すずみんは肉食系火竜 (ファミ通文庫)

【すずみんは肉食系火竜】 西野吾郎/あなぽん ファミ通文庫

Amazon

ファイアブレスに噛みつき――危険で可愛い最強火竜と過ごす学園生活スタート!

かつて竜と人が交わった。希に竜の力を持つ人が生まれる。穂村【ほむら】すずみもその一人だ。超レアな"火竜"として覚醒した彼女は登龍門高校へ転校してきた。そして俺、白石鋼平【しらいしこうへい】は彼女の肉で壁になった。何かにつけファイアブレス&「こうちゃんおいしそ〜♪」と俺ばかりが狙われるからだ! 立派な竜になるよう教育するも、妙な組織が彼女の力を狙っているらしく……て、俺の幼馴染みに変な手をださないでくれませんかね!? 最強火竜を守る学園ファンタジー開幕。

上手に焼けました〜!
いや、焼いちゃいけません。食べる時は生で、ナマで。ナマでって、またエロいな。いや、だから生でも焼いても食べちゃいけませんて。食べるなら、性的な意味で!!
うぬ、基本的に頭のよろしくない天然アホ娘というのは、その行動規範に論理性が欠けている上に他人の迷惑を顧みない、という側面があるので、あんまり好きになれないタイプのキャラクターなんですけれど、このすずみんは別、別枠、特別枠。ってか、天然は天然でもその無軌道さで迷惑をかけるタイプではなく、ほわわんと大らかで見ていて思わず微笑んでしまうような、愛玩系のマスコットキャラ。和む、すっごく和むよすずみんっ。これ、癒し系ですよね? 後天的竜種という他に類を見ない出自であり、突然火竜になってしまったことで、その本能に基づく能力を制御しきれず、度々暴走してしまうので他人に迷惑をかけてはいるんだけれど、大体は主人公の鋼平が(積極的に自分から)盾になり、肉の壁になって防ぐので被害という点では最低限だし、すずみん自体が周りの人達がついつい助けてしまいたくなるような庇護欲を掻き立てるタイプなので、彼女が暴走しても全然悪い空気にはならず、みんなで一致団結してワイワイと和やかに事態を収束させていく様子は、何とも微笑ましい限り。多少、鋼平が焦げたり壁に埋まったりしているが些細な事である。本人も全然気にしていないしな。
というわけで、「すずみんしつけ隊」という鋼平をメインにしたクラスの選抜メンバーが隊を結成してすずみんの日常学園生活をサポートしていくことになるのだけれど、彼らの息のあったドタバタっぷりが、ほんとに見てて楽しい。
淀みのないスラスラとテンポよく進んでいくほのぼのとしたコメディタッチのノリに、要所を占めるかと思えば逆に自分たちで状況を引っ掻き回して混沌に陥れる、キャラクターたちの躍動感。
特に、おとなしいクールキャラだと思ってた雫が、切れ者のわりに惚けたところがあって、火消しとトリックスターを兼任しているような所があって、イイ性格してるんですよね。何気に一番享楽的だろ、あんたw
変にシリアスに寄り切らず、大立ち回りがはじまってもぽややんな空気が消えないまま、最後まで賑やかかつ和やかなまま、結構ド派手にやらかしてくれたので、読み手側としても構えること無く最後まで肩の力を抜いて、なはなは、と笑って読み切れました。あー、楽しかった、とまっさらな気持ちで言える作品って何気に珍しいのですよ。
ラブコメパートもなかなかに熱々で、ああもうラブラブですねえ、すずみんさん。あと、雫さん、貴方楽しみすぎですから。自重自重。