魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉7 (MF文庫J)

【魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 7】 川口士/よし☆ヲ MF文庫J

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海賊団を率いて城砦に攻めよせるエリオット王子。それを迎え撃つティグルは、オルガやマトヴェイ、タラードの協力を得ながら巧みな攻防を展開し、ついに囚われのソフィーを救出する。黒弓の力に驚くタラードたちの追及をなんとか躱し、ジスタートに戻る船路につくのだったが、そこに生きていたトルバランと海竜が襲いかかる! 船が破壊された衝撃でティグルは海に投げ出されてしまい――!?
一方トルバランは再びレスター将軍となり、残党を従えレグニーツァを襲う。応戦するのは二人の戦姫、“雷渦の閃姫"エリザヴェータと“煌炎の朧姫"サーシャ。「もってくれよ、僕の命の炎……! 」大人気戦記ファンタジー第7弾。いま、最強の焔が舞い降りる――!
これ、てっきり七戦姫全員がティグルの嫁になるものだと思っていたけれど、何人かは脱落するのかもしれないな。ヴァレンティナがその本性を明らかにした時は、かなり悪者サイドでこれは改心して野心を収めてティグルにデレるのとかなさそうだなあ、とは思ったものの戦姫で一人だけハブ、というのはどうなんだろう、と思って今ひとつ彼女の扱いについては確信がモテなかったんだけれど、此処に来てサーシャが死亡フラグを立てるどころか最期を迎える流れに乗ってしまったんですよね。もう完全にアレクサンドラ=アルシャーヴィン最期の戦い、って感じになっていますし。こうなると、サーシャ一人だけ脱落、という展開は考えにくいんですよね。
でも、此処に来て脱落した戦姫に変わって新たな戦姫が誕生する、というのはなかなかハードル高そうですし、さてどうなるんだろう。
アスヴァール王国での戦いでは、ティグルの将帥としての才能が見事に開花。ブリューヌの内乱でその実力は既に見られていたけれど、何だかんだとあの時は神輿としての立場も大きかったんですよね。一方でアスヴァール王国での戦いは兵士は他国の者だしエレンの配下たちみたいに心通じ合うものがあったわけでもなし。それに、今回はエレンなど対等、或いは目上の同盟者などの協力者がおらず、オルガという戦姫は居るものの彼女はティグルに全面的に従う立場を取っていて、ティグルが指揮官として軍勢を独りで統率し自分で考え判断する形となっていたわけです。つまり、誰の補助もなく純粋に彼の軍事的才覚が試される環境だったのですね。そこで、彼は敵の進撃路となる村々を焼く、という非情の決断も含めて、大きな戦果を上げてみせた。頼ることの出来る相手が居たブリューヌ内乱と違って、全部自分で判断しなければならない今回の戦いで、ティグルは見事に人の上に立つ、という器を示してみせたわけである。
ハッキリ言って、オルガなんてジスタートの戦姫という身の上でありながら、ティグルを自分の上に立つもの、自分を導くもの、王として見てしまっている節がある。ソフィーに敵意むき出しだったのは、女の子らしい妬心であり、ティグルを異性として慕う気持ちが思いっきりだだ漏れになってますが、それだけではなくオルガがずっと求めていた王としての姿を、彼女はティグルに見てしまっていたのでしょう。
こうなると、果たしてオルガが元の自分の所領に戻った所で、ジスタート王に唯々諾々と従うものかどうか。この娘、かなり頑固者で腹芸が使えないタイプなのでわりと拗れるのは早いかもしれない。
ある意味、ジスタートに戻る段階でティグルが行方不明になったのは不幸中の幸いだったかもしれない。このままオルガがティグルにベッタリなままだと、思いの外早い段階でえらいことになっていたかもしれないですし。幾らなんでも、その時を迎えるには今は早すぎますからね。
にしても、ソフィーの陥落っぷりは想像以上に盛大でしたw
いやあ、あの監禁されて精神的に追い詰められまくってたところに、他国にいてこんなトコロで出くわすはずのないティグルが、当たり前みたいに助けに来てくれた、となったら気丈なソフィーでもそりゃあ崩れるか。ある意味、どれだけ強くても戦姫の中で一番女性的だったソフィーだからこそ、の反応なんだろうけれど、ちょっとミラでも見てみたいシチュエーションだったな、これw
なんかえらいぐだぐだと自分に言い訳しているソフィーですけれど、あきませんよ、もう完全に墜ちてますからそれ。オルガという番犬が居たのでちょっと冷静になりましたけれど、もしオルガという歯止め役がいなかったらわりと半端なくメロメロになってたんじゃないかと想像してニヤニヤw
さて、では次はエリザヴェータか。エレンからは嫌われているけれど、実はものすごい良い子、ということがある程度わかっているだけに、いろいろ楽しみ。

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