ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 2 (GA文庫)

【ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 2】 大森藤ノ/ヤスダスズヒト GA文庫

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「初めまして、白髪のお兄さん」
ベルに声をかけてきたのは、自ら《サポーター》を名乗る少女・リリだった。
半ば強引にペアを組むことになった少女を不審に思いながらも、順調にダンジョンを攻略していく二人。束の間の仲間。
一方で、リリが所属する【ソーマ・ファミリア】には悪い噂が絶えない。
その先には、人の心までも奪うとされる《神酒》の存在が──?

「神様、僕は……」
「大丈夫、ベル君の異性を見る目は確かなのさ。神のように、きっとね」

これは、少年が歩み、女神が記す、
── 【眷族の物語(ファミリア・ミィス)】──
颯爽とかっこ良く助けに入ったつもりだったのに、ベルくんに逃げられて落ち込むアイスたんカワユスw
アイス自身もベルくんには関心があるのに、見事なくらいに空回ってしまってる。こういう不器用な人は向こうからアプローチしてくれないと、うまく関われないんですよね。なのにベルくんと来たら、アイスが折角一生懸命頑張ってコミュニケーション図ろうとしているにも関わらず、焦って恥ずかしくって逃げてしまう始末。必然的なすれ違いであります。ベルくんも受けサイドなので、受け同士ってこういう場合大変なんだよなあ。
一方で、強引なくらい攻めの姿勢に転じればなんやかんやと関われてしまうのがウケ属性。自己主張が薄い、というのではないんだけれど、強く拒絶できなくてズルズルと受け入れてしまう、というのはベルくんの性格なんだろうね。勿論、こういう性格だと引っかかりやすいのが詐欺のたぐいであります。ヘスティアさまに引っ掛けられたのも、ある意味詐欺だったもんなあ、あれ。おもいっきり騙されて弱小ファミリアに入れられたようなものだし。この子が幸いだったのは、これまで悪意を持って騙そうと近づいてくる輩がいなかったことにあるのでしょう。居ても、周りの人達がなんやかんやと守ってくれてるんですよね。今回だって、エイナさんがわざわざ個人的に動いて調べて回ってくれていたりしているわけで。非常に恵まれた交友関係の持ち主であります。
これもベルくんの人徳というヤツなんでしょうかねえ。
良い子良い子というのは、その性格の良さが鼻について嫌われる子というのも少なからず居ると思うのだけれど、ベルくんの場合はその点あまり嫌味が無い上に一生懸命さが非常に庇護欲を掻き立てられるタイプなので、多分他人から好かれるタイプなんだろうなあ。
逆に言うと、よくまあリリはこんな子を獲物に選んで搾取しようとしたもんである。騙しやすそうなのはひと目でわかろうものだけれど、彼個人だけではなくその交友関係を見渡してみたら手を出すにはかなり危ない部類のターゲットだというのは分かりそうなものなのだけれど。現に一度、アウトになりかけたわけですし。
一方で、サポーターとして雇われるには他に類を見ないくらい好待遇で、信頼出来る雇い主だというのはこれまた嫌になりそうなほど実感してただろうに。
それでも、そんなやっと手に入れたはずの幸いを敢えて投げ捨てるほどに、リリの心に刻まれてしまっていた傷と冒険者に対する不信は大きかったという事か。
裏切られゴミクズのように尊厳を踏みにじられる事によって傷ついた子が、回りまわって信じぬける相手だと期待するのではなく、早く裏切ってその醜い本性を見せて欲しいと懇願するように希望するように成り果ててしまった無残さは、哀れの一言である。自分が、かつて自分を踏みにじった連中と同じ醜い顔をしていることに半ば気づきながら、なおも駆り立てられるようにして何も知らない純真無垢な相手を踏みにじろうとする事への暗い興奮と疲弊感。本来なら何も救われず悪意だけが巡り巡って拡大していくような虚無的な話で終わるはずだったのに、そんな螺旋を汚れのない純真さでせき止めてみせたベルくんは、怠惰で仕事をせずに遊びまわってるリアル神様たちと比べても、信仰に値するような神様みたいです。神様、たまにはヒゲモジャのおっさんも救ってあげてください、可愛い女の子だけじゃなくって。
酷いことをされたからって、関係ない人にひどいことをしていい理由にはなあ無い。その意味では、リリの末路は自業自得と言っても仕方ない、なんて言ってしまうと世の中悪意に埋め尽くされてしまうのでしょうけれど、個人的には地道に健全に頑張ってる子にもっと報われてほしいなあ……って、この作品の場合それってベルくんになるんだろうか。でも、ベルくんは能力付与的に十分報われている気がするしいろいろ自覚が足りなくて危なっかしいので、この際やっぱり地道にバイトしてるヘスティアさまに報われて欲しいところである。いやでも、この人もちょっと偏愛的すぎるところがあって引くので、そのあたりで煮詰まっててくれたほうが平和な気がするなあ。
つまり結局、エイナさん頑張れ! ってことだよ、うん。

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