口では母の誘いを断り、帝国にいると応える詩憐だったが、その表情はすぐれない。一方、王花は、詩憐と良太に自らの決意を告げる。

「良太、皇帝陛下であるアタシのミニオンになりなさい! 」
ボーイ・ミーツ・ヴァンパイア・ラブコメディ、急転の第6弾!
王花ははっきり言って今までよく我慢してたと思うよ。暴君みたいに振る舞いながら、一番大事だった良太についてだけは妹に遠慮してずっと指を咥えて耐えていたんですから。松子やササラまでが良太にちょっかいかけだす中で、一人だけ自分は皇帝だからと我慢してたんですから。よく耐えた、よく我慢した。はっきり言って、詩憐はこれだけアドバンテージを与えられながらその有利さに胡座をかいて関係を進展させることを怠ったのは怠慢のそしりを受けても仕方ないと思う。恋愛は遠慮したほうが負け、というのは真理かもしれないけれど、それを決定的なものにしなかったのは詩憐だもんなあ。王花の気持ちを考えると、なんかもうしんどいですよ。妹を愛していて、それでも良太を愛していて、愛情の板挟みでずっと苦しんでいたんですから。奪うにしても譲るにしても、詩憐の言動は王花派としては姉に傷を残すばかりで、正直ちょっと腹立たしかったであります。
それにしても、王花と詩憐の母親たちと父親である先代皇帝の関係の修羅場っぷりは、ガチすぎてちょっと参った。元々は仲良くうまくやっていた三人だけに、皇帝暗殺事件の真相はあまりにも残酷で目を覆わんばかりであります。これは、先代皇帝王淵の優しさが……ハーレム主人公的な優しさがみんなを傷つけた一つの例ではないかと。王花の母親なんか、あれ生きたまま廃人みたいになってるじゃないですか。最初登場したときは引きこもってるダメな母親かと思ったら、元気に見えてその実態は完全に抜け殻ですよ。彼女が王淵と采理の二人を嫌いな人間第一位、第二位とあげつらって悪口を言いまくってるのがまた見ていて痛々しい。嫌い嫌いと言いながら、話している内容を聞いていたら、嫌いの反対の大好きだったと言っているようにしか聞こえないんですよね。采理の娘である詩憐への態度なんか、憎い仇の娘、自分にとっての意に沿わぬ義理の娘であるにも関わらず、滅茶苦茶優しいですよね。王花と同じように、それ以上に自分の娘のように大事に扱っているわけです。それだけで、彼女の気持ちが伝わってきそうなものじゃないですか。
その彼女の口から語られる、一人の男を二人の女が好きになるという悲劇。哀しみしか生まない恋の末路。コメディのはずなのに、空気が重い重い。
いい加減、良太自身の決断が必要な時期だよなあ……とか言ってるうちに外の世界がえらいことに。“純潔教団"、絶対的な敵組織だったんじゃないんかいっ!! あんまりといえばあんまりな末路の上に、予想の斜め上を行くはっきり言って日本なにやってんの、と説教したくなるような展開に「えーーっ!?」てなもんですよ。
いや、これは一体どうするつもりなんだろう。着地地点がまったく想像できん!

森田季節作品感想