かくて滅びた幻想楽園II (富士見ファンタジア文庫)

【かくて滅びた幻想楽園(ディストピア) 2】 手島史詞/GAN 富士見ファンタジア文庫

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神獣によって支配、統治された世界で少女と少年は出会った。創造主へ戦いを挑み敗北した神獣の少女―クレアーレ。神獣に対抗する組織に所属する盗賊の少年―リュー。反逆者として追われることになったリューたちは、クレアーレのかつての仲間、リヴァイアサンの力を借りることに。「リヴァイアサンっていうのは、どんなやつなんだ?」「あやつをひと言で言うならば、変わり者であろぅな」リヴァイアサンが支配する地、アクアへ辿り着いたリューたちだが案内人として紹介されたのはメイド服の少女で!?かくてメイド服の少女と、神獣探索の冒険が始まる!?
あれ? これもうこの二巻で打ち切りなの!? いやいや、さすがに二巻でいきなり打ち切りになったら纏めるのも無理でしょうに。
一本芯を通して自分のやりたい事を定めて突き進んでいるリューが、突然立ち止まって自分の行動に対して疑問を持ち始めた時は、なんでクレアーレを手に入れて神獣を倒して順風満帆とは行かない間でも目標に対してちゃんとした指針が出来た直後にも関わらず、なんで突然。とかなり深刻に首をひねったのですが打ち切りが決まったとなると、色々納得が行きました。俺たちの旅はここカラダ、をやるからには一度主人公を停止させて再起動させたところで終わるのが一番様になりますからね。ただ、あまりに早急すぎてあの芯の強い主人公が立ち止まるには理由が弱かったのと、クレアーレの不死鳥の神獣という特性とヒロインとしての立ち位置をうまく合わせて主人公の原動力にするには、どっちにしろ尺と説得力が足りなかったか。アクアの語っていたクレアーレが失ってしまった夢、というのもはっきりしないままでしたし、このディストピアを根本的にひっくり返すための、つまるところクレアーレが戦って負けてしまった相手というのも明確にならないまま終わってしまいましたしね。
実のところ、登場した神獣はギガスにしてもリヴァイアサンにしても、どちらかというとクレアーレに賛同する側であって、神獣という有り様こそ揺るぎないものの人間側に寄った存在でもあったわけです。本当の意味で人間と隔絶してしまっている相手とは接触しないまま終わってしまったわけで、クレアーレが直面して敗れ去り絶望に沈められたものが何だったのか。これは結局、何もわからないまま。
リューが見出した神獣と人間の共存の可能性は、果たしてギガスやリヴァイアサンとは違う神獣には相通じるものなのか。この自分で考える責を人間たちが失ってしまった世界で如何様に育まれていくものなのか。描きたかった様々なテーマが伝わってくるだけに、この打ち切りはやっぱり勿体無いなあと思わざるをえない。
イオリのヒロインラブ寄せも中途半端なまま終わっちゃいましたしね。ライバルと目していたクレアーレにリューとの子作りを勧められて動揺しまくった挙句に考えておきます、と否定せずに満更でもないことをさらけ出してしまったイオリは、非常に可愛かったんですが。
いずれにせよ、二巻で打ち切りはなんぼなんでも酷だわなあ。せめて三巻くらいは……。

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