アニソンの神様 score.02 (このライトノベルがすごい! 文庫)

【アニソンの神様 score.02】 大泉貴/のん このライトノベルがすごい! 文庫

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「“レーゲン・ボーゲン”、セカンドステージ始動です!」エヴァたちの次の目標は、高校生バンドを対象とした合同ライブ。初めてのライブイベントにメンバーが浮足立つ中、ドラム担当の京子は浮かない顔をしていた。その原因は彼女の中学時代のバンド仲間・神崎椎奈との苦い過去にあった。第1回『このラノ』大賞受賞作家の青春バンドストーリー第2弾。
ちょっとこれ、ラストの曲反則やわ〜〜。
個人的にあのアニメはデキすぎてて、あんまり好みではなかったんだけれど、それでも強く印象に残るシチュエーションであり、あの曲はそれを見事に引き立てる、というよりも物語そのものを体現したような曲だったわけです。それだけに、曲の持つ「意味」をあのアニメ見てる人は嫌というほど知っているだろうし、その曲をあのラストの場面で使うという凶悪さを、いっそ悪魔的とまで言いたくなるような効果のほどを理解できるんじゃないだろうか。
遠い昔に決定的にすれ違ったまま今の今まで歩いてきてしまった二人が再会して、あの時の誤解を、錯誤を、喧嘩別れのまま置いてきてしまったものを取り戻して、でもまた同じ道を共に歩き出すのではなく、お互いが見つけた道を最高と信じて、それを祝福し、違う道を歩いて行く。理解し、受け入れ、再び友となって、しかし自分の道を歩いて行く。
そんな二人の少女の再会と新たな旅立ちを、この曲が決別という形ではなく、わだかまりを解きほぐして結びつけていくシーンは、圧巻とすら言っていいものでした。いやあ、単にアニソン使いますよ、という話題作りだけの作品じゃなく、物語の決定的なシーンを意味づける最高の装置としてアニソンを仕立てあげるその作りは、手放しで賛じたいですね。椎奈のバンド演奏のあと、トリを任せられてアウェイのライブハイスでどうやって盛り上げるのか正直不安だったんですけれど、エヴァのビジュアルという武器もふんだんに利用しての初っ端からのインパクト勝負。あれは、確かに何も知らない人でもなんじゃこりゃ!? とびっくりするだろうな、という納得の掴みでしたし、ライブシーンは実際大したもんです、これ。
そして、アニメなどのサブカルチャーにどうしてもつきものな、表立って堂々と自分の趣味と公言するにはばかられる風潮を、京子を通して真っ向から描いたなかなかの力作でもありました。自分の好きなものを堂々と誇ることが出来ないなんて、とまで言われてなお京子は自分のアノソンという趣味を公言してしまうことに怯え続けます。けど、それってどうしても心に根付いている引け目、なんですよね。世間から見下されている、と感じているものを好きだと誰憚ること無く言ってのけるのは、とても勇気のいる事だと思う。その卑屈さがまた見下される要因になるのだろうけれど、このサイクルはなかなかひっくり返せない。それでも、一昔前に比べればまだマシになったんだと思いますよ。あの京子の友人たちの反応は、ちょっと優しすぎるなあと思うくらいでしたし。ってか、そこまで気を使ってくれるあの子たちが良い子なのか、そこまで気を使わせてしまった京子の間の抜け方がひどかったのか(苦笑
全然隠せてないじゃないか、あんたw

でも、今回一番のサプライズだったのは小松くんでしょう。もう根底からがらっと印象ひっくり返っちゃったじゃないですか。いや、そこまでやるとか健気にも程があるだろう。大胆な割に慎重というか、なかなか踏み込まないのは機会を虎視眈々と狙っていると見てあげたい。ヘタレというには、だって頑張りすぎてるもん。

どうやら、このまま話は琴音の回に続いていくようで、そういえばまだコーテリアの孤立問題も解決するどころか余計に深まっていくばかりだし、これはちょっとしたシリーズものとして続くのかな。

1巻感想