すずみんは肉食系火竜(2) (ファミ通文庫)

【すずみんは肉食系火竜 2】 西野吾郎/あなぽん ファミ通文庫

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「白石鋼平を『しつけ隊』から除隊処分とします! 」

公約通り登龍門高校に監視者がやってきた。富士代表の刀塚野白刃は最初から冷戦状態。
一方、陸軍代表の大地巌はすずみに一目惚れ。壁役を懸け決闘を申し込んできやがった!
巌は竜として優秀で熱意もあるし、俺は元々壁役なんて望んでいない。
譲ってもいいと言ったとたん、蓮華が大激怒し、あっさり壁役交替。
その日から蓮華と気まずいだけでなく、すずみと『しつけ隊』からも距離が出来てしまい――すずみを守るのは誰だ!?
騒乱の学園ファンタジー第2弾。
蓮華が怒るのも、このケースは理解できるんですよね。確かに一方的な感情ではあるのだけれど、自分がとても大事にしているものを、同じ思いで共有していると思っていた相手が、それを無価値であるかのように扱い、突き放してしまったら、それはとても哀しいし傷つく。
「しつけ隊」と蓮華たちの関係を全く別のものとして分けて考えていた鋼平からすると、両方を一緒くたにした蓮華の捉え方は予想外もいいところで、彼にとっては誤解とすれ違いになってしまうのだろうけれど、実のところ蓮華も自分と鋼平の捉え方の違いは薄々理解していたと思うのである。それでも、納得出来ないのが人の感情というもの。それに、少々鋼平が女の子の気持ちに対して無神経であったのも確かだし、自身とすずみの関係の深さに甘えた考え方だったのではないだろうか。実際、鋼平は蓮華の八つ当たりの影響もあるけれど、恐らくそれだけではない彼自身の見通しの甘さもあって、しつけ隊のメンバーと、ひいてはすずみと図らずも微妙に距離があいてしまう。これは誰かの思惑云々だけじゃなく、単純に同じグループのメンバーと、その外にいる人間との行動リズムのズレから生じる影響も大きかったはず。鋼平は、一緒のグループで一緒の目的を持って何かをする事の意味を、ちゃんと理解していなかったのだ。つまるところ、もうすずみは鋼平だけのすずみではなく、彼女の側にいるにはこれまでのように何となくでも自然と寄り添えるわけではなく、ちゃんと彼自身が望み努力して意思を持たないと叶わないことを、鋼平はまだちゃんとわかっていなかったわけですね。
大地巌が頑張っているその意味を、彼は最初の段階ではまるで理解しておらず、幼馴染という座にあぐらを組んでいたのですね。
その辺りの見識のなさ故に、鋼平はしっぺ返しを食らってしまうわけだけれど……。
面白いのは、この鋼平の認識の無さに激怒するのが蓮華であって、一方の当事者であるはずのすずみは、勿論鋼平の言動に対して怒ってるしわかっていなさにプンスカしてるんだけれど、それをぶつけるのを完全に蓮華に譲っちゃってるのである。というよりも、この場合は丸投げしてしまっているというべきか。
最後に他の女の子と仲良くしているのを見てブチ切れてしまったのを見る限り、決して意図したわけではなく天然ゆえなんだろうとは思うんだけれど、これ何気にしたたかな立ち回りにも見えるんですよね。自分が直接出向いて拗らせるのではなく、そのあたりは蓮華にやってもらって、彼女に自分と鋼平の関係を再編させ、より積極的かつ自覚的に自分の元に戻ってくるようにしてもらったわけですから。
蓮華としては一連の出来事のお陰で十分自分の気持を自覚したのでしょうけれど、結局やったことは彼に恋敵の側にいることをより強く意識させる事でしたしね。それでも、引き下がらずに奮起してしまうあたり、なかなかカッコ良い女性だと思うのですよ、この娘は。

さて、問題は自分をクール系無表情キャラだと思い込んでた霧生さんですね。アウト。あんたみたいなはっちゃけたクール系無表情キャラがいるか!! 1巻で読んでるこっちが騙された、と思ってたら、自分でも自分を騙していたのか。ってか、自覚なかったのか、酷いな!!

1巻感想