巡ル結魂者1 (講談社ラノベ文庫)

【巡ル結魂者 1】 秋田禎信/菊池政治 講談社ラノベ文庫

Amazon

「リンクトランスフォーム、スタート。我とともに来たれ我とともに生きよ。我、汝と魂の契りを望む!」――そんな声により、航斗は異世界に転送された。そこは魔法技術を持つリンカと呼ばれる少女たちが存在する世界。禁忌である男のリンカになってしまった航斗は、彼女たちと学園生活を送ることになる。そして航斗を召喚したのは、リンカの祖にして最後の魔法使い・聖女メイマスモゴリアだと判明し――!?
「お前の要素一ミリも聖女じゃないな。ええと、メイマ……?」「ひっどいわー……メイでいいわよ。モゴはやめて。ゴリは絶対駄目」「分かった。メイゴリ」「絶対やぶ蛇だったー!」
秋田禎信×菊池政治が贈る、ファンタジーの最前線が今ここに誕生!
秋田禎信のライトノベルって初めて見た!! というのは冗談としても、昨今のライトノベル的な物語はやはりお目にかかった事がないだけに、何とも不思議な感覚である。エンジェル・ハウリングやベティ・ザ・キッドは明らかになんか違ったからなあ。ちなみに、【シャンク!!】はあれ、少女漫画の系譜なんじゃないかと思ってる。となると、やはり想起するのは出世作である【オーフェン】なんだけれど、その中でも特に過去編の牙の塔時代のドタバタコメディが彷彿とされるんですよね。となると、これって原点回帰の流れになるんだろうか。オーフェンの終了からこっち、この人の作風というのはライトなノリからはどんどん遠ざかっていましたからね。それはもう、ライトノベル作家という括りから抜けだしてしまうくらいに。それが、オーフェンの続編の再開を期にもう一度こっち側の書き方に寄せ直していたのは確認していたのだけれど、この作品ではかなりその辺りを意図してこねくり回している印象。単に戻すんじゃなくて、ベースの基板に鼻歌交じりにパーツをゴテゴテくっつけてカスタマイズしてる感は、ベテラン作家ならではなんだけれど、それが洗練されすぎた挙句にエンタメから遠ざかったエンジェル・ハウリングとは違って、ゴテゴテと歪感たっぷりにも関わらず随分と楽しそうなのが本作の特徴か。
奇人変人の造作に関しては、オーフェン無謀編時代からちょっと他の追随を許さない奇怪奇天烈さで突き抜けていた作者の系譜は健在で、聖女メリゴリの話の通じなさを筆頭に折角の女性陣満載というキャラ配置にも関わらず、アレな人ばっかりなのは流石である。ただ、メインヒロインと思しき火曜テイカがわりとちゃんと女の子しているちゃんと可愛いヒロインなのが、ある意味驚愕である。作者の書いてきた女性で普通に可愛いって、片手で数えられるくらいしかいないと思うんだが、希少種希少種!!
あまりにまともすぎて、混乱してメイの発狂具合で目を休めて安心してしまったぐらいである。あ、あかん、真人間に動揺してしまうあたり、これ未だ自分秋田節に汚染されてるっぽいわ。話が全く通じないメイと通じなくても全く気にしない主人公の航斗の噛み合ってるのか合ってないのかわからない掛け合いを見て安らげてしまうあたり、かなり深刻。

秋田禎信作品感想