問題児たちが異世界から来るそうですよ?  YES!  箱庭の日常ですっ!  (角川スニーカー文庫)

【問題児たちが異世界から来るそうですよ? YES! 箱庭の日常ですっ!】 竜ノ湖太郎/天之有 角川スニーカー文庫

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「逆廻十六夜、久遠飛鳥、春日部耀の三人が箱庭の世界に召喚されて数か月。魔王との戦いの裏で行われていたゲーム“黄金盤の謎を追え”“スティムパリデスの硬貨”“箱庭のとある日常”など書下ろしを含む、他二本の短編。さらに箱庭世界を紹介する舞台裏番外編“教えて!白夜叉先生!”の計六本を収録した豪華蔵出し本です!」って黒ウサギが説明している間に、問題児様方がまたいなくなりました…お馬鹿様方ああああッ!
十六夜がスヤスヤと眠る飛鳥と耀を膝枕して読書しているシーン、なんだかほんわかを通り越して感動に近い心のゆらぎを感じてしまいました。この三人、恋愛臭は全くと言っていいほどしないのに、本当に仲がいいんですよね。十六夜に対する飛鳥と耀の、寄りかかり切らないけれど絶大な信頼と、十六夜側からの飛鳥と耀への触れ合い方。この関係って、本当に素敵だなあと思うわけです。まだこの三人の間には、壁でも溝でもないけれど確実な隔たりというものがあり、飛鳥と耀はそれを埋めようと躍起になり、十六夜にとって二人はまだ守るべき対象から外れない、という事情はあるものの、今のところこの関係は歪みを得ているほどではないんですよね。特に、飛鳥と耀は負の感情なく非常に前向きにムキになってますし。

さて、アジ=ダカーハとの決戦真っ最中である本編は未だあがらず、どうやら若干スランプにかかっているようで心配なのですが、なんとか乗り越えて欲しいものです。若干の不満と心配を抱えて、短篇集かと思って読み始めた本作ですけれど、いやあ面白いですわ。この作品、長編短編激闘日常関係なく、素晴らしく面白いですわ。
玉に瑕なのは、わりと重要なキャラがいつの間にか登場していたりいなくなっていたりして、あれいつの間に、と驚かされる所なんですが、フェイスレスって本編の前に十六夜とこんなところで初接触、というかガチンコバトルを繰り広げてたのか。彼女については強者にも関わらず、あまりはっきりした戦闘シーンがなかったのでキャラクターや特徴が掴みづらいところがあったのですが、今回十六夜と本気でカチ合っていたのを通じて、ようやくだいたい把握が叶いました。思っていた以上に玄人筋の研鑽を積んだタイプの武人だったのか。この人も、十六夜と伍せる時点で凄まじい強キャラだわなあ。
そして、彼女の属するクイーン・ハロウィンの設定がまた面白いなあ。ケルト系でありながら太陽神としての設定をそう持ってきたのか。普通、あの有名なルーをこういう形で整えるケースはないですよ。箱庭ではそういう事になるんだ。白夜叉みたいな概念すらも一個の人格として活動している世界だと、神話の扱い方もこうも縦横に出来るんだなあ。巻末に書かれている解説もまた興味深い内容で、単なる単語辞典とは一線を画しているので、これは一読の価値あり。箱庭世界の縦深をひたと感じられるんじゃないだろうか。

次は本編、じっくり待ってますよ。

シリーズ感想