クロス×レガリア  海神の遺産 (角川スニーカー文庫)

【クロス×レガリア 海神の遺産】 三田誠/ゆーげん 角川スニーカー文庫

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「何々、宝の地図とか?」馳郎と北斗の話を聞きつけた生徒会一同は、先代白翁が遺した謎の地図を手掛かりに鬼無里海岸を訪れる。宝探しをする一方、リコや蓮花などお馴染みのメンバーは、水着に着替えて大はしゃぎ。初めて目にするナタの水着姿に思わず目が眩む馳郎…だったが、それも束の間。謎の「人魚」の魔の手が迫る!!かつてない巨大な敵に翻弄されるなか、馳郎がとる鬼仙兵器・ナタの力を解放する秘策とは!?
今回のラスボスって、パタリロに出てきた少佐とか、ジョー・ディクスン・カーのフランス人探偵に似てますよね、と意味なく呟いてみる。いや、ほんとに意味ないんですが。
順当なりし水着回。朝葉の煽動で、宝探しを目的として海に合宿に行くことになった生徒会メンバーとその他諸々。というか、その他諸々の方が本作ではメインのキャラたちなのだが。【イスカリオテ】でもそうだったけれど、生徒会の本筋には踏み込んでこないものの、常に至近距離には居続けるという立ち位置はなかなか興味深いところです。その距離が近いが為に、前回など朝葉がもろに巻き込まれたりもしたのですが、かと言って必要以上に此方側の事情に踏み込んでくるわけじゃないんだよなあ。かと言って、距離を置くには人間関係的にもう不可分になっているし。ただ、生徒会長の一姫の不可解な体質なんかを見ていると、少なくとも彼女についてはなにか裏設定がある気がしないでもない。鬼仙の筋はさすがにないだろうけれど、<おに>関連ならありそうだし、この世界には<魔法使い>という一群もいることですしね。
しかし、言動や影響力だけ見ていると、何故か庶務である朝葉の方が生徒会長に見える不思議。実質牽引してるのって明らかに朝葉じゃん。そんな朝葉にずいずいと振り回されるのが、案の定馳郎であり、意外とナタや傍若無人に見える蓮花も肝心な所で受け身側だったりする。北斗もこっち側だな。一方で、最近やたらとガンガン行こうぜなところが露呈してきているのがリコなんですよね。最初の頃は健気に義兄をサポートする妹ちゃんだったのに、北斗と再会したあたりからかなりノリノリになってきましたよねw
個人的には北斗は本気で男でも良かったかなあ、と思わないでもないんですよ。リコと北斗って本当にお似合いなので、馳郎が独白しているみたいに、いっそ本当に彼氏でも良かった。
でも、さり気なく一番乙女な気質なのって、ナタをも抜いて北斗なんだよなあ。リコと蓮花のゲテモノ食いトークに完全に置いてかれて涙目な北斗についつい萌えてしまいました。もっとキャッキャウフフなガールズトークしたかったろうに。幼い頃から兄に好きなものを奪われ続けてきた影響で、微妙に賤しいところがあったりするのも、これはこれで可愛かったりするので……リコさんリコさん、ヒロインらしいところ持ってかれてますよ。

とまあ、リコがはっちゃけてヒロインとして大事なものを盛大に落っことしつつある昨今ですが、逆に恋心を自覚してえらい勢いでデレはじめているのが、蓮花さんであります。あんた、もうデレっデレじゃないですか。
そもそも、元々関係ないのに合宿に自ら乗り込んでくるあたりで、彼女なりの必死さが伝わってくるのですが、ある程度一緒に遊べたことに満足してしまって、そこから踏み込めずに指を咥えてウロウロしている時点でこの娘、アレである。微苦笑が浮かんでくる。
いやまあ、仕方ないといえば仕方ないですよ。傍から見てると、馳郎とナタの間には全然入り込める余地ないですもんね。気持ちが通じ合いすぎてますもん。むしろ、よくまあこの状況から馳郎によく自分をアピールして存在感捩じ込んでる方だと思いますよ。
ナタとは別の意味で、蓮花も鬼仙の世界からは爪弾きにされたような子らしいので、馳郎たちとはもっとよく馴染んでほしいものです。此方側からもちょっと距離を置いてしまうと、何気にぼっち化しちゃいますもんね。その意味では、今回の合宿を通じて馳郎やナタだけじゃなく、他のメンツとも好を繋げられたのは色々とホッとさせられるものがありました。リコや北斗とも仲良くなったしね。

で、こいつはどうするよ、太乙真人。この人、とにかく迷惑な人なのね。一貫して黒幕やっててくれるなら、そういうヤバい奴なのだと警戒してりゃあ楽なんだけれど、別にいつも企んでるわけじゃないんだよなあ。というか、完全に中身子供だろう、この人。意外と、扱い方覚えたらチョロいような気もするんだけれど、敵にしても味方にしても、どっちつかずの場所に据えても、ひたすら面倒くさそうで参るなあ。

三田誠作品感想