ノーゲーム・ノーライフ5 ゲーマー兄妹は強くてニューゲームがお嫌いなようです (MF文庫J)

【ノーゲーム・ノーライフ 5.ゲーマー兄妹は強くてニューゲームがお嫌いなようです】 榎宮祐/榎宮祐 MF文庫J

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ゲームで全てが決まる世界【ディスボード】――人類種の王となった地球出身の最強ゲーマー兄妹・空と白は、吸血種と海棲種の『リアル恋愛ゲーム』をかい潜り、真の攻略法を暴くべく向かうは天翼種の故郷、空中都市『アヴァント・ヘイム』! だが序列第六位、狂瀾怒濤の“神殺しの種族"が一筋縄で行くはずもなく――? 空と海を制し、比翼のゲーマーは三種族一挙制覇へその手を届かせるか!? 「俺TUEEEでゲームして一回負けたらクソゲ認定? “俺YOEEE"からやり直せ! 」大人気異世界ファンタジー、嘘と騙りと陰謀の入り乱れる大連戦の第5弾!!
なるほどなあ。このシリーズがはじまった当初は、人類種のみが領土をギリギリまで獲られて追い詰められていた、と思っていたのだけれど、シリーズも五巻を重ねて他の種族の事情に踏み込んでくると、人類種のみならず、ほとんどの種が行き詰まりや限界を迎えていたのが判ってきた。テトがどうして、『  』の二人をこの世界に迎え入れたのか。単に滅びかかっていた人類種へのテコ入れじゃなくて、世界全種が滅びかかっていたことへのテコ入れだった、と考えれば、今の『  』の快進撃もうなずけるんじゃないだろうか。そもそも、本当に他の種族が現状に満足してゲームを満喫していたら、いかな『  』とはいえ、こうも安々と空と白に協力して同盟を結ぼう、なんて考えないもんなあ。彼らが示した実力と展望に希望を感じたからこそ、自分たちの手では掴みかねていた未来を見出したからこそ、積極的に彼らの元に集ってきた、と思った方がすんなりくる。空白の勝利は、プレゼンテーションと考えればしっくりくる。
その意味では森精種に対してはフィールとクラミーにほぼ任せてしまっている、というのは森精種がこの歪んでしまったゲームに、というよりもゲームでなくなってしまった盤上の世界の現状に乗ってしまっている種だから、と言えるのかもしれない。ゲームでは無敵な空白だけれど、ゲームの盤上にあがってくれなければ、本当の意味で勝負は出来んもんなあ。確かに、表面上はゲームとして相手取ることはできるだろうし、勝てるかもしれないけれど、果たしてただ勝利するだけでこの世界というゲームの同好者になってくれるか、というのはなかなか難しい話。だから、フィールとクラミーは森精種を盤上にあげる仕込みをやっている、と見るべきなのかな。そういう仕込みが出来る時点で、空白はただのゲーマーじゃないんだけれど。

これだけ、いろんな種が行き詰まってしまっているのを見ると、この盤上の世界のルールを構築した遊戯神テトがどれだけ忸怩たる思いをしてきたか、なんだか透けて見えてくるようだ。彼の意図を履き違えて、まったく見当違いの戦いをはじめてしまった十六種。天翼種の最も古い意志でもあるアズリールと、一番新しい意志であるジブリールのすれ違いと、空白の介入はまさにこのゲームを主軸とする世界を巡る象徴的な戦いだったんじゃないだろうか。
第十の盟約に込められた願いが、いつか色あせてしまっていた願いが、じわじわときらめいてきた。絶対法則であり、「縛り」であった十の盟約が、与える意味を変えようとしている。
空白だけじゃなく、人類種であるステフと獣人種であるいづなの交流が、兵器として生まれた種であるジブリールがむき出しにした愛情が、この巻では盟約の意味を刷新し始めたんじゃなかろうか。

さて、ここまで順調と言ってイイくらいに回ってきた対戦カード。ただ、だからこそそろそろ壁が来る頃か。嘘の付けない嘘つきの、それ故の長所がこれまで彼らに信頼という恩恵を与えてきたけれど、ここで改めて空の特性を示したというのは、今度はまたそれがキーワードになってくるということなのか。
いずれにしても、新たな展開は新たな盛り上がりをもたらしてくれるものに違いない。さあ、中盤戦だ!

シリーズ感想