暗黒魔王なオレ様TUEEE! (このライトノベルがすごい! 文庫)

【暗黒魔王なオレ様TUEEE!】 夏緑/伍長 このライトノベルがすごい! 文庫

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中二病魔王降臨!ひょんなことから最強『魔王』にクラスチェンジした平凡庶民の羊飼いロキ。そんな彼が恋をしたのは“元”中二病の『勇者』アストロメリア姫だった!?中二妄想大暴走で彼女にアタックしまくるロキだが、まじめなアストロメリアはドン引き状態。その上、ロキLOVE!の名門魔貴族のお嬢様・デビリアが現れて「触手プレイ」で修羅場に発展ってどういうこと!?人気作家・夏緑が贈る、オレ様TUEEE!系ラブコメ開幕!
この作者の人、もうだいぶ古参のはずなんだけれど大昔に「ぷいぷい」シリーズを読んだっきりだったなあ。
個人的に、実際生身で演じてしまう方の中二病の痛々しさというのは、妄想の類を現実であるかのように振る舞うその乖離にあると思うんだけれど、実際に能力が発揮されるのであれば全然妄想と現実が乖離しているわけじゃないので、多少はしゃぎ過ぎのきらいはあっても、痛々しいという風にはあんまり見えないんですよね。実力も伴っているわけだし。かと言って、実力もあって調子に乗りまくられると手に負えないですし、痛々しいと憐れみや忌避感を感じるよりも、単純に「イラッ」とさせられてしまうのですが。
その点、ロキの場合は図に乗っているというよりも、アストロメリアの影響でそれが正しい振る舞いだと若干思い込んでいる節もあり、また魔王になりきる事を心から楽しんでいる様子で、根っこの部分の純朴な羊飼いの少年らしいところがチラチラと垣間見えるせいか、むしろ微笑ましいキャラクターである。個人的にはアストロメリアのチョロさの方にこそドン引きなんですが、あの押しに押し切られるってどれだけ男慣れしていなかったんだか。え? その段階でときめいちゃうの? というレベルだったからなあ。もうちょっと付き合いが深まってくると、ロキの良い部分がどんどん見えてきて好感持ってもおかしくない、と思うんだけれど、それより遥か以前にああいう反応見せちゃうとねえ。チョロいとしか見えない。

あまりに説明ゼリフ満載の掛け合いに抑揚のない地の文、派手に見えてあんまり動きのないシーンの連続に、これは学芸会の劇の脚本かなんかか、とげんなりしたですが、ロキの微笑ましい素朴で一途な恋模様に、学芸会の劇みたいなチープさだろうと、これだけほんわかな気分にしてくれるんだったらまあいいかな、という気になってきました。