黒鋼の魔紋修復士6 (ファミ通文庫)

【黒鋼(くろ)の魔紋修復士(ヒエラ・グリフィコス) 6】 嬉野秋彦/ミユキルリア ファミ通文庫

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“紋章魔法"VS“邪術"! 緊迫の第6巻登場!

アーマッド南部の大都市、ロマリックを訪問することになったヴァレリア。“神巫"の行幸という形式ゆえに、同行するのはごく少数の護衛と侍女に限られることを懸念したディーは、ルキウスに頼みティアルを一行に加える。アーマッドに併合されたという歴史のため、独立の気運が強いロマリック住民の視察、慰撫を目的として現地を訪れた一行だが、ロマリックと裏で通じるビゲロウの者たちの罠が、彼らを陥れようと待ち構えていた……!
あれ? これはディミタールは自分の判断ミスと思ってるようだけれど、あそこでヴァレリアが付いてくると言ってきたのを跳ね除けて宿に置いて行ってたら、これ最悪の事態になってたんじゃないかしら? ヴァレリア、完全に殺されてたでしょう。
結果としてディミタールがヴァレリアの責任感に絆されたのが正解だったわけですけれど、これは知らず知らずとはいえ相当に綱渡りのところを歩いていたんだなあ。こればっかりは、ロマリックとビゲロウがこれほど密接にコンタクトを取っていたと把握していなかったアーマッドの情報網にも問題があるのだけれど、ビゲロウの密偵の実行部隊の中に論理性の破綻した殺人鬼が混ざっていて、誰もコントロール出来ていなかったところまで予想していろ、というのはさすがに酷か。ただ、ディミタールが純粋な護衛官として専念出来ていたらもうちょっと何とかなったのかもしれないけれど、ディミって使い勝手が良いせいか、何かと諜報官紛いのことも任務として請け負っちゃってるので結構出先で二重三重の任務の重複が起こってるんですよね。彼、優秀ですから両方を並行してこなしてはいるんだけれど、思い返してみるとヴァレリアの側を離れるケースはわりとあったんですよね。ヴァレリアが度々自分から首を突っ込もうとしなければ、その頻度はもっと増していたかもしれない。
図らずもそのお陰でヴァレリアも政治や統治のウラ舞台について見識を深める事にもなり、ただのお飾りの神巫に留まらない成長を遂げており、ディミタールも当初と比べてヴァレリアについてはだいぶ認めてきている節もあるので、悪いことではなかったのかもしれないけれど、でも同じ人物にあれもこれもと仕事をやらせようというからには、どこぞで齟齬が出てくるもんなんだよなあ。こればっかりはその人が優秀であるとか有能であるというのは関係なく、その人が人数として一人である、というところが問題なのでどうしようもないんだが。
それにしても、あのオカマは久々に癇に障るというか、こいつは盛大にやっつけてくれないとストレスが溜まって仕方ない、という悪人だったなあ。いや、実際これほど任務実行にも支障が出る上に、外交関係や国家戦略まで台無しにしかねない無軌道で思慮に欠けた振る舞いをする人間を、好き放題やらせてしまっているという時点でこの姉のギャラリナもどうかと思う。この愚弟に愛情なんて感じていないようだし、一族も持て余しているみたいだから、現場指揮官の判断としてちゃんと処断しないのは、果たして甘さなのか何らかの思惑があるのか。正直、任務の邪魔ばかりされていい加減キレそうなもんなんだけどなあ。

そして、まさかの絶体絶命のピンチ。今回の行幸についてはさして危険もなし、と油断していたのでこのハードな展開は予想外だった。ディミがああなってしまった上に、ヴァレリアも人事不省となるとベッチーナ頼りになるんだけれど、ガチャピンクじゃとてもじゃないが頼りにならねえ!! あとはティアルさんがどこまで働けるか、というところだけれど、本職メイドのこの人じゃ事態を全面的に打開するのは厳しそうですし……ここはヴァレリアの復活と大活躍を期待するしか無いのか。というか、ティミ不在のここでしょう、ヴァレリアの見せ場は。頑張れ、女の子!

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