キャットテイル・アウトプット! 4 (MF文庫J)

【キャットテイル・アウトプット!4】 神野オキナ/西E田 MF文庫J

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「―売られた喧嘩を、買います」デルヴァンガーの襲撃のみならず、パーティ会場を狙ったマーによる爆破テロを受けて怒り心頭のメルウィンはキャーティアシップへ戻り、本星の治療技術を用いた救護という違反スレスレの行為に及ぶ。いっぽう綴はスカーレットを救うため、まさに命懸けの猛特訓を摩耶から受ける。そしてメルウィンはさらに、キャーティア社会での立場を全て失うことと引換えにフル武装、綴とともにマーとの対決に臨むのだが―。ネコミミ×猟犬の本格アクション、最高潮!!
やられたらやり返す!十倍返しだ! というのが今のトレンドでありますが、やっぱりやられたらやられっ放しじゃなく、きっちり落とし前つけてやり返してくれるのは痛快なんですよね。相手が理不尽でひどければひどいほど、それをぶっ飛ばした時のカタルシスは大きくなります。その意味でも、あのキャーティアでも大人しくて優しかったメルウィンが本気で怒って、売られた喧嘩m買ってやんよ! とブチ切れた日には、よっしゃやったれー、てなものなのです。
ただでさえ、あのジャン・ジャック・マーはすこぶるムカつく陰険で残酷で粘質な嫌らしい黒幕でしたからねえ。こういう本気でギッタンギッタンにやっつけてやってほしい、と思えるような小物じゃなく本物の大物な悪人はなかなかいらっしゃらないので、その意味では良き悪役でありました。
と、前巻のラストから一気に逆襲編、となれば勢いもそのままに盛り上がったのでしょうけれど、何しろ手酷くやられてしまったあとでしたし、リカバリーや状況の整理、決戦への最終準備などで、さすがにそのままラストバトルに突入、とはいかなかったのは仕方ないとはいえ、ちともったいなかったかな。
ともあれ、覚悟完了したメルウィンだけじゃなく、他のメンツもそれぞれに自分のなりの決意を固める必要もありましたし、ついにメルウィンが地球の友人達に自分がキャーティアだと正体をバラす一番大事でもあるエピソードが待っていましたからね、これはしょうがないかと。
しかし、こういう場合だと綴やクリスといったプロ連中よりも、美陸みたいな本来何の戦う力も持っていない一般人の子が決める覚悟の方が、選択することの重さも含めてやっぱり映えるんですよね。美陸さんについては、以前から綴への恋心からアシストロイドたちの交流など、ここに至るまでの積み重ねがなかなか丹念に容易されていたので、結果的にもう一方の主人公的な扱いになっていましたし、さらには状況を打開する鍵となった、という意味では一番の活躍頭でもあったわけですしね。MVPは彼女だよなあ。
さらに、なんとも後味の悪い退場を余儀なくされていた六奈ゆりえが、ここで毅然と挽回戦に打って出てくれたのはちょっとした嬉しいサプライズでしたね。彼女の件は、心残りというわけでもなかったのですけれど、残念であったことは間違いありませんでしたからね。それを、彼女の方からもう一度汚名返上する形で飛び込んできてくれたのは、痒いところに手の届く展開だったように思います。そういった細かい手配り、というとクリスと彼女の父親であるオルティオート教授とのやりとりも良かったなあ。親父さん、自分の信念を曲げないままちゃんと父親としての顔を見せてくれたのは見直しました。反キャーティア派の重鎮でありかなりの危険人物とはいえ、きちんと一本芯の通った上に情のある御仁じゃないですか。

最後、マーにはもうちょっとじっくりと敗北の屈辱を味わってほしいところでありましたけれど、まあちゃんとメルウィンがきっちり決めてくれましたから、これで十分でしょう。
恋愛方面は、もうクリスが大逃げを打っちゃって、えらい勢いで突き放しちゃいましたよねえ。メルウィンがようやくイイ反応をするようになってきた上に、美陸も綴が男と知ってこれから、というところで本番はこれから、という感じなのですが、ちょっと十馬身どころじゃなく差がついちゃっているような。
キャーティアと地球人の恋模様としては、本編の方のエリスと騎央がそれなんですけれど、あっちはエリスが天然な上に寛容すぎて、あんまり繊細な乙女心を垣間見るケースはないのですけれど、メルウィンはもうちょっと複雑に正負の感情を弄んでくれそうなので、もう少し彼女の恋は観察していたかったかなあ。本作はどうやらこの四巻で終わりのようなので、この続きは本編の方でゲスト出演してくれる時を待たなければならないようなのですけれど。
ゲスト出演というと、今回は本編の方からあおいが応援で出てきてましたね。あおいが参戦してたと知った時の、あの綴たちの青ざめた反応を見ると、【悪運紅葉】って本気で関係者筋では恐れられてたんだなあ。

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