魔法学園(マギスシューレ)の天匙使い (このライトノベルがすごい! 文庫)

【魔法学園(マギスシューレ)の天匙使い】 小泊フユキ/如月瑞 このライトノベルがすごい! 文庫

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スプーンを使った魔法「スプーン天匙」の伝達者であるブルンは、ブロックス学園の生徒。学園での成績は第6位だが、魔法のマイナーさと地味さで影の薄い存在だった。そんな彼はもっと強くなるために友達3人と様々な計画を立て、間近に迫る『闘宴会』で勝ち進もうと意気込む。しかし同じ頃、学園には不穏な影が忍び寄っていた。第4回『このライトノベルがすごい!』大賞、初の金賞&栗山千明賞をW受賞!オンリーワンの学園ファンタジー登場!
スプーン天匙って、前後で意味被ってないですか? なんかそればっかり気になって気になって。
成績上位者にも関わらず、世間的には全然有名にならずに忸怩たる思いに駆られている主人公ですけれど、あんなスプーン振り回して戦うような変な子が無名ってのはちょっと信じられない。これほど変なのが地味とか、無関心でスルーしてしまえるって。明らかにネタ枠として知名度ブッチギリになるでしょうこれ。
ともあれ、肝心のスプーン戦闘なんですけれど、なんか描写を見ていても「スプーン!?」というイメージやインパクトがあんまりないんですよね。読んでいても、脳裏にスプーンを駆使している様子があんまり浮かんでこないんだなあ。ぶっちゃけ、主人公の手元の得物がスプーンじゃなくても大して変わる印象がないんですよね。折角スプーンなんだから、スプーンスゲエ!!という描写がないとなんか勿体無いじゃないですか。いろんな種類、材質のスプーンを使い分けて、など工夫を凝らしているのはわかるんですけれど、ちょっと弱かったかなあ。
それと、主人公がどうも目先のことに囚われて本来の目的を忘れがちな視野狭窄型というのは仕方ないんですけれど、幾らなんでも自分が学び他者に教え広めようとしている流派の根本にして根源である基本理念を綺麗サッパリ忘れてしまっていた、というのは酷いにも程があるんじゃないかなあ、と苦笑を通り越して呆れてしまった。
最終的に縁の下の力持ちに徹してしまう立ち位置は悪くはないと思うんだけれど、表舞台に立つ学園上位者たちが、結局伝聞でしか描写がなかったのはちょっと勿体無い。違う場所で戦っていても、同じ敵と戦う同志。仲間と言わずとも味方としてその活躍を期待して胸おどらせるほどの何かが芽生えることなかったですしね。それどころか、どっか関係ない場所で誰かが勝手に戦ってる、みたいな他人事感が否めなかった。折角の縁の下の力持ちに徹しても、支えている舞台の上について何らかの実感がないと、影で頑張った、という満足感も読んでるこっちは得られにくいですからねえ。あの不良の兄ちゃんがちょろっと絡んだぐらいか。
まあ、それ関係なく全体的にキャラクターが印象に残り難かったんですけどね。最後の敵も、敵対した理由からして唐突感が否めない、というか所詮他人事というこっちの感情を震わせるような何かがあったわけじゃないですから。言うほど交流もなかったですしね。
発想やコンセプトは面白いものの、全体的に薄味で覚えがきかないという感じのお話だった気がします。