魔王のしもべがあらわれた! (4) (電撃文庫)

【魔王のしもべがあらわれた! 4】 上野遊/一真 電撃文庫

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南の島から戻った後、様子のおかしいシュバルツリヒトを元気づけるため、僕こと椎名明は彼女を誘って町へと繰り出した。しかしそこでは思わぬ出来事が!「パパ、会いたかった!」突然現れたこの真っ白な女の子は誰!?ってか、パパって僕のこと!?(み、身に覚えないぞ!)ヒカリと名乗る少女は僕から離れてくれず、ひとまず僕とシュバルツはヒカリを椎名家に連れ帰ることに。でもいくら「パパ」と間違えてるとはいえ、一緒にお風呂に入ったり、一緒に寝たりはまずいでしょ!?椎名家に波乱を呼ぶヒカリの正体とは!?そしてついに魔王復活!?シリーズついにクライマックス。
あー、最後ちょっとバタバタして終わってしまった感があって残念だったなあ。本作の真骨頂というのは、やっぱりアットホームな家族ものとしての雰囲気だっただけに、今回最終回にも関わらず冒頭から要と小虎が早々に離脱して別行動になってしまったのはかなり大きな影響があったんじゃないでしょうか。結局、この二人については最後まで明たちと絡むことなく終わっちゃいましたし。折角、前回で軋轢が溶けてシュバルツと明、桜と要と小虎という家族のサークルが完成していただけに、それを崩したまま終わってしまったのはやっぱり勿体無かったですよ。自分にできることを必死に頑張る子どもたちに、自分たちの手が届かないところで頑張る子どもたちを何とかサポートしようとする頼りになる大人たち、というこの作品特有の見応えのある構図もなかったですしね。ともかく、お話をたたむことに終始してたようで、上記した理由もあって全体的にバタバタしてる感が否めなかった気がします。もうちょっとじっくり、シュバルツと明の関係を熟成させてくれても良かったんですけれど、それも「アカリ」が加わってそれどころじゃない状態のまま、核心へと至ってしまったからなあ。
魔王の正体については、明にそれらしい予兆が全くなかった為に一体どういう真実が待っているのかと首を傾げていたのですが、なるほどそっちからのアプローチでしたか。この間のシュバルツの変な反応の意味を捉えそこねていたのですが、シュバルツ自身の正体がそこまでイビツなものと思っていなかったので、思い至らなかったなあ。決して珍しい展開ではなかったと思うのですけれど。
しかし、こういう存在は正体が不明であるからこそ畏怖が生まれるもので、いざ本当に姿を表してしまうとそれがどれだけ強力な存在だとしても結局、物質的な脅威に過ぎないんですよね。あんまり、過去の戦争再び、という感じでもなかったですし。あれはやはり、種同士の存亡を賭けた戦争だったからこそのおぞましさがあったので、魔族の正体が明らかになってしまったり、最終的に「種全体」ではなく「個」との戦いになってしまった事はスケールダウンの印象を強めてしまったような気がします。
今回一番わり食ったのは、やっぱり要だよなあ。何気にお姉さんがひっそりとあんな事になってしまったのは、この作品のシビアな部分を表しているようで、何度も首肯するところではあったのですけれど、要個人としてはダメージ半端なかったでしょうし。
個人的にかなり好きなシリーズだっただけに、完結まできちんとこぎつけたのは良かったですけれど、もうちょっとイイ所で着地して欲しかったなあ、というのが正直なところでした。
桜ちゃん、お仕事お疲れしたー。

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