GENESISシリーズ 境界線上のホライゾン 6(中) (電撃文庫)

【GENESISシリーズ 境界線上のホライゾン 6(中)】 川上稔/さとやす(TENKY)  電撃文庫

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関東の地で行われる毛利の備中高松城戦と北条の小田原征伐。ついに対決するM.H.R.R./羽柴と欧州覇王・六護式仏蘭西/毛利―二つの決戦と歴史再現を前に、毛利と北条との戦前会議に臨んだトーリ達。各陣営の勝利とその先を見据えた策謀―六護式仏蘭西がぶち上げた思わぬ野望に、会議は大きく荒れる。しかし、武蔵副会長・正純の機転によって、二つの歴史再現、そして関ヶ原の合戦への展望が見えたかと思えたその時、羽柴陣営の大谷・吉継が現れ―。六護式仏蘭西、北条、そして武蔵は、この“望まぬ来客”に対し、どのように対応していくのか?第六話、中盤戦!
氏直さん、チョーやべえじゃん!! いやー、何気にこの人、女性として極めて面倒くさい人なんじゃないか? 牛直さんのあだな通り、おっとりとした天然で温厚な人だと思っていたのだけれど、この人に比べるとメアリーとか成実なんかは超イージーモード。シェイクスピアよりも道理が通じないかもしれない。これはよほど出来た旦那でないとかなりキツいんじゃないか? その意味でも、氏直の嫁がノリキというのは非常に納得せざるを得ない。武蔵組でもあれだけ出来た男は居ないだろう、というくらい出来た男だしなあ。いい意味で頑固な面があり地道で根気強い、というのもまさに氏直さんにピッタリじゃあるまいか。
途中、毛利の輝元さんを置き去りにしてのネシンバラと氏直さんの交渉戦は、お互いかなり力づくな所のある強引な論戦となり、普段の本多くんの交渉戦があれでなかなか洗練されたものだったというのがよく分かる。ってか、氏直さんがあそこまで無茶苦茶な力押しに出るとは思わなかったもんなあ。あれは政治交渉というよりも、癇癪を炸裂させたみたいな手法だったし。というよりも、損益分岐点とか考えてないという時点で理屈に合わないものだったし。と言っても、それを武器にした交渉、ということで完全に全部投げ捨てていたわけではないのですが。勇躍偉そうに登場して交渉の主役を乗っ取ったネシンバラが、颯爽と押しまくられてしまったところは笑ってしまったが。てっきり、決めポーズをずっと炸裂させているものだから、彼なりに目論見があって押し切られそうになっているふりをしているのかと思ってたら、わりとガチで思った通りに行かずに焦りまくってましたし。カッコつけたまま、というのがネシンバラクオリティw 何気にシェイクスピアが内助の功でしたよね、このあたり。何だかんだとネシンバラがピンチになると颯爽と駆けつけるよなあ、呼ばえてもないけどw

さて、本編の方は毛利・北条との会談をメインとした関東制圧の戦前会議・準備編。一方で、トーリを取り巻く人間関係の方は、大奥体制に対してネイトと浅間が本腰を入れることに。もっと二人ともぐだぐだと結論を先延ばしにするのかと思ったら、思いの外すんなりとホライゾンのウェウカムに応えましたね。勿論、大いに迷った末のことなのですけれど、布陣の中に夫人として組み込まれることをこれほど抗わずに承知するとは。これは、ネイトと浅間がお互いに良い影響を与えたのでしょう。一人だけなら、もうちょっと同じ所で自分のトーリへの感情も含めて迷走したかもしれませんけれど、自分の写し絵とも言えるもう一人の親友の姿を見ることで、同時に自分の気持ちや感情にも整理が行き届いたように見えます。ふーむ、ここらへん、【きみとあさまで】で浅間やネイトがたどった思考の経路が経験となって今度のスムーズな結論に至る糧になったのかもしれませんなあ。
というわけで、半ば輿入れ、という形でネイトと浅間はトーリの家に同居することになりました。

一方で、今回一番グダグダしていたのは、敵方にあたるM.H.R.R./羽柴の福島さんで、なんか深刻なスランプに陥ってたのね、この人。槍使いはスランプに陥るというジンクスでもあるんだろうか。ただ、二代があんまり誰も助けてくれず、スランプが長引いたのに対して、此方は加藤・清正という相方が密接かつ手取り足取り福島・正則に付き合うことでかなり早期にスランプを脱出することに。この二人って、作中でも一番濃度の濃い百合百合カップルですなあ。マルゴットとナルゼはガチすぎて脇においておくことにしても、どちらかというとサバサバしている羽柴側の魔女コンビと比べても、正則と清正のイチャイチャっぷりは目を引きます。

イチャイチャが目に毒、を通り越して犯罪レベルに達しているのは、ついに登場したネイトパパンとネイトママンの犯罪夫婦。……いや、ママン、その子は犯罪だ!! なにこの可憐なショタ少年!! これ、ネイトのパパンなの? 半ズボンが似合いそうな声変わりもしていない儚げなショタっ子じゃないか!! あうとーー!! これ食べちゃうのアウトーー!!
パパンとしては、コンテ伯としての方を普段の名前として使ってるんだろうか。あっちは、どちらかというと六護式仏蘭西ベースで行ってるように見えるし。清水・景晴という襲名元はちょっとわからなかったんだけれど、ネイトママンの益田元祥の相方みたいだった清水景治かしら。

肝心の関東決戦は、というと事前に想定していた以上の大規模の争乱、という形に。一応、相対戦ではありつつも、さらに関東以東の諸大名である伊達・上杉・最上を巻き込み、敵味方も錯綜しまくったバトルロイヤル形式というとんでもない形に。いや、バトルロイヤルというと勝ち抜け戦になっちゃうんだけれど、小田原征伐のみならず複数の合戦を織り交ぜた戦いとなるので、状況に応じて敵味方が入れ替わるというかなり把握が難しいことになってしまっている。参加メンバーもかなりしっちゃかめっちゃかになってるんだけれど、成実は伊達家として、義康は今回は最上・義康として参戦することに。最上・義光と義康、親子としてはまだ時間経っていないんだけれど、意外と馴染んでいて見ていて微笑ましい親子の姿でした。義光が喪ったものを思うと、義理とはいえ子供がもう一度出来たのは、心から良かったなあ、と思わずにはいられません。

さて、参戦メンバーは読んでのお楽しみ、なのですが武蔵側からは先々を見越して今回は主力の投入は控えて、サブメンバーの投入を本多くんが宣言します。……副次戦力? 副次? んん?
ぬぇええ!?

こ、これはちょっと想定外ですの!!

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