カンピオーネ! 14 八人目の神殺し (カンピオーネ! シリーズ)

【カンピオーネ! 14.八人目の神殺し】 丈月城/シコルスキー スーパーダッシュ文庫

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剣の王・ドニが魔術結社を招集して催した神獣狩りに護堂を招待する。
イタリアで再会した二人の神殺しに魔術師たちは騒動の予感を覚える。
不審な行動を取るドニを追った先で、謎の洞穴に吸い込まれた護堂、エリカ、恵那の三人はどことも知れぬ場所をさまようことになってしまう。
さらに、その地で護堂は新たな神殺しと邂逅する…!!
ついにこれまで沈黙を守り続けていた最後のカンピオーネ、【妖しき洞窟の女王】アイーシャ夫人が登場。これまでのうわさ話から、相当の食わせ者か狷介な妖女の類かと想像していたのですが……あかん、やっぱりカンピオーネは普通の想像の範疇にまるで当てはまらないわw
そもそも、洞窟に引き篭って滅多に人前に姿を現さない人嫌いの厭世家じゃなかったんですかぃ。むしろ、実態はそれの正反対。行動力やフットワークの軽さ、好奇心の強さなどは黒王子アレクに負けず劣らずですし、自由人としてはドニに優るとも劣らず。まああれですよ、この人もカンピオーネに相応しく、人類種最悪の傍迷惑の一角でした。むしろ、結果として傍迷惑な他のカンピオーネと比べても、その性格から権能まで戦闘よりも傍迷惑に特化してるじゃないかという傍迷惑っぷり。カンピオーネたちに面識のある人が、尽くアーシャ夫人が一番どうしようもない、というのもよく分かる傍迷惑っぷり。性格的にはむしろ温厚でいい人なんですよ。おっとりした楽天家で。ただ、ちょっと自己陶酔するところがあって、思い込んだらフワフワと足元覚束ないままエライことを仕出かしそうな……危なっかしいことこのうえなさそうな人だな、うん。しかも、この人の場合傍からコントロールが効きにくそう。翠蓮姉さんなんか案外チョロいところがあるし、ドニもあれでリベラさんがなんとか首根っこ抑えてる、ヴォバン公爵も暴君だけれど交渉の余地はある。しかし、アイーシャ夫人は天然な分、ちょっとどうしようもなさすぎる。誰も予想がつかないことを、どえらい方向に向かってホイホイとやってしまう系なので、備えも何もできなさそうだしなあ。本人、まったく悪意もなさそうだしw
でも、他のカンピオーネと比べるのも不毛なんですよね。結局、どいつもこいつも、という他ないもんなあ。マシ、という要素が微塵もない。プルートー・スミスが現状一番まともに見えるけれど、あれも当番回になったらアレクみたいに所詮コイツもカンピオーネ、となるんだろうし。
結局、アイーシャ夫人もこれとなると、どう考えてもカンピオーネの中に殺して死ぬような人が見当たらないんですよね。どうやったら死ぬんだよ、この連中。アイーシャ夫人なんか、これ相当酷い方法で神様殺してますよ。きっと、殺意もなくうっかり殺っちゃったんですよ。権能を簒奪した際のアイーシャさんのコメントが明らかにやっちゃった感が滲んでるんですよね。そんなつもりなかったのに、みたいな。だいたいこの人、神殺せるような権能持ってないじゃないですか。どうやって殺ったっつーんですか。
うっかりで神殺したカンピオーネは、さすがに歴史上でも滅多に居ないんじゃないだろうか。

とまあ、新登場のアイーシャ夫人にばかり言及してしまいましたが、今回のサブタイトルは八人目のカンピオーネ。そう、今いるカンピオーネは護堂を最新として計7人。サブタイトルが公表されたときには、まさか新しいカンピオーネの誕生か、と連想したのもむべなるかな。もしかして、ついにかませ役のカンピオーネでも出るのかな、と思ったのですが、こんな展開だったとは想像もつきませんでした。
自分としては、あんまりこの八人目のウルディンと護堂さんは似てるとは思わなかったんですけどね。以前表に出てしまった自己開放型護堂さんは、もうちょっとこうエキセントリックだったような(笑 まあもうちょっと厳密に言うと、女性の好みは別として欲望の方向性が異なってるように見えるんですね。あと、自分から積極的につまみ食いしに行くタイプじゃないと思うんだよなあ、護堂さんは。野生型のウルディンと違って、護堂さんの究極系って草薙のお爺さんみたいなスマートな紳士の進化系だと思うのです。あのお爺さんは本当にカッコいいもんなあ。
さて、図らずもアイーシャ夫人の大迷惑によってえらいところにトバされてしまった護堂さんたち。今回はエリカと恵那の二人が旅のお供。実は二人揃っての前衛型。エリカは器用ですし交渉力なども高いですけれど、こと戦闘となると、リリアナと比べるとやっぱり前衛なんですよね。という訳で、後衛のリリアナと祐理がいないと戦闘時に前がかりになってしまって結構不都合が出てしまうことが発覚。やっぱり、四人揃ってないとバランス悪いんだ。何気に、最近エリカたちも強くなったよなあと実感してたところに、まだまだ彼女たちなどヒヨッコよ、と言わんばかりにエリカたちよりも上位の魔女や騎士が出てきたことで、まだまだ彼女たちにも成長の余地があるんだなあと改めて。
個々の成長は別として、護堂さんハーレムはそろそろ次の段階に行ってしまいそうな気配。さすがに恵那の自由奔放さにはエリカもタジタジなところがあるようで。色事については積極的なエリカだけれど、何だかんだと彼女も品の良い淑女であって、あからさまにエロいことには怖気づくこともあるんですよね。恵那もそういうところはあるんだけれど、その発想には倫理面を置き去りにする部分があって、エリカが腰を引いてしまうという珍しいシーンが度々。でも、実は満更じゃなさそうなあたり、そこは護堂さん、頑張れ、ってなもんであります。そういう時、ガッといかないと。今回は、完全に素面でありながらかなり狼さんになっていたので、そろそろ据え膳も頂いてしまいそうな雰囲気だなあ。

で、今回一番傍迷惑の被害者になったのは誰でしょう……答え「修正力さん」。
自分、これまで見てきた中でここまで涙目になって必死で頑張ってそうな「歴史の修正力」は初めて見た気がします。確か、歴史の修正力ってやつは人知の及ばない超常的で無情で絶対的なとてつもないモノ、というイメージだったんですが、ここでは「もうやめてください、勘弁して下さい!」と泣きべそかきながら必死こいてる姿しか想像出来ません、なにこれw あ、あんまり虐めないでやってください、カンピオーネの皆さん。もうちょっと気を使ってあげてください、カンピオーネの皆さん。既になんか修正力さん、青息吐息な感じですから。もうやめて、修正力のHPはとっくにゼロゼロよっ!
だが断る、とばかりに勇躍盛大にやらかすサルバトーレ・ドニ。幻視するのはあまりのことに喀血してぶっ倒れる歴史の修正力。そして、そんなことをお構いなしに、ドニがやらかせば黙っていないのが、我らが護堂さんにアイーシャ夫人に、現地のウルディン。
あかん、そろそろ歴史の修正力さんが死んじゃいそうだ!!

シリーズ感想