つきツキ! 12 (MF文庫J)

【つきツキ! 12】 後藤祐迅/梱枝りこ MF文庫J

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「――実は五行家とは縁を切ってきたんです」オレはエルニの「神」としての過去を知り、母さんやルナたちも家を出て行った彼女を迎え入れてくれて、ようやく本当の家族になれたみたいだ。しかし、そんな矢先、またまたかおるんが家出をしてきた。最初はいつもの冗談かとも思い、バタバタとした日常をみんなで過ごしていたが、どうやら新しく五行家に来るメイドさんと自分の過去を重ね合わせて、真剣に悩んでいるらしい。そんな中オレは、ある人が後押ししてくれたこともあり、本当の気持ちに気づきはじめて……? 番外編も収録の学園ハートフルラブコメ第十二弾!!
大切な思い出。素直になれない気持ち。己の中に潜む「想い」がいま、解き放たれる――!!
聖へのお仕置きが、もうライトノベルじゃなくて美少女文庫とかあっちのレベルに達している件について。剥きやがった。普通に剥いちゃいましたよ。そこでポロンといっちゃう潔さは、正直爽快でもある。お預けばっかりだと、むしろもうそういうお色気イベントはやらないほうがマシ、と思うくらい鬱積たまっちゃいますもんね。もはや、みんなもうギャルゲで言うところの攻略済み状態なので、わりとみんな躊躇がないあたり大したもんだなあ、と感嘆してしまうのですけれど、あんまりやり過ぎるとそりゃ泣いちゃうよね。ムッツリスケベの聖さんも、ちゃんと乙女心を残していらっしゃったのには妙な安心を感じてしまった。少なくとも、この娘Mではないらしい。いや、どう見てもM系なんだけれど、実はマキナの方が完全にそっちなんですよね。聖はわりとニュートラルエロスなのか。
今回はかおるん回だけれど、彼女についての深刻な問題については既に概ね解決済みなので、ここで描かれるのは彼女が前向きに歩き始めた結果にして成果が生まれだしたことについてのお話なんですね。同時に、みんなの居場所を作り出し守るお話が、次の段階……つまり将来、未来について具体的に語られ世界が広がりだす話になってきたわけです。忍の将来の展望についての見通しや、親父殿の帰還、そして女性陣の忍への真剣な向かい方が語られ、その上でついに忍の最大の想い人であるルナに告白するという、次に進むために必要な様々な精算が成されていきます。
なんちゅうか、こうしてみるとなし崩しでひと纏まりになった擬似家族が、本当の家族になるための過程が実に丁寧に積み上げられていってるのがわかります。ヒロイン同士の人間関係も、紆余曲折を経た上で次の段階へと進むために形に整いましたし。そんなこんなで、ラストを迎えるための空気が丹念に醸造されていった上で、満を持してメインヒロインであるルナへの告白に至った、というのはなんとも感慨深いものがありますなあ。
しかし、あの聖の弟くんはかおるんのこと好きだったんじゃないかと、ついつい想像してしまいます。聖に似て弄られ系、じゃなくてすごく優しくていい子みたいなので、まあかおるんの事は残念ですけれど、新メイドの氷雨ちゃんくらい上手いことつなげてあげてほしいなあ。

シリーズ感想