機巧少女は傷つかない11 Facing

【機巧少女は傷つかない 11.Facing "Doll's Master"】 海冬レイジ/るろお MF文庫J

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機巧魔術――それは魔術回路を内蔵する自動人形と、人形使いにより用いられる魔術。結社の大幹部〈金薔薇〉の魔女アストリッドによる学院襲撃を退けた雷真達。だが、その代償はあまりにも大きく、夜々の金剛力の魔術回路が消失、重篤の危機に陥った。夜々を修復できるのは、作り手たる花柳斎硝子だけ。しかし、肝心の硝子は行方不明。一方、度重なる不祥事で学院の権威は失墜。各国から夜会のやり直しの声が上がり始め、遂に英国が機巧師団を学院に差し向ける! 迫る命の刻限、猶予はわずか一昼夜。雷真は一縷の望みをかけ帝都を目指すが――。シンフォニック学園バトルアクション!
夜々が居ないと静かだなあ。
いやあ、何かにつけてヤンデレリアクションで飛び込んでくる夜々が居ないものですから、雷真が何をしてても反応がないのでややもの寂しい感じに……って、毒されてる毒されてる。これが普通です、これが普通です。でも、十巻もの蓄積はなかなか拭い去れないものでして、それだけ雷真と夜々のコンビはいつも一緒だったのだなあ、と今更ながらに実感したり。この機会に、雷真も他の女の子と交流を深めればいいのに、と言いたいところなのだけれど、さすがに夜々がこんな状態ではそんなことをしている場合ではなく、それ以前に英国軍が学園に進駐してきた上に、生徒同士で二派にわかれて構想が勃発と、内憂外患が一気に吹き出して大混乱、シャルをはじめとした面々もそれぞれが居る場所で戦わざるを得ず、雷真と接触すらままならない状態。まあ、雷真自身が学園の外に出てしまっていた、というのもあるんでしょうけれど。総力戦だった前回とは違って、今回は完全に先の見えない乱戦模様といった感じでした。まさに、一瞬にして様相が変わってしまったなあ。
デレたかと思われた硝子さんも、まさかの薔薇参入に夜々を見捨てる言動の数々。間に挟まれてしまったいろり姉さんが何だか見ていて可哀想で可哀想で。硝子さんにもちゃんと思惑がありそうなんだけれど、傍から見ている分には雷真たち見切っちゃってると言われても仕方ないよなあ。何しろ、雷真の勝手働きはいい加減見過ごせないレベルに達していたし、あれだけ言うことを尽く聞かなければ見捨てられても仕方ない、と雷真自身が自覚していたくらいだし。でも、この中で一番硝子さんを信じまくってるのが雷真なんですよね。なんでこいつ、ここまで硝子さんに懐いてるんだろう、と思うくらい。言うこと聞かない割に、忠犬なんだよな、こいつ。その懐きっぷり、ちょっとでもグリゼルダ師匠に分けてあげてください。このお師匠さまの弟子への献身は見ていて拝みたくなるほど。普通、師匠キャラって距離をおいて高みから見下ろし、時々だけ不承不承手を貸してくれるだけ、みたいな力の行使を惜しむケチが多いというのに、グリゼルダ師匠と来たら登場してからこっち、雷真と伍するんじゃないかというくらいの頻度で戦いっぱなしなんですよね。それも、殆どがピンチに陥った雷真を助けるものばかり。働き過ぎです、お師匠様w その上、ちゃんと師匠キャラとして弟子の実力を訓練や的確な指導で引き伸ばしてるんだから、有能勤勉極まりないですよ。挙句、デレたヒロインキャラとしても十二分に大暴れしているのですから、シャルも天敵のアリスと共闘という展開は燃えたけれど、頑張らないと本気でヒロイン座食われるぞw
今回も、かつての雷真の剣の師匠と、師匠同士のガチンコ勝負。グリゼルダは格上と戦えば戦うほどこの人が「魔王」の一角と伝わってきて、いいなあ。最強キャラという格が全然オチないのが素敵です。
さて、前回華麗に【焼却の魔王】ライコネンをぶった切って鮮烈なデビューを果たした雲雀先生。飄々とした浮雲みたいな掴みどころのない人なのだけれど、その実力はまさに魔王級。魔術師でもないただの剣士なのに魔王級って。彼の、雷真への糾弾はかなり耳の痛いものでした。確かに、雷真は安易に力を求めすぎてるきらいがあるもんなあ。じっくり自分の力を伸ばすのではなく、手っ取り早く強い力が得られる方法に手を出してしまってる。魔術に才が無いと言われて剣に逃げ、しかし魔術に剣で敵わなかったからと剣を極めることもせずに見切りをつけて再び魔術に逃げた。言いようは厳しいですけれど、反論のしようのない糾弾でした。夜々がああなってしまったのも、大半は雷真のせいですからね。これまでの彼の行動のツケが、此処に来て一気に噴き出してきた感すらあります。果たして、ここからどうやって全てを取り戻していけるのか。ちょっと、雷真サイドは行き詰まってるなあ。
行き詰まっているというと、さらりとロキが勝手に行き詰まっちゃってるし!! け、ケルビムーーっ!!
ロキって、何気に友達大事にするタイプだったのか。こいつがアスラと敵対することにあれだけショック受けるとはこっちの方がショックだよ。口も態度も悪いわりに絆されやすいタイプだよなあ、こいつ。ケルビムがああなってしまったのも、さらなる成長フラグだったらいいのだけれど。それよりも心配なのがフレイの方ですけれど。シャルやアリスたちはまだ死んでないとわかるので安心できるのですが、フレイはマジでこれヤバイんじゃね? 直前、物凄い勢いでフラグ立てて、そのままあんなことになってしまって。
いい加減、黄金の薔薇にしてもエドマンドにしてもグローリアにしても図に乗ってて鼻っ柱折ってほしい敵キャラが揃いすぎてるので、こうまとめて「な、なんだとーっ!?」とか「お、おのれ、この私がーーっ!?」などと喚きかせるようなカタルシスのある展開を所望したいなあ。エドマンドはともかくとして、金薔薇も銀薔薇もこのババアたちは調子乗ってて言動がムカつく、実にヤラレ役が映えそうなキャラだけに。

シリーズ感想