放課後四重奏 2 (GA文庫)

【放課後四重奏(カルテット) 2】 高木幸一/ぜろきち GA文庫

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恋の導火線が点火する青春ラブコメ四重奏!

「――この男がわたしの彼氏! 」

新学期。
灰堂の素の行動に、怒ったり、照れたりと、賑やかなSL会の日常。
そんなある日、空上のいた水泳部の男子たちが、会室にやって来る。
彼らは、空上に振られても、あきらめられない男たちだった。
そんな彼らを説得するため、空上は灰堂を彼氏だと言い出す!
その宣言に涙目の菜花、無表情で灰堂を見つめる草ヶ部……。

空上の嘘を押し通すため、灰堂と空上はデートをすることに!
しかも、灰堂に女子との付き合い方を、教育するという理由で、
菜花、草ヶ部ともデートをすることに!?

「ねぇ、誰がいちばんよかった?」
青春ラブコメ四重奏第2弾!
空上って、三人娘の中では一番今時の女の子で、いわゆる女子力に長けたヒロインなのかと思ってたんですが……むしろ女子力ゼロじゃねえか!! むしろ、二次元女子である草ヶ部の方が女子力遥かに高いよ!!
あ、あかん、この娘わりとズボラ系だ。そして全然恋愛慣れしてない。最初の彼女が恋人欲しい、とSL会に訪ねてきたのは案外切実な想いからだったのやもしれない。話を聞いている限りだと、あまり異性の区別なく男女問わず屈託なく接するタイプの女の子みたいだったんですよね、空上って。突き詰めると、男女の距離感を把握していないタイプ。気安く付き合うからよく勘違いさせてしまうのか。その為か、恋愛スキルも経験も未熟者の初心のくせにやたらめったら男子から迫られて相当参ってた様子。もっと狡猾に立ち回れてたのならもう少し状況も落ち着いてただろうに、でも男連中がSL会に押しかけてきた時のとにかく行き当たりばったりで後先考えてない言動を見る限りでは、この娘にそういう腹芸を期待するのは無理なんだろうなあ。
という訳で、二巻で早々に灰堂をめぐる女達の恋愛模様は嵐の様相を呈しはじめる。というか、SL会として生徒諸氏の悩み事相談受け付けます、という本来の業務はほぼ放ったらかしでしたがな。一応、空上の依頼という体裁をとっていましたけれど。
でも、本格的に女性陣の鞘当てがはじまると、彼女たちの瑞々しいまでの動きっぷりが眩しいばかり。本来のラブコメと違って、主人公の灰堂が攻略される側なせいか、女性陣の動きが受け身じゃなくすごく能動的なんですよね。現段階でまだはっきりと正面攻撃を行なっておらず、威力偵察の段階でライバルの動向を伺いつつ灰堂をとりあえずマトモに恋愛できるくらいのレベルまで常識や感性を引き上げようという段階にも関わらず、空上も菜花、草ヶ部もその恋心がキラキラ輝いて見える。いいなあ、ここまで瑞々しい恋模様はなかなかお目にかかれませんよ。普通の男性主体の男の欲望が篭ったものと違って清涼さと活力が併存している感じなんですよね。その意味では真っ当なくらい真っ当な青春恋愛劇、と言っていいんでしょうけれど、その中でも昨今では注目に値する良作ですよ、これは。
意外と、部外者である峰が良いアクセントというか刺激になっていて、一度振られながらも二度目のチャンスを伺居続けてひたむきな攻勢を弱めない彼女の姿勢が、ともすれば内向きに固定されて同じ所をグルグルと回りかね無いSL会の三人娘を落ち着かせない形になっているようです。それでも、最後の草ヶ部の決断には驚かされましたけれど。草ヶ部って、実は一番臆するところを知らないタイプだったんだなあ。二次元主義者でありながら、社交性やファッション性など外向けのスキルも意外なほど高いんですよね、彼女。空上じゃなくて彼女がわりと主導権を握って灰堂と自分たちの間柄を刺激する方向に持って行こうとしているし。こういう視点が高くて遠くまで見通せる娘は、その聡明さ故に動きが鈍いものなんだけれど、その点彼女は勇気があるんだなあ、と感嘆する。
だから、個人的には草ヶ部には頑張って欲しいし、今回いろんな反応や挙動がいちいち可愛すぎた空上には報われてほしいなあ、と思うのだけれど、灰堂の反応を見る限りでは菜花がやっぱり本命っぽいんだよなあ。

さて、デートイベント満載だった今回ですが、なんちゃってデートじゃなくって、三者三様どのデートも本格的というか本気デートというか、お為ごかし抜きの本物のデートみたいで、見ているだけでなんだか微笑ましかった。意外と灰堂のエスコートがマトモだったせいか(時折突拍子もないことを仕出かしたりもしていましたが)、三人娘みんな本心からデートをデートとして楽しんでたんですよね。ニセとか練習とか抜きにして、心から楽しみ心躍らせていた様子は、笑みがこぼれるのを止められませんでした。いいなあ、こういうの。
しかし、ある意味本音しか言わない灰堂は、それゆえに言動が凶器だわなあ、これ。よくまあ、あんな恥ずかしいセリフを臆面なくはけるものである。この男、自分がどれだけ恥ずかしいことを口走ってるか全然理解してないんだよなあ。ホストみたいな口説き文句を、営業トークじゃない素で言われたらそりゃたまりませんわw

最後までアグレッシブだった女性陣。そのお陰でラストでは思いもよらぬ衝撃的な展開に。波乱必至の旅行編は、次回。これは楽しみなシリーズになってきました。