飛べない蝶と空の鯱 ~蒼の彼方より、最果てへ~2 (ガガガ文庫)

【飛べない蝶と空の鯱 〜蒼の彼方より、最果てへ〜 2】 手島史詞/鵜飼沙樹 ガガガ文庫

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明らかになる浮遊世界創造の謎!

瀕死の重傷を負ったウィルを背負い、冬の荒野を行くジェシカ。
イスカは攫われ、霧鍵式は使えず……。
満身創痍の二人は北の大陸・ティエラで進行しつつある、革命と名指された大陸崩壊への助走を止めることはできるのか。
そして、「七つの鍵」に隠された、たゆたう島の民・人類誕生の秘密とは……。
シュネーとヒルダの過去、旧文明に隠された霧の文明の創世の謎も徐々に明らかに。
物語が加速する新章第二弾!!
いきなりこの世界が構築された秘密に突っ込みだしたな。こういう巨大な枠組みについては、もう少し事前に舞台を整えてからにして欲しかったんだが、目先のことに汲々としてたらいきなり大事になってたような唐突感が。まだ、普段活動していた世界の外に、ようやく一歩足を伸ばしたところくらいだったので。その一歩で、早速世界の果て、というべきところにたどり着いてしまっていた、というあたりにこの世界の狭さを実感するべきなのかもしれない。その狭さ故に、霧の向こう側に行きたいのだ、と広がる空とは裏腹の箱庭世界から飛び出していきたいウィルたちの切望を感じ取るべきなのかもしれない。
まあ空の果てに思いを馳せる前に、まず腕の中にある温もりをもっと確かなものにするべきなんだろうけれどね。はっきりそこまで責任とるつもりがあるなら、もっと勢い任せで欲望に身を任せてもイイ気がする。さすがに現状ではイチャイチャしている余裕もないだろうけれど、抱いてしまったと勘違いしてニヤニヤしているくらいなら、さっさと畳み掛けて押し倒せ、と。そりゃあ、裸で隣で添い寝してたら、誤解しても仕方ないだろうし、それは誤解させるほうが悪いとも言える。ジェシカからすれば、必死だったんだから、そんなふうに誤解されるなんて、と言いたいかもしれないけれど、必死になってそれだけの事をするからには、許せる範囲はそれだけ大きいってことだからなあ。
まあでも、OKサインが出ているならばこそ、勢い任せじゃなくちゃんと筋を通してちゃんとした関係を確立するのが先、という考え方もあるけれど。どちらにしろ、そろそろウィルもはっきりと言葉と行動を明らかにするべきだよね、という時期だな。
さて、トントンと世界の真実が明らかになっていき、それに付随してティエラで起こりつつある動乱に、かつてここで起こった出来事、不明瞭だった人間関係の配置も徐々にはっきりしてきて、つまるところ舞台が整いつつある、という事なのだろう。思いの外早い真実の霧を吹き払う風の流れは、この新章がさほど長引かないだろうことを予感させる。こりゃ、五巻どころか次の巻あたりで、という場合も。
ウィルとジェシカのコンビの本領である、ジェシカ操縦・ウィル攻撃、というスタイルも、逆パターンもほぼ一流の領域に達したことで、真のスタイルであるこっちも更に極まりを見せて上限に達しようとしているし。さらに、レンにも新たな相棒が生まれたことで、本当の意味で二組の渡り鳥コンビが誕生しつつあるわけですしね。こりゃ、クライマックスに向けて一直線か。

シリーズ感想